“Lighthouse”のオケがより壮大にアレンジされたインストゥルメンタルに合わせ、同曲のPVがスクリーンに映される中、Salyuがスクリーンの裏から≪今日から新しく生まれて 今日から新しく生きていこうよ 燈台の灯が照らす海を≫というフレーズを歌い終わると、スクリーンが落とされ、ライヴの幕が開けられる。ステージ中央のSalyuは、金色のウィッグをかぶり、黄色のドレスの背中に赤い装飾を付けた、かなり派手な出で立ちだ。MCの口調も少し芝居がかっていたり、後に「私の素敵なオーケストラに大きな拍手を!」とバックバンド(もちろんオーケストラは入っていない)を紹介したりしていたので、もしかしたらブロードウェイ・ミュージカルなどを意識した演出だったのかもしれない。1~2曲目は、『photogenic』のオープニングをなぞって“camera”から”LIFE(ライフ)”が続けて歌われる。今まで自分が行った限りでは、彼女のライヴは観客が座って観ることが多いように思うが、今日はこのアップテンポの2曲に引っ張られてか、後ろまでみんな立ちあがって観ていたのが印象的だった。もちろん、あの場にいるとそれも納得で、リズムの拍を強調した、ビートに寄ったヴォーカルがなぞる、サビで一気に世界が開けるように弾けるメロディと、それに合わせてドンピシャに音圧を上げる演奏とが混ざり合い、否が応でも気分がアップリフトされていく。SalyuもMCにて「『photogenic』はみんなの心の栄養になるような作品をと思って作った。ライヴもそうありたいと思っている」という旨を述べていたが、まさにここで鳴らされているのはそういう音楽だと、周囲の観客の満面の笑顔を見ながらしみじみと思った。また、個人的には、この音楽を野外フェスでビール片手に聴いて楽しんでいる画が浮かんで仕方なかったので、これからの季節、是非期待してみたいと思う。
本編の最後は“Lighthouse”。つまり、実質ライヴのオープニングとエンディングを両方飾ったわけだが、この曲に限っては、どれだけ特別に扱われようと誰も文句を挟まないのではないか。それほどに突出した、弩級の名曲である。もちろん、今日のライヴにおいても確実にハイライトとなっていたと思う。とにかくリリックの、メロディの、アレンジの精度が高すぎる。それも、音源よりもさらに力強く、エモーショナルに、あのリスタートのメッセージが歌われるものだから、一言一言が胸に刺さって仕方なかった。なので、冒頭にも書いたけれど、もう一度このリリックを書いておきたいと思う。≪今日から新しく生まれて 今日から新しく生きていこうよ 燈台の灯が照らす海を≫。あらゆることをやり直さなければならない今のこの国には、この音楽が、Salyu が必要だ。聴き終えたとき、心底そう思った。(長瀬昇)
1.camera
2.LIFE(ライフ)
3.Tower
4.悲しみを越えていく色
5.magic
6.ブレイクスルー
7.パラレルナイト
8.My Memory
9.月の裏側
10.体温
11.青空
12.新しいYES
13.夜の海 遠い出会いに
14.コルテオ~行列~
15.旅人
16.VALON-1
17.Lighthouse
アンコール
18.HALFWAY
19.to U
20.風に乗る船