all pics by H.and.A『お口ポカーン!!東名阪ワンマンツアー~spark of FLOWER~』
「ねごとpresents『お口ポカーン!!東名阪ワンマンツアー~spark of FLOWER~』へようこそ!」と、熱気渦巻くZepp Tokyoのフロアに呼びかけるリーダー・藤咲佑(B・Cho)に、さらに熱く沸き上がる大歓声! 2月6日にリリースした2ndフルアルバム『5』を引っ提げて、2月15日・千葉LOOK公演から足掛け4ヵ月にわたって全国を駆け抜けてきたねごとの、全23本の対バン・ツアー『お口ポカーン!!卒業旅行は全国ツアー~GREEN and motion~』がいよいよ5月18日・沖縄公演を残すのみとなった中、大阪:なんばHatch、名古屋:CLUB DIAMOND HALLと開催してきた東名阪ワンマン・ツアー『お口ポカーン!!東名阪ワンマンツアー~spark of FLOWER~』もこの日の東京:Zepp Tokyo公演でファイナル。「『花』っていうテーマが大きくあるんだけど、ここにいるみんなで、大きな大きな花を咲かせていきたいと思うから、みんな、最後までよろしく!」という藤咲の言葉通り、昨年末の東名阪ホール・ツアー『お口ポカーン!! 東名阪ホールツアー~SEED with groove~』=「種」、対バン・ツアー『~GREEN and motion~』=「緑」、そして『~spark of FLOWER~』=「花」というキーワードに自らの成長→開花への決意をこめてきたねごと。その真摯な想いが、ツアーを経て格段にスケール・アップしたサウンドと一体になって、至上のワンダーランドを生み出していた。
SEもなく暗転したステージに、まずは蒼山幸子(Vo・Key)と澤村小夜子(Dr・Cho)の2人だけが登場。澤村の奏でるピアノをバックに、蒼山がハンドマイクで歌い上げたのは“ふわりのこと”。《涙が出てしまうのは 忘れてないからだよ 弱いぼくらの強さを》……4人のひたむきな闘争心を宣誓するように、凛とした歌声がZepp Tokyoに響き渡り、会場に満ちあふれる期待感がゆっくりじっくりと感激に塗り替わっていく。一度2人が退場した後、改めて全員でオン・ステージして“潜在証明”“Re:Myend!”と『5』からの楽曲をエネルギッシュに畳み掛けながら、オーディエンスの情熱を歓喜の彼方へと導いていく。
“潜在証明”でラウドなギターを響かせながら、激しくフロアを煽る「ねごとのスカイツリー」こと沙田瑞紀(G・Cho)。澄んだ歌声の中に目映いばかりの輝度と強度を感じさせながら、聴く者すべてをポップの異次元へと誘っていく蒼山のヴォーカリゼーション。女子ながら質実剛健と呼びたいくらいの強靭なベース・サウンドでボトムを支える藤咲。そして、ロング・ツアーでひと回りもふた回りもプレイヤー/表現者として進化を遂げたメンバー4人の中でも、特に大きな成長を見せていたのが澤村。満場のクラップが巻き起こった“メルシールー”のカラフルなアンサンブルをパワフルなグルーヴで牽引し、“drop”の響きにしなやかなうねりを与えーーといった演奏での、ドラムとビートを全身で楽しみきっている佇まいはもちろん、「私たちは今年の春、全員無事に大学を卒業して、ミュージック社会人になりました! 音楽に就職しました!」とか「周りがみんな友達同士で卒業旅行に行く中、私たちはバンドで全国ツアーですよ!」とMCをリードしていた姿も、「みんなが食べてる音を聴いて、誰が食べてる音かわかるようになった。幸子は口の中がわりと広くて歯がちょっと弱い。佑は、口の中が縦に広くて歯が健康。瑞紀はね、よだれが多い(笑)」とフロアを沸かせた小ネタの数々も含め、この日のむせ返るような高揚感と濃密なコミュニケーションを生み出す大きな原動力になっていた(ちなみに、ツアー中、4人で個別に続けてきた「マラソン対決」の走行距離も澤村が1位で、なんと総計106.5km!)。

