flumpool @ 日本武道館

flumpool @ 日本武道館
2008年の10/1に配信限定シングル“花になれ”でメジャー・デビューを果たしたflumpoolが、5周年イヤーに突入。それを記念して祝祭感たっぷりに開催された武道館2デイズの、2日目の模様をレポートしたい。スカパー!での生中継も行われたのでご覧になった方も多いはずだが、公演タイトル『flumpool 5th Anniversary Special 2Days Live「For our 1,826 & your 43,824 hours」』に掲げられたとおり、バンドとファンが共に歩んできた道程を一曲一曲がじっくりと注視させながら振り返り、そしてこれからの道程に踏み出す根拠を浮き彫りにするような、様々な思いが駆け巡る濃密な3時間であった。

開演に先立って、設置された大型スクリーンには、この日リリースされたニュー・シングル『強く儚く/Belief ~春を待つ君へ~』の3曲のミュージック・ビデオが上映された。映画『おしん』主題歌である“Belief ~春を待つ君へ~”の方は、雪の降りしきるさまを逆回転させた映像効果が美しく、また親交を深めてきた台湾のバンド=Maydayとの共演も反映した内容である。さあ、いよいよの本編は、迸るレーザーとCGアニメーションがシンクロする演出に度肝を抜かれつつ、山村隆太(Vo.)の「ウワアァァッ!!」という迫力の雄叫び一閃、“Because... I am”からスタート。唸りを上げる尼川元気(Ba.)のスラップ・ショットから電光石火の如く決まる阪井一生(G.)のリレー、そして金色の短髪で精悍な表情の小倉誠司(Dr.)による聴く者を突き飛ばすようなビートと、のっけからライヴ・バンドとしてのflumpoolをフルスロットルで見せつけてくれる。

flumpool @ 日本武道館
パントマイム風のダンスを繰り広げるダンサーを迎えての“覚醒アイデンティティ”から、“Calling”とプレイすると、「元気いいね! テンション高いね! 皆さんが武道館を楽しみにしていたのが、ど真ん中に伝わってきましたよ。flumpool、5周年を迎えましたー!!」という挨拶に、なかなか鳴り止むことがないほどの盛大な拍手喝采が贈られる。「最初のMCでそんなに感動させんといてよ(笑)。俺たちが夢見てた武道館で5周年を迎えることが出来るのも、今、拍手をしてくれた皆さんのおかげです! 全国の仲間たちも観てます!」と山村。一方、阪井は「武道館に帰ってきました! 生中継も入っているということで、皆さんも映ります。急いで化粧してください! 特に、おかあさん!」と笑いを誘う。「笑顔が一番の化粧ですよ」と山村がカメラ目線を送って悲鳴のような歓声を浴びると、「ここは俺の笑顔でしょう」と阪井がスマイルを被せてくる。2人がカメラで遊び始めるといよいよ収拾がつかなくなるのだが、「歓声のジャンルが違いすぎる」という阪井のブルーな感想が漏れたところで、どっしりと華やかな手応えを伝える“微熱リフレイン”に向かっていく。

flumpool @ 日本武道館
恋愛感情から得る底なしにポジティヴなヴァイブを、エレクトロ混じりのダンス性と共に放つ“two of us”に続いては、「今日、タクシーで来て、運転手さんに、兄ちゃん、バンドマンか! エアロスミスか!」と言われたという阪井が、そのエアロスミスの“ミス・ア・シング”を触りだけ歌ったりしつつ、『強く儚く/Belief ~春を待つ君へ~』の通常盤ボーナスとして収められたflumpool楽曲のミックス・チューン“OLDIES but GOODIES –flumpool 5th anniversary non-stop mix-”を、「武道館スペシャル・ヴァージョン」という形でメドレー披露。“タイムカプセル”の一幕では、阪井のダイエット休業中に代役サポートを務めていた井上裕介(NON STYLE)が飛び入り参加(衣装も阪井と揃えていた)してオーディエンスの喝采を浴びる。“Present”や“ハイドレンジア”といったナンバーも次々に繰り出し、そして“フレイム”での大合唱と、フルサイズで披露される楽曲群に負けず劣らずのハイライトを生み出してしまった。

