Base Ball Bear @ 赤坂BLITZ
2013.04.26 19:15
いつまでも色あせない青春の輝きが、壮大な光の渦となって押し寄せた、凄まじい夜だった。2月13日に発表したベストアルバム『バンドBのベスト』を引っ提げた全国ツアー「バンドBのゆくえツアー」。そのセミ・ファイナルとなる赤坂BLITZ公演は、デビュー当時から変わらずに抱き続ける表現欲求を胸に、よりアグレッシヴかつダイナミックにバンドを走らせていこうとする4人の気概に溢れた、決意の2時間だった。
武道館公演では巨大スクリーンやレーザーを駆使したドラマティックな演出で魅せたり、フェスなどのイベント出演時にはメンバー揃いの衣装で登場したりと、これまでもサービス精神と遊び心にあふれたニクい演出の数々で我々を楽しませてきたベボベ。初のベスト・アルバムのツアーなんだから、今回もさぞ手の込んだ仕掛けが施されているのでは?と思って会場に足を運んだ筆者の期待は、いい意味で裏切られた。バックドロップも何もないステージにあるのは、楽器とアンプとモニターと照明のみ。いつものSEに乗って現れたメンバーも、いつものようにラフな格好でそれぞれの位置につく。しかし、堀之内大介(Dr)の清冽なビートからジャム・セッションがスタートし、そのまま1曲目へと雪崩れ込んだ途端、場内をブワッと覆い尽くした眩い閃光のような音のエネルギーに驚かされた。ときにドラムセットの前で向き合いながら、音源よりも数倍速いBMPでアンサンブルを構築していく4人の姿も、とにかくストイック。小手先の演出は派手な装飾を排除することで、長年にわたって鍛え上げてきたバンドサウンドの凄みをダイレクトに見せていくという地に足のついた堂々たるパフォーマンスで、開演直後からフロアを圧倒してくれたのだ。
その後も名シーンの連続。まだファイナルの札幌公演が残っているのでセットリストの詳細は伏せておくが、「今回はベスト盤のツアーということで、トランプの大貧民でいえば『2』と『ジョーカー』しか出ないセットリストです!」と小出祐介(Vo/G)が「らしい」表現でツアーコンセプトを語っていた通りのキラー・チューンの猛攻勢に、思わず眩暈がしそうになる。オーディエンスの気合いもハンパではなく、曲が始まるたびに大歓声とオイ・コールが沸き起こり、一糸乱れぬコール&レスポンスが鮮やかに決まっていくという熱狂ぶり。ベスト・アルバムと同日リリースされた新曲“Perfect Blue”などでは青春への憧憬を陰影たっぷりに描き出し、“Tabibito In The Dark”などでは艶めかしいダンス・ビートでフロアを大きく揺さぶり――と、1曲ごとに鮮烈な印象を刻み込みながらライヴは緊張感を高めていく。……なんだけど、中盤のMCでは「関根史織(B)が(今回のツアーの)新潟でそばを3人前も喰っていた」という堀之内に対して、関根が「堀くんのドラムの打面にマジックで『魂』『愛』『絆』って書いてるけど、それどうなの?」と反撃。そこに小出が「その言葉を否定するわけじゃないけど、うちらのバンドの精神性には合ってないよね。これは脱退理由になり得るよ」と便乗して、「それだけは止めて!」(堀之内)という哀しい叫びを誘う始末。その後の曲のイントロをなかなか弾き出そうとしない湯浅将平(G)も含めて、フロアに生ぬるーい笑いを起こした4人なのであった。
そして、ここからが凄かった。“神々LOOKS YOU”を皮切りに、クライマックスまで9曲ノンストップの猛ダッシュ。しかも、曲と曲の間には巧みなジャム・セッションやソロ・パートが挟み込まれ、一遍の巨大絵巻のような壮大なサウンドスケープが淀みなく描かれていく。特に、しっとりとしたスロー・チューンから徐々にソリッドで疾走感あるナンバーへ移行していき、獰猛なグルーヴが牙を剥く“真夏の条件”から青天井の狂騒空間が生み出されていった終盤の流れは鳥肌モノ! アグレッシヴに突き進む骨太なバンドサウンドに乗って、青春の儚さや脆さ、そして甘美なロマンチシズムをまとった情景がビビッドに描き出されていくさまには、思わず快哉を叫びたくなるような興奮と覚醒感が宿っていた。Base Ball Bearがデビュー当初から一貫して追い求めるテーマのブレなさを痛感させると共に、それを常に鮮烈な輝きでもって放っていくバンドの表現力の高さを見せつけられた、素晴らしいパフォーマンスだ。
アンコールでは、すでに6月26日のリリースが発表されている3rdミニ・アルバムについて言及。まだ20%ぐらいしか曲ができてないと言いながら、「これからも『2』と『ジョーカー』のような曲を作りつつ、絵札のいい曲も作っていきたい」という小出の言葉は、とても自信に満ち溢れていた。ベスト・アルバムを経て新章へと突入したBase Ball Bearの未来は、まだまだ明るい。(齋藤美穂)