オルタナ感満載のギター・ロック・ナンバー“メイドミー…”のでっかい開放感。シンセ・サウンドとハイパーなビートがファンタジックな音風景を描き出す“トレモロ”。目も眩むような疾走感でオーディエンスの身体と心を揺さぶったピアノ・ポップ“そして、夜明け”……ありったけの音楽的探究心を詰め込んだ力作『5』を「血肉化」するレベルを遥かに越えて、まったく新たな表現として鳴り響かせてみせたあくらいの驚きと感激が、この日の4人の演奏には確かにあった。クラップ・サウンドと極彩色シンセがアグレッシブなビートと競い合いながら快楽の果てへと爆走するようなエレクトロな新曲も、ねごとの「その先」のさらなる覚醒を感じさせるものだった。そして、「次の曲は、今いちばん私たちがみんなに届けたい曲です」という蒼山の言葉とともに響き渡ったのは“たしかなうた”。不確かな未来へ向けて、それでも今この瞬間を噛み締めながら生きていくーーという4人の決意そのもののようなメロディとサウンドが、強く熱く、オーディエンスひとりひとりの胸を震わせていった。
「東名阪の最後は、大きな大きな花を咲かせたいって言ってきたけど、ほんと当日まで不安でしょうがなくて……でも今日、みんなの顔を1曲目で見た瞬間、ほんとに不安がなくなって。嬉しいです!」とMCで声を震わせる藤咲。「昔は武道館とかやりたいって言ってきたけど、いったん気持ちがストップっていうか。『みんなとの壁をどうやって壊していこう』ってすごく悩んできて。そういう夢も叶わないんじゃないかなって思ってたんだけど……でも、今日この景色を見て、もう一回、夢を叶えるために、もっともっとねごとの音を届けていこうって思いました」……一歩進むごとに悩み、壁に直面しながら、それでも前へ先へと進んできた彼女たち。万感の想いのこもった藤咲の言葉に、惜しみない拍手がいつまでも続いた。そんなメッセージに続けて披露したのは“greatwall”! 《意味のない隔たりはもう壊して 誰より頷いて答えを与えよう greatwall 限りない続きまで》という蒼山の歌が、4人一丸となって繰り広げる目映いアンサンブルが、会場丸ごと真っ白にスパークさせるように鮮烈に響く。
“nameless”のマジカルでスリリングな音像。フロアにでっかいハンドウェーブを巻き起こした“ループ”。彼女たちの出世作的ナンバー“カロン”で鳴らした胸の空くような飛翔感……それらすべての彼女たちの成長を何よりリアルに物語っている。そして、最後を飾ったのは“sharp♯”。「去年、この曲をSHIBUYA-AXでやった時は、『たとえ半歩でも前に進みたい』、そんな願いのような曲でした。でも1年経った今、私たちを1歩も2歩も3歩も進めてくれた、強い光の曲になりました!」という蒼山の言葉通り、ねごとのロックとポップをすべて同時再生したようなこの曲のサウンドスケープが、どこまでも晴れやかに、誇らしいくらいの多幸感をもって広がって……終了。手を取り合って一礼する4人に、ひときわ熱い拍手喝采が降り注いだ。「今日は『記憶に残す』じゃなくて、『記録に残す』でもなくて。何と言うか、周りを見ると、カメラが……いるよ!」と沙田も言っていたように、会場のあちこちに映像収録用のカメラが入っていたこの日のライブ。ぜひとも何らかの形で映像作品化してほしい!と心から思う、若き4人の金字塔的ステージだった。(高橋智樹)
[SET LIST]
00.ふわりのこと
01.潜在証明
02.Re:Myend!
03.メルシールー
04.drop
05.フラワー
06.100
07.メイドミー…
08.ワンダーワールド
09.街
10.トレモロ
11.week...end
12.そして、夜明け
13.新曲
14.たしかなうた
15.greatwall
16.季節
17.nameless
18.ループ
19.カロン
20.sharp♯