マキシマム ザ ホルモン ゲスト:神聖かまってちゃん @新木場スタジオコースト

マキシマム ザ ホルモン ゲスト:神聖かまってちゃん @新木場スタジオコースト - Pic by H.and.APic by H.and.A
マキシマム ザ ホルモン ゲスト:神聖かまってちゃん @新木場スタジオコースト - Pic by Tetsuro SatoPic by Tetsuro Sato
「マキシマム ザ ホルモン オヤジ狩られTOUR 2012」、6月11日(月)東京・新木場スタジオコースト、12日(火)名古屋ダイアモンドホール、14(木)大阪Zepp Nambaの3本で、名古屋はONE OK ROCK、大阪はthe telepnohes、そして東京は神聖かまってちゃんがゲスト。要は、自分たちよりも若いバンドを呼ぶという企画ですね。なんですが、ライヴレポを申し込んだ際にレーベルに確認したところ、セットリスト、書いていいと言われました。1本目なのに。単に「別にネタバレしてもいいです」ってことなのか。それとも、事前に公式サイトでライヴでやってほしい曲のリクエストを募ったりしてたし、3本とも全然セットリストを変えるからかまいません、ってことなのか。どちらかわからないので、ちょっとでもネタバレがイヤな方は、ここで読むのをやめていただければと思います。

神聖かまってちゃん
1. ゆーれいみマン
2. ベイビーレイニーデイリー
3. グロい花
4. 天使じゃ地上じゃちっそく死
5. レッツゴー武道館っ!☆
6. あるてぃめっとレイザー!
7. 学校に行きたくない

の子、ロングスカートに長髪のウイッグ姿で登場、ほどなくしてスカートを脱いだらその下はヒザ丈のスカート。「みじけえよ! 45分って。ワンマンだったら3時間だから俺ら」と何度も愚痴ったり、「楽屋でホルモンがすごいやさしくしてくれてあがった」と喜びのコメントをしたり、ホルモンファンに、自分たちのライヴにも来てほしいということをアピールしたり、例によってmonoにラップさせたり(今回は「ホルモンラップ」というお題でした。mono、普通に「ヘイ!」とか言ってフロアをあおる感じで、特にホルモンっぽさは見受けられませんでしたが、やむをえないと思います)、背中からひゅーんとダイブをくり返したり、monoの機材セットの中心にあるエレドラのパッドが置いてある台によじのぼって後ろに転げ落ちたり、またよじのぼってそこから高く高くダイブしたりしながらの、全7曲。ほんとにだいたい45分で終わりました。にしてもの子、最近、ライヴにおいて、ギタリストとしての自分を放置する度合いが上がっているような気がする。ゆえに音はペラペラで、いつもにましてジャンクの極みだったが、の子も他のメンバーも、何か終始楽しそうでうれしそう。つられてこっちも楽しくなる、何か。ホルモンのファンに、予想以上にあったかく受け入れられたから、というのもあると思うが、こういう自分たちの客じゃない場に出て行く機会が、基本的に好きなんだと思う。怖いだろうとも思うが、嫌いじゃないんだと思う。あと、楽しいだけじゃなくて、“天使じゃ地上じゃちっそく死”や“学校に行きたくない”の重たさは、ちゃんとホルモンファンにも刺さっている感じがした、観ていて。
ラスト“学校に行きたくない”を終えてもステージを去りたくない風情のの子、全裸になろうとするも必死のスタッフ一同に阻止され、抱えられてソデに運搬されていきました。

マキシマム ザ ホルモン
1 what’s up,people?!
2 maximum the hormone
3 「F」
4 鬱くしき人々のうた
5 暴力-BOURIKI-
6 三品-SANPIN-
7 ビキニ・スポーツ・ポンチン
8 ロックンロール・チェーンソー
9 ぶっ生き返す!!
10 セフィーロ・レディオ・カムバック~青春最下位~
11 ポリスマンベンツ
12 シミ
13 恋のメガラバ
アンコール
1 チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ
2 握れっっ!!

