SPECIAL OTHERS @ 渋谷公会堂

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SPECIAL OTHERS @ 渋谷公会堂
何しろ約1年半ぶりの久々のワンマン・ツアーであり、しかもスペアザ初のホール・ツアーであり、さらに来場者全員にブランニューな新曲「beautiful world」のCDが配布されるとあって、開場直後からたいそうな賑わいに沸いている渋谷公会堂である――。そう、この夜は6月28日のNHK大阪ホールから始まった東名阪の『QUTIMA Ver.14“ホールツアー”兼“シングル配布センター”~HTKSHC(ホトクスク)~』の東京編(残すは7月6日の名古屋市公会堂)。定刻を少し過ぎて場内が暗転すると、ステージ中央のスクリーンに約1週間にわたって行った今年3月の『ものすごい規模の全米ツアー』のロード・ムービーが投影される。ニューヨーク、メンフィス、ニューオーリンズ……さまざまな街角で演奏し、風のように気ままに各地を闊歩する4人の姿に(少なからぬ羨望を持って)見入っていると、まるでツアーからそのまま渋公に乗り込んできたように並んでメンバーが登場し、そのユーモラスかつドラマチックな演出に早くも拍手喝采! 4人はステージ最前列に並んで「CP」を奏で始め、アメリカでの日々を再現するように“擬似ストリート・ライブ”をスタート。それぞれの持ち場に移動すると、今度はバンド・セットで先述の新曲「beautiful world」をプレイ。これが、雄大な大地を思わせるスケール感と、どこまでも飛んでいけそうなトリップ感を両翼として絶頂へと駆け上がるスペアザならではのグッド・ソング! 加えてホール特有の豊かな音の反響が素晴らしく、身体がまるごと音楽に包まれていずこへと誘われるような、そんな格別な心地よさがあった。これまで数知れず見てきたスペアザのライブの中でも、いちばんと言えるほどサウンドは豊穣かつクリアだったと思う。

盛大な拍手&歓声のなか、続けて芹澤が「Random」の甲高いピアノ・フレーズを連打。いきおい場内のテンションはグッと高まり、芹澤はさらにアッパーなプレイでバンドを牽引。宮原は力強くもなめらかなリズム・ワークで音像にこの上ない躍動感を付与する。続く「It's My House」では歌声にあわせていくつもの腕があがり、再びステージ前に歩み出た4人は、なんと「sailin'」をアコースティック・バージョンで披露! kj(Dragon Ash)に代わって芹澤のピアニカがリード・ボーカルの旋律を伸びやかに奏で、観衆は弾むようなリズムにあわせて心地よく身体をシェイク。再度バンド・セットに戻って、しばしのジャム・セッションから「PB」になだれ込むや、ステージ・バックのネオンが一斉に明滅! それまでのシンプルな舞台からの鮮やかな飛躍に「わ――っ!!」っと場内大興奮となり、渋公は瞬時に巨大なダンス・ホール状態に。続く「Wait for The Sun」でも「オーオーオーォー!」と場内一丸のシンガロングが響きわたり、ライブの熱気はどこまでも高まっていくのだった。

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意外だったのは、スペアザのワンマンの通例である2セット形式ではなかったこと。また、本編の最中はまったくのノーMCだったことも少なからぬ驚きで(あの騒がしいほどおしゃべりな宮原がひと言も発しなかったという意味合いでも・笑)、実り多き昨年のコラボ・イヤーを経て、スペアザが新たな野望と共に新章へと突入していることがビビッドに感じられた。普段のライブハウスに比べると当然ステージとの距離はあったけれど、場内を満たしていた親密なムードがいつも以上に4人を身近に感じさせ、「KOYA」でのヤギー(柳下)と宮原によるコミカルなやりとりには場内爆笑!(小さなドラを打ち鳴らす宮原は、失礼ながら四川省あたりの行商の兄ちゃんにしか見えなかったけれど・笑)。そっから間髪入れずなだれ込んだ「BEN」で加速度的にヒートアップして誰もがダンス!ダンス!ダンス! 宮原のドラム・ソロから、再び全員で刀を交えるように切り込んでくる瞬間はゾクっとするほどスリリングだった。

本編ラストにはアコースティック・セットで「parabola」を奏で、深々とお辞儀をしてステージを去った4人だが、アンコールで再登壇し、この夜初めて口を開いてMC――。

宮原「いつもとは違った感じが見られたから、みんなラッキーだった? ホールは最初で最後かもしれないけど、スゲー良かったって言ってくれたら、またやるかも」
観客一同「(声高らかに)スゲー良かった~!!」

「思いやりあってるし、でもいい加減に接しあってるし、そのバランスがよかったね」(芹澤)、「すっげーいいところで。俺、住めるなと思って」(宮原)とアメリカ滞在のインプレッションを語って、「これからもSPECIAL OTHERSを応援してください。ありがとうございました!」(宮原)と感謝を届け、ヤギーのギターが「Laurentech」を奏でればフロアは「イェ――!!」と沸き立って、再び熱気はマックスに! 大空高く駆け上がるような4人の演奏と大喝采があいまって渋公には輝くような歓喜の光景の広がり、晴れてワンマンは大団円となった。

「SPECIAL OTHERSがホールでやったらどうなるんだろう?という思いでやって、フタを開けて見たらすごくよくて、大丈夫じゃん!って思いました!」と終演後の挨拶で宮原が語っていたけれど、「大丈夫じゃん!」どころか、完全に渋公を掌握してみせたパフォーマンスは頼もしさを感じさせるほど。7月6日の名古屋公演はセットリストが一新されるそうなので、参加予定のみなさん思っきり楽しんで!(奥村明裕)
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