1ヶ月で25公演を回る過酷極まりない全米ツアーから生還したポリシックスの、結成10周年東名阪ツアーのラスト、Zepp TOKYO。結成10年で、ワンマンとしては過去最大規模、3000人のZepp TOKYOがソールドアウト。2回のアンコール含め全27曲1時間40分。“P!”で始まり“KAJA KAJA GOO”“NEW WAVE JACKET”“XCT”と続くわ、“Baby BIAS”やるわ“シーラカンス イズ アンドロイド”やるわ“I My Me Mine”やるわ“URGE ON!”やるわ“ドモアリガトミスターロボット”やるわ、もちろん11月21日に出たばかりのシングルとそのカップリング“Rocket”と“Raw”もやるわ、とにかくもう「あの曲やってほしいのにやんなかった」という漏れが限りなくゼロに近い、豪華極まりないセットリストのライヴをやってくれた。
しかも、頭っから最後まで、すさまじいテンションでもって観せてくれた。どれくらいすさまじかったかというと、頭の1ブロックの4曲を終えてMCを始めたハヤシを観ながら、「だめ。無理。とばしすぎ。これ絶対最後の曲までもたない」って確信したぐらい。でも、もってました。ハヤシくん、アンコールの一番最後、ギターアンプの上から飛び降りて曲をシメ、そのまま床にぶっ倒れてしばらく動けなくなってたけど。個人的に、過去最も多くの回数「ステージで大の字でぶっ倒れて動けなくなってるところを観たことのあるアーティスト」です、ハヤシくんは。
で。下北沢CLUB Queや渋谷クラブクアトロや新宿&恵比寿リキッドルームや渋谷CLUB ASIAやSHIBUYA-AXや、国営ひたち海浜公園や幕張メッセなどなどで聴き慣れた曲たちが、次々と演奏されるさまを観ているうちに、なんか、心からしみじみした。
だってポリシックスだよ? Queの初ワンマン、30分で終わったバンドだよ? 曲数も体力もなくて。インディーズ・デビューの時、話題にはなったけど、そのライヴのあまりのインパクトゆえに、逆に「3回観れば飽きる」って言われてたバンドだよ? テンション高いし盛り上がるし笑えるし、フェスやイベントで40分くらい観る分には最高だけど、ワンマンに行くほどでは……っていうふうに思われたのが理由だった、と僕は分析しているんだけど、一時期は、渋谷クラブクアトロも満員にできなくなってたバンドだよ? それが10周年の今、3000人のZepp TOKYOをソールドアウトさせて、1時間40分にわたってすんげえすばらしいライヴをやっている。そればかりか、海外でも認められている。
っていう事実に、しみじみしてるわけじゃない。いや、それにもしみじみしてるけど、それ以上に、そうやっていろんな目に遭ってきたポリシックスが今こうして勝っている理由が、それらの逆風に「合わせた」からではまったくない、という事実。それにしみじみしたのです。言い換えれば、感動したのです。どんな逆風を浴びようとも、「でもこれしかできないしこれしかやりたくありません!」と、方法はそのまんまで、ただ単に、バカみたいにテンションを上げ放題上げていくという闘い方で勝ってしまったのだ、ポリシックスは。「きみのそのパンチ通じないよ」といろんな局面で言われ続けてきたのに、キックや寝技を覚えるのではなく、まして武器を持ったりするわけでもなく、毎日毎夜、10発だったパンチを100発打ち続けて打ち続けて打ち続けることで、強くなってしまったのだ。
そんなふうに感じた夜でした。音楽性的には、「感動」とか「感涙」とか「共感」みたいなウェットな部分をばっさり切り捨てたとこから始まっているバンド、ポリシックスに泣きそうにさせられるというのは、なかなかいいもんでした。(兵庫慎司)
POLYSICS @ Zepp TOKYO
2007.12.01