「ありゃ。これ、ちょっとまずいな」。すべてが終わった時に真っ先に思ったのは、それだった。今回、実は、観る前から、「さすがにもうそろそろ新しいアルバムを作っては?」みたいなことを書こうと思っていたのです。前作『ぶっ生き返す』から既に5年と3ヵ月が経過しているわけで、2008年のDVD『Deco Vs Deco ~デコ対デコ』と昨年のシングル『グレイテスト・ザ・ヒッツ 2011~2011』の2作は、亮君的には通常のバンドのアルバムと同じ位置付けの作品であることは明らかなので、そんなインターバルが空いてるという意識はないのかもしれないが、にしても『ぶっ生き返す』よりあとに出た新しい曲はシングル2枚分だけなのであって、それはちょっとどうなのかと。
飽きない? お客さんも、自分たちも。新しい曲、もっといっぱいないと。ライヴでやるキラーチューン、だいたい固まってるし。というようなことを、「すばらしいライヴではあったが、でもさすがに……」みたいなトーンで書こうかなあ、と思っていたのですが。

全然そんなことなかったのでした。上のセットリストのとおり、ライヴでおなじみの曲たちの間に、昔の曲やレアな曲をちょこっと混ぜるだけで、それはもう全然新鮮なステージになるのです、今のホルモンの場合。懐かしい曲だから、とか、知らない曲だから、ってだけではない。今のホルモンの音楽的基礎体力やパフォーマンス力や気合いや実力でそれらの曲をやると、「うわ! 今はこうなんだ!」というピカピカの曲に化けてしまう、そういう感じ。とても新鮮。アレンジを大幅に変えてるとか、そんなこともないのに。
考えたら、レアな曲だけじゃなくて、おなじみの曲でもそうな気がしてきた。そもそもホルモンの曲って、耐久使用度が異様に高いように作ってあるのかもしれない。だからあんな、1曲の中に3曲分とか4曲分の展開や構成が入っているみたいな曲ばかりになるのかもしれない。
それを、いまだに日に日にすごくなる一方のあの演奏力とあのステージ・パフォーマンスでやられた日にゃ、そりゃ、飽きないよなあ。しかし、すっげえ音だよなあ。なんでこんな音出るんだろう、ギターもベースもドラムも。というようなことを考えながら、ひたすら圧倒されていたら、本編、終わってしまいました。

ってことは、ホルモン、今後もこのまま、つまり2年に1枚くらいシングル出したり、ツアーをしたり、ヘンな企画ライヴをやったりしていれば、何不自由なく順風満帆に活動していける、ファンもそれで満足、ということになってしまう。僕もこの日のライヴを観ながら、途中で、「でも、それはそれで、新しいバンドの存在のしかたとしてありなのかも」とか、うっかり思いそうになってしまった。でもなあ。それはなあ。

なお、アンコールの“握れっっ!!”が半分終わったあたりで、のこ、上半身裸で乱入。フロアに向かってツバを吐いたり、走り回りすぎて勝手にすっ転んだり、何やら叫んだりしながら痙攣するがごとく踊りまくる。ホルモンのみなさん、演奏しながら本気で大笑いしていた、ように見えたので、「ここで乱入ね」って決めてあったんじゃなくて、本当に勝手に乱入したのでは、と予想します。

あと、ナヲちゃんのMCによると、今日のこの対バン、発表した時は結構「なんで?」とか言われたそうです。でもやってよかった! というのが彼女の結論でしたが、私、最初にこの対バンを知った時、非常に腑に落ちました。「中2病を極端にこじらせた例」「その中2病を己の職業に直接結び付けてしまった例」「つまり、中2病で食っている例」という点において、の子と亮君、同じだと思うので。音楽性も、タイプも、アウトプットのしかたも全然違うけど(亮君は構築型での子は破壊型だと思う)。(兵庫慎司)
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