お馴染みのサポート・キーボード奏者である高藤大樹から順に挨拶する一幕では、ステージとなると途端に無口になるという尼川が「生中継でおれ、喋りたくないもん」と身もフタもないことを言っている脇で、小倉が自らの生い立ちからとうとうと語り出す。「チャンネル変えられるて!」と阪井がツッコんだところに、改めて尼川が「あ、ようやく落ち着いてきた。なんかテンション上がってきた」とマイペースにチグハグなことを言っているのが可笑しい。山村は「5年前よりバンドの絆は強くなってると思うけど、(ファンの)みんなと歩いて来れたことがね、これからもどんどん絆を強くしてくれるんじゃないかと思います」と語り、その想いを染み渡らせるように“証”を歌うのであった。《十年後僕に この歌を捧げよう》といった歌詞が伝うあのデビュー曲“花になれ”では、ステージ背景に過去のライヴ映像や作品のアートワークが映し出される。

そして、再び力強く鮮烈なバンド・アンサンブルを轟かせる“強く儚く”以降は、まさに5周年イヤーを走り出す意気込みとエネルギーをありのままに伝えるようなパフォーマンスの連打である。レーザー、CG、照明効果、そしてダンスと、ありとあらゆる演出もここでピークを迎えて凄まじい光景だ。flumpoolのロック性を刻み付けたと思える“MW~Dear Mr. &Ms. ピカレスク~”に続いては、恒例のオーディエンスによるメンバー・コールへ。“星に願いを”はコーラス部が丸々オーディエンスに委ねられ、そして本編クライマックスは“夏Dive”や“イイじゃない?”といった、アニヴァーサリー企画に相応しいパーティー・チューンによって笑顔まみれで締め括られた。

flumpool @ 日本武道館
アンコールでは、先頃放送された『ミュージックステーション 3時間SP』で共演も果たした台湾バンドのMaydayが、お祝いに駆けつける。山村、尼川、小倉に花束を、そして阪井には肉まんをプレゼントである。「ダイエット記念に」とご褒美のつもりだったようだが、「これ食べたらまた活動休止やん!」としばし肉まんを凝視した挙げ句、かぶりつく阪井であった。Maydayメンバーの流暢な日本語も手伝って和気あいあいと語らい(「じゃあ、せっかくなんでメンバー紹介を」という振りには「はい。ベーシストは……元気サン!」とボケも見事だった)、共演ナンバーの“Belief ~春を待つ君へ~”はもちろん、flumpoolがカヴァーしたMayday曲“OAOA”も合体バンドで披露して盛り上がる。Maydayを見送ると山村は「今日ここにいるみんな、画面の向こうにいるみんなが、曲を聴けば元気になれるような、希望のような音楽を作りたいと思って走ってきたけど、まだまだで。でも、(喉に)ポリープができて声がでないときも、みんなが支えてくれて。みんなが僕らにとっての、希望でした」と感謝の想いを溢れ出させていた。最後の最後には、オーディエンスと共に念入りに練習してからの“大切なものは君以外に見当たらなくて”の大合唱。自然にハンド・クラップも武道館全体に広がって美しい。

山村は自分たちの活動については謙虚に語っていたけれど、貪欲なコミュニケーション願望があったからこそ、見えていた希望がある。そんな5周年ライヴであった。メンバーや、ノンスタ井上、Mayday、そしてダンサー陣も横一線に並び、手を繋いで掲げる挨拶では、「みんな(オーディエンス)も隣の人と手を繋いで」と促して万感のフィナーレである。ステージからの去り際に最後まで残っていた小倉は、マイクレスで感謝の言葉を伝えると、タオルや自らのTシャツも客席に投げ入れてしまっていた。山村は「今回は全国から武道館に集まってもらったけど、今度は僕らが皆さんの街に遊びに行きます!」とも告げていたので、今後、正式なスケジュールの発表に期待していてほしい。(小池宏和)
flumpool @ 日本武道館

01 Because… I am
02 覚醒アイデンティティ
03 Calling
04 微熱リフレイン
05 どんな未来にも愛はある
06 two of us
07 OLDIES but GOODIES-flumpool武道館スペシャル-
「labo」「Hello」「388859」「タイムカプセル」「Present」「流れ星」「ベガ~過去と未来の北極星~」「ハイドレンジア」「東京哀歌」 「フレイム」
08 証
09 花になれ
10 強く儚く
11 君に届け
12 reboot ~あきらめない詩~
13 MW~Dear Mr. & Mrs. ピカレスク~
14 星に願いを
15 夏Dive
16 イイじゃない?
encore
17 Belief ~春を待つ君へ~
18 OAOA
19 大切なものは君以外に見当たらなくて
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする