アーティスト

    AA= @ 代官山UNIT

    AA= @ 代官山UNIT
    「今日もたくさん集まってくれてどうもありがとうございます! 今年に入ってAA=、今日で3回目のライブなんだけど……ちょっと少ないね(笑)。そんな貴重なライブにこうやって来てるみんな、ラッキーだぜ!」というTakeshi Uedaのコールに、肌寒いくらいの外の空気など微塵も感じさせないほどの熱気に満ちた超満員の代官山UNITから熱い歓声が湧き上がる! 9月4日の『WARWARWAR』、9月18日の『HUMANITY2』とデジタル・シングルを連続リリースしたAA=のプレミアム・ワンマン・ライブ=『Digital single release special live WAR3-HUMAN2 NIGHT』。Takeshi UedaのMCの通り、1月の『SPEEDSTAR RECORDS 20th Anniversary Live 〜LIVE the SPEEDSTAR 20th〜』出演、5月の『Ozzfest Japan 2013』出演に続いて、これが今年3本目のライブということで、そんなレアな一夜に集まったオーディエンスの期待感と情熱は開演前から暴発寸前だったが、そんな観客の想いを遥かに凌駕するだけの途方もない爆発力と強度を、この日のAA=は見せてくれた。

    19時の開場から展開されていたYOSHIYA(RADIOTS)&HIROSUKE(BALZAC)のDJが、会場の熱量をさらに高めたところで、20:08、いよいよAA=のアクトがスタート。うおおおっと歓声の沸き上がるフロアに向かって静かに手を合わせ、すでに上気しまくったオーディエンスの顔を指差し、「ぶちあげてくぞ!」と叫び上げるTakeshi。そして――1曲目からいきなり投下されたのは“WARWARWAR”! 脳細胞がバグりそうな音圧のビートと爆音の中、切迫感の塊のような絶唱で《WAR!!!》《TIME HAS COME》と畳み掛けながら、轟々とエネルギーを噴き上げていくTakeshiとTakayoshi Shirakawa(Vo/BACK DROP BOMB)。超硬質ディストーション・サウンドで聴く者すべての衝動と焦燥感を燃え盛らせるMinoru Kojima(G)のギター・プレイ。Takeshiいわく「AA=のイケメン代表」こと金子ノブアキに代わってこの日のステージでリズムを打ち鳴らすZAX(Pay money To my Pain/The BONEZ)の、ヘヴィなアンサンブルを底からがっつり揺さぶっていくパワフルなドラミング……それらが超合金合体的な剛性と圧巻のスケール感でもって、UNITの空間に響き渡っていく。「Takeshi Uedaのソロ・プロジェクトとそれを支えるサポート・メンバー」といった枠組みは。Takeshiの放つ強烈なヴァイブに触れた瞬間に雲散霧消し、Shirakawa/Kojima/ZAXのみならず観ているこっちまで誰ひとり残さず「当事者」に変えていく決意とタフネスが、その音と叫びからあふれ出してくる。

    高々とベースを掲げるTakeshi。クラップを煽るZAX。そのまま『#2』の“2010 DIGItoTALism”&『#1』の“FREEDOM”を連射したところに、2011年の最新アルバム『#3』から“DISTORTION”“posi-JUMPER”“sTEP COde”とヘヴィでダイナミックな楽曲を極限炸裂させていく。鼓膜どころか全身震撼レベルの轟音を至近距離で浴びながら、その痺れるような感覚の奥底から轟々とエネルギーが沸き上がってくるのがわかるし、そのサウンドがフロアを爽快なカオスに叩き込み、次々とクラウドサーフを生んでいく。「今日はね、ラッキーなやつらがこんだけたくさん集まってくれたからね。最高の一日にしましょう! 楽しんでいこうぜ!」というTakeshiの言葉を挟んで、ハードコア・サイドの結晶のような音像の果てに雄大なメロディの風景を描く“The Klock”、アラームのようなシンセ音と熾烈なビートが感覚神経を研磨する“GREED...”……とさらに楽曲を積み重ねていく頃には、この場に集まった誰も彼も汗だくになるほどの熱量が渦巻いている。アッパー&アグレッシブな8ビート・ナンバー“meVIR”、重金属スカ・ナンバー“ROOTS”といった楽曲から滲む不屈のパンク・ロック感も痛快だったし、今この時代への誠実で真摯な危機意識がどこまでも獰猛に吹き荒れる“ALL ANIMALS ARE EQUAL”“I HATE HUMAN”も最高だった。そして、それらの楽曲がニュー・シングルの楽曲と織り重なることで立ち昇るAA=の「今」の音は、確実に「その先」――11月27日『#』&12月11日『4』と連続リリースされるアルバムの世界を期待させるのに十分すぎるものだった。

