THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト

『1-2-3 TOUR 2013』

THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト - all pics by 橋本 塁(SOUND SHOOTER)all pics by 橋本 塁(SOUND SHOOTER)
THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト
肌に痛いほどの寒気に見舞われている関東圏だというのに、そのことをすっかり忘れさせる熱と興奮を新木場スタジオコーストに運び込んでくれた、待望のTHE BAWDIES最新ツアー。メジャー4作目となるアルバム『1-2-3』を携え、京都磔磔での2デイズでそれぞれ女性限定・男性限定のライヴを敢行することで、この2月に幕を開けたツアーは、全国全県で59公演を繰り広げてゆくというバンド史上最大規模のもの。新木場スタジオコーストはその5公演目という序盤戦なのだが、THE BAWDIESの現在地をきっちりと伝え、それを描き出すためにメンバー4人が人間臭い役割と責任感を露にし、白熱の爆音ロックンロールでフロアを跳ばし続けていた。以下レポートはセット・リストの記載は控えるけれども、演奏曲など多少のネタバレを含む(『1-2-3』収録曲のみ、ちょこっと記載)ので、閲覧の際はご注意を。

おなじみのオープニングで、スタックス・ソウル・クラシック、サム&デイヴ“ソウル・マン”が鳴り響く中に姿を見せた4人が、これぞTHE BAWDIESという瞬発力で火花を散らすような快速ロックンロールを立ち上がらせる。ぱつんぱつんに埋まったスタジオコーストの横長のフロアの上で、オーディエンスもこれまた目を見張るような好反応で大歓声を巻き起こしながら跳ね上がってみせる。序盤からJIM(G.)は満面の笑みと共にジャンプを繰り返しながら煽り立て、逆サイドのTAXMAN(G.)は小刻みに頭をシェイクしつつ、こちらもご機嫌にハーモニー・ヴォーカルを届けてくる。「俺たちが、THE BAWDIESだー!! ロックンロールは言葉で説明できねえから、生で感じてもらう。そのための今夜だ、いいか! Are You Ready!?」と、演奏中のソウル・シャウターぶりと寸分違わぬヴォルテージでまくしたてるのは、他でもないROY(Vo./Ba.)である。

THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト
狂おしい思いが溢れるほどに荒々しい爆音にまみれるバンドと、笑顔で手拍子を打ち鳴らしては加勢する満場のオーディエンス。この2〜3分ほどのロックンロール・ナンバーの数々の中で、いや瞬きするほどの刹那の中で、即効性の高いコミュニケーションが分かち合う意味はとてつもなく大きい。ロックンロールがなぜ世代も地域も人種も超えてきたのかというその理由を、THE BAWDIESは込み上げる一瞬の衝動と、繰り返し押し寄せる興奮の中に、詰め込んでは伝えてくれる。JIMが熱狂するオーディエンスを気遣う言葉を届けてはまた楽曲へと繋ぎ、ROYは「これだけは言わせてください。愛は、中途半端じゃいかんのです! 全力で叫んでこそ伝わると思いませんか? 全力で言わせて頂きます! 愛してます!!」と丸裸のメッセージを投げ掛ける。字面だけではシンプルに見えてしまうかも知れないが、彼にとっては濁点付きの「ワーーッ!!」という凄まじいシャウトやソウルフルなファルセット・ヴォイスも、言葉と同じかそれ以上の「意味」を持つものなのだ。

THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト
「あの……久々にでかいツアーで……」。語り出したMARCY(Dr.)を、全力で凝視している3人が可笑しい。「言いたいことがあるんですよ。『1-2-3』を作ってる頃から、早くみんなに届けたいなと思っていて。だから、すごく嬉しいです」。寡黙キャラとして知られるMARCYの挨拶に喝采が上がり、ROYは「嬉しい。自分から何かを発する子じゃなかったんですよ。それが、自分から封を開けて、言いたいことがあると!」とイジり始める。ROYはこの後にも愛の暴君っぷりを発揮し、「前回のライヴで、終わって、バイバイってときに、MARCYが、また遊ぼうねー、って言ったんですよ!」とイジリネタを披露していたが、JIMが割って入って「付き合い長いから知ってるけど、たまにMARCYが前に出ようとするとき、リーダーがそうやってバカにするから引っ込んじゃうんだよ!」とROYをたしなめていた。なんかバンド内に面白いパワーバランスが出来上がっている。

THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト
そしてTAXMANである。『1-2-3』で作曲とリード・ヴォーカルを務めた“TAKE A CHANCE”を披露するのだが、このときの伸びと張りのあるヴォーカルでフロアを満たすさまは、以前にも遥かに増して素晴らしかった。個人的には今回のライヴでもハイライトのひとつである。THE BAWDIESと言えば素っ裸のガレージ・ロック・サウンドと何よりROYの喉なのだが、そんな図式を脅かすほどの華があった。でも、TAXMANヴォーカルのときはROYが専念するベースもブリブリと強烈なドライヴ感を鳴らしていて、バンドにとっては良い刺激となっていることも伝わるパフォーマンスなのだ。この日はちょうど、TAXMANのお母さんが誕生日を迎えられたそうで、それをお祝いする一幕も盛り込まれる。

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JIMの甘いギター・ワークの中で4声のハーモニーをソウル・グループのように響かせる“SHA LA LA”に続いてはMARCYが渾身のドラム・ソロを繰り出し、ROYが切々とした歌を響かせた後の“RED ROCKET SHIP”では目映く広がるロック・サウンドをダイナミックに展開してみせた。「歌えー!」と強靭なフックの爆発力に沸く“SING YOUR SONG”や、フロア一面を激しくバウンスさせてJIMがモニターの上から大ジャンプする“ROCK ME BABY”と、シングル曲もアルバム曲もキラー・チューンが更に増え、それぞれに成長する4人が(時にはやいのやいのと揉めながら)がっちりと手を取り合ったパフォーマンスを見せてくれる。

THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト
THE BAWDIES @ 新木場スタジオコースト
アンコールでROYは、「ロックンロールとは何なのかを伝えるアルバムであり、ツアーだと思います。言葉で伝えきれないから、ドーッとかヴァーッとかになっちゃうんですけど」と語る。「全部出し切るから、新鮮な空気が入ってくる。明日の朝、なんて気持ちいいんだ、ってなるから。お約束します」と、最後には一発勝負の特大コール&レスポンスと、TAXMANが音頭を取るお馴染みの「ワッショーイ!!」コールで締め括るのだった。今回のステージのように4人が刺激し合いながら、ゴロゴロと長いツアーを転がってゆくのだろう。今後の日程に参加予定の方は、そんなTHE BAWDIESと共に、頭の中がマーブル模様になるまで、存分に転がって頂きたい。(小池宏和)
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