ONE OK ROCK @ 横浜アリーナ

ONE OK ROCK @ 横浜アリーナ - pic by RUI HASHIMOTO (SOUND SHOOTER)pic by RUI HASHIMOTO (SOUND SHOOTER)
「ONE OK ROCK 2013 "人生×君=" TOUR」

ものすごい空間だった。TakaはじめONE OK ROCKの4人の圧倒的なヴァイブに満ちた佇まいと、彼らが放射するサウンドから轟々と噴き上がるエネルギーが、「ロック・ヒーローとしての自分たち」としての栄光など1mmも顧みることなく、真っ直ぐに満場のオーディエンスの「今」と「明日」を輝かせることに向かっている。そして、そんな渾身の歌と演奏に、観客1人1人がありったけの声と拳とアクションでもって全身で応え、文字通り横浜アリーナを大きく揺さぶっていく。3月6日にリリースされた最新アルバム『人生×僕=』(ジンセイカケテボクハ)を引っ提げての全国6会場11公演のアリーナ・ツアー『ONE OK ROCK 2013 "人生×君=" TOUR』前半戦:横浜アリーナ3デイズ(5月23日・25日・26日)の最終日。ツアーは6月の名古屋公演まで続くので、セットリスト及び演奏曲目、MC含め演出についてはここでは割愛させていただくが、日本のロックを牽引する存在となったONE OK ROCKがなおも大きなロックの風景を見据えて進化していることがリアルに窺える、至上のアクトだった。

『人生×僕=』収録曲を軸とした約2時間半のステージで何より驚いたのは、広大な会場のステージ~観客の間の距離すら無効化するほどの歌と音のパワーだ。ソリッドなバンド・サウンドを、ここまでダイナミックな肉体性をもって大会場で響かせることのできるバンドが(しかも平均年齢25歳以下で)日本にいるという事実だけでも嬉しくなるが、それこそ洋楽基準で研ぎ澄まされ鍛え上げられたフレーズや演奏の数々が、楽曲のタフネスを無限増幅していく図はまさに圧巻。エッジ感のカタマリのような重轟音からたおやかな包容力そのもののアルペジオまで多彩なプレイで横浜アリーナの空気を鮮烈に塗り替えていくToruのギター。骨太なサウンドのボトムをがっちり引き受けながら、会場に渦巻く熱気に力強いうねりを与えていくRyotaのベース。キックやスネアのサウンド1つ1つが爽快なまでの爆発力でもって横アリを震わせていくTomoyaのドラム。すぐそこで鳴っているような臨場感と、アリーナを越えて遠くまで広がっていくようなスケール感が、そのアンサンブルには確かにあった。

そしてTaka。衝動の化身のような絶唱と、そのあふれんばかりの闘志と情熱を指先までびりびりとたぎらせたアグレッシブなステージ・パフォーマンスでもって、スタンディング・アリーナもスタンド席も全部まとめてロックの彼方へと導いてみせる。熱いコール&レスポンスやシンガロングが幾度となく会場を埋め尽くし、その熱気を4人が受け止めてさらなる高揚感へと昇華させていく。かと思うと、静謐な楽曲の続くパートではオーディエンスが息を呑んでその歌に聴き入っている。およそロック・バンドの巨大ライブの理想型のような、途方もない一体感に満ちた空間がそこにはあった。が、それは単に「ONE OK ROCKの曲と演奏が優れているから」生まれたものではない。オーディエンス1人1人との切実なコミュニケーションへの希求が、彼ら自身の楽曲とサウンドを輝かせ、この日のライブを最高のものにしていた。それはまさに、『人生×僕=』をメインに据えたこのツアーのタイトルがなぜ「人生×君=」なのか、ということと密接につながっている。

音楽的に強度と深度を増した『人生×僕=』の楽曲はもちろん、ONE OK ROCKの音楽はどんなパーソナルなテーマから出発した曲でも、最終的には「君」=つまりリスナー/オーディエンスのネガティビティをいかに少しでもプラスに転化できるか、という一点めがけて鳴らされてきた。そして、バンドマンとして、ミュージシャンとして、そして1人の人間として、音楽とどう向き合っていくか、という命題と4人が対峙した結果として生まれた名盤『人生×僕=』。それを彼らは、自分たちステイタスを上げるためのアーティスト・エゴの道具としてではなく、聴く者すべてのエモーションの燃料として1人1人の心にジャック・インすることを選んだ――ということが、そのダイレクトな歌と演奏の1音1音から伝わってくる。あれだけエネルギッシュで華やかな魅力にあふれたTakaの姿が、いわゆるカリスマとしてのロック・スター像とは明らかに一線を画して見えるのはそのせいだ。すべてを懸けて4人が作り出した音楽が、「君」が人生を熱く燃やしながら明日を行きていくための鼓動になるように、ONE OK ROCKは全身全霊を傾けて、魂の最後の一滴まで振り絞って音を響かせた。その真摯な想いこそが、この日の天井知らずの多幸感と、誰もがじっとしていられなくなるような切迫感を生んでいたのだろう。

怒濤の横アリ3デイズの最後の音が止んだ瞬間、全精力を使い果たしてがっくりと膝をつくTakaに、そして4人で手を取り合って深々と一礼する姿に、惜しみない歓声がいつまでも降り注いでいた。ツアーはこの後、6月1日&2日:大阪城ホール、8日&9日:ゼビオアリーナ仙台での公演を経て、6月15日&16日:名古屋・日本ガイシホール公演でフィナーレを迎える。この日、明らかに横浜アリーナのキャパシティを遥かに凌駕するスケール感で彼らが描き出していた闘争と歓喜の音は、ここからどこまで強く、大きく響き渡っていくのか。4人の「その先」の進化が、今から楽しみで仕方がない。(高橋智樹)
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