    「俺らにとっても最高の夜になってます。どうもありがとうUNIT! 最高だぜ!」とフロアに呼びかけるTakeshiに応えて、さらに熱い歓声が巻き起こる。「友達少ない上田剛士ですが、そんだけ大事な大事な友達です。BALZAKのHIROSUKEと、RADIOTSのYOSHIYAです。どうもありがとう!」と、この日DJを務めた2人に感謝を伝え、「今残ってるエネルギーを持って帰るなんてことしないで、全部ここで使い切ってください! 出し切るぞUNIT!」という絶叫からラストの“WORKING CLASS”でフロアにヘヴィ・ロック理想郷のような風景を描き出して……本編終了。アンコールではもうひとつの新曲“HUMANITY2”の目映いメロディとサウンドスケープを高らかに響かせ、“LOSER”の爆走スラッシュ・ビートでフロアを混沌の真っ只中へと導いてみせる。

    「やっぱりライブやるのは最高の気分です! どうもありがとう!」と満足げな表情でTakeshiが告げる。「今レコーディングやってて、やっとこさ、来月の終わりと、12月のアタマに、2回連続でアルバムが出ることになりました!」とアルバム『#』『4』について触れた後、「最後の曲はやっぱり、『あの曲』できっちり締めたいと思います」とさらに語るTakeshi。「正義ってやつは、時としていいように使われたり、おかしなことになることもあるけど……やっぱり正義ってことを意識してないやつ、どうでもいいと思ってるやつ、そんなやつらのしゃべる言葉、レコード、最低なもんだと思ってます。自分の正義を信じて、真っ直ぐ、平和に、PEACEに進んでいきましょう。ブレんじゃねえぞUNIT!」。渾身の雄叫びがフロア一面に沸き上がる。最後の曲はもちろん“PEACE!!!”。曲の冒頭で「今日まで、あらゆる世界の技術は、貧困、暴力、そして不平等によって進んでいます。そして俺たちは、未だにそれを解決する術を持っていません。だから俺たちは、この歌で、抵抗します!」と力の限りに叫ぶTakeshi。重戦車級ハードコア・サウンドと《PEACE!!!》のシャウトとともに巻き起こる、満場のピースサイン……時代に真っ向から立ち向かうTakeshi Uedaの奮い立つ闘争心と鋭利な音楽探究心が結実した、至上のアクトだった。

    すべての音が止んで、Shirakawa/Kojima/ZAXがステージを去ったところで、「そうだ俺、大事なこと言うの忘れてた(笑)。あのー、ツアーやります!」とさらっと重大発表するTakeshi。2枚のアルバムを引っ提げての待望のツアー『AA= TOUR #4』、1/23(木)梅田CLUB QUATTRO、1/24(金)名古屋CLUB QUATTRO、1/26(日)仙台 JUNK BOX、2/9(日)恵比寿LIQUIDROOMの4公演にわたって開催である(このツアーもドラムはZAXが担当)。「出不精な上田剛士が旅に出るんで、みんな遊びに来てください!」という彼の言葉に、惜しみない拍手喝采がいつまでも続いていた。(高橋智樹)

    [SET LIST]
    01.WARWARWAR
    02.2010 DIGItoTALism
    03.FREEDOM
    04.DISTORTION
    05.posi-JUMPER
    06.sTEP COde
    07.The Klock
    08.GREED...
    09.meVIR
    10.ROOTS
    11.TEKNOT
    12.ALL ANIMALS ARE EQUAL
    13.I HATE HUMAN
    14.WORKING CLASS
    Encore
    15.HUMANITY2
    16.LOSER
    17.PEACE!!!
    公式SNSアカウントをフォローする

    人気記事

    最新ブログ

    フォローする
    音楽WEBメディア rockin’on.com
    邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
    洋楽誌 rockin’on