DIR EN GREY @ 新木場STUDIO COAST

9月18日の神奈川・横浜BLITZ公演(ファンクラブ『a knot』限定)から幕を開けた、『TOUR2013 GHOUL』。その国内編の終盤に迫った東京・新木場STUDIO COASTの二日目である10月19日に足を運んだ。そう、今年の5月に、京が扁桃腺炎を押してステージに立った会場である。あの日も、そんな病状を感じさせることのないパフォーマンスを完遂していたが、今日は、よりいっそう伸びやかなハイトーンや、断末魔のようなシャウト、そして危機迫るような表情と、とびっきりの笑顔を見せてくれた。彼らに(悪い意味で)裏切られたことは皆無だが、そんな中でも、かなり充実したライヴだったと言えるのではないだろうか。

開演のアナウンスがあっただけで、ぎゅうっと前に押し寄せるオーディエンスの熱さは相変わらず。そしてぶっつりと客電が消えて、白い幕がするすると上がる。拍手に包まれて5人が現れると、京は髑髏のメイク、というかフェイスペインティングが物凄い迫力だ。ツアータイトルに掲げられたghoulとは、食屍鬼や墓場荒らし、といった意味。彼が食わんとしているのはオーディエンスなのか、自らの楽曲なのか、ライヴの空間そのものなのか!? そして、薄暗いまま始まったのは、まさかのナンバー! まだツアー中なので詳しくは書けないが、これは曲順が凄く重要なライヴなのではないだろうか。

初っ端からフロント陣は鮮やかにステージを飛び回る。オーディエンスも、熱い拳で応える。そして、曲間には自然と沸き上がるコール。興奮せずにはいられない気持ちもよくわかる。“凱歌、沈黙が眠る頃”の時に辺りを見渡すと、頭を無心で振る人、ひたすら叫ぶ人、となかなかカオティックな状況になっていたのだが、これぞ形骸化されたスタイルをブチ破るほどの興奮であり、魂の開放なのだろうと、納得させられた。

映像はもちろん、紗幕の内側で演奏したり、Co2が効果的に使われたり、ドラマティックな演出もちりばめられていく。しかし、どちらかと言うと、楽曲をしっかり聴かせるとか、自分たちのパフォーマンスを魅せるとか、オーディエンスと一体となったケミストリーを求めるとか、そういったライヴそのものの根本的な在り方を示しているような印象が残った。「コースト! コースト!! 一つになれるか!?」と京が叫んではじまった“OBSCURE”では、サビでシンガロングが響き渡り、ToshiyaがDieの元へ走り寄り向き合って弾く場面も。そんな中でも、特に心に刻まれたのは“THE FINAL”。《生きてる理由(わけ)》という歌詞を、感情が溢れるままに叫ぶ京。そこに手を伸ばすオーディエンス。人々がDIR EN GREYに何を求めているのかが、表れているような景色だった。それに応えるように、最後、本当に、本当に長々と歌い上げた京。まるで命や希望と繋がっている気がした。本編の最後も感動さえ覚える締め括り方で、やはり彼らは一筋縄ではいかないと再確認したのだった。

いつも彼らのライヴのアンコールは、本編とは違った人間臭い空気が流れるのだが、今日もそうだった。メイクを落とした京はステージを縦横無尽に動き回り、指差したり笑顔を見せたり。そしてフロント陣もぐいぐいと前に出る。そして、オーディエンスの息がぴったり合ったジャンプやシンガロングも、彼らもメンバーだと思わせられるほど見事だった。演奏を終えた後も、ピックや水、スティックを投げ、オーディエンスとコミュニケーションをとり続けるメンバー。誇らしげにタオルを掲げるDieとToshiyaの姿は、今日のライヴに対する達成感を示していたと思っていいのではないだろうか。

全18曲。2時間足らずだったから、決して長いライヴではない。しかし、長尺の楽曲を合わせたセットリストだった、と後で気付いたくらい、あっという間の時間だった。この後、大阪の2Daysを経て、来月には北米とカナダに旅立つ彼ら。そして、年明けの1月にはニューシングル『Sustain the UNtruth』のリリース、3月には、2011年にリリースされたアルバム『DUM SPIRO SPERO』を掲げた日本武道館2daysも控えている。常に衝撃を与えてくれる彼らの動向は、やはり一瞬も見逃せない。(高橋美穂)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on