前代未聞のラインナップで大成功を収め、伝説となった初回から3年。待望の第2回・「LUNATIC FEST.2018」が幕張メッセで開催された。主宰であるLUNA SEAとの縁が大きなテーマだった初回と違い、「LUNA SEAが今共演したいと思うアーティスト」が招かれた今回。一見ジャンルやカテゴリーが違って見えるアーティストも多く、より革新的な局面の連続だった2日間は、まさしくそのジャンルやカテゴリーという概念が、ロックのもとには意味をなさないことの証明だった。本稿では2日目・6月24日の模様をお送りする。
まずトップバッターとしてMOON STAGEに立ったのは、前回と同じくLUNA SEA結成当初の表記である「LUNACY」。幕張メッセが朝11時とは思えないダークな気配に包まれ、文字通り「狂気」を自ら体現するオープニングだ。ただならぬ空気を引き継ぎ、対面に位置するMOTHER STAGEに登場したのはTHE ORAL CIGARETTES。LUNA SEAらが牽引するシーンへのピュアな憧れを語りつつ、その敬愛を自らのロックに込めて若き爪痕を残していく。続くOLDCODEXはヘヴィなサウンドとアートの刺激を武器に、独創的なアプローチを披露。
lynch.、MUCCが続いた時間は、ある意味LUNA SEA直系の後輩としてのプライドを懸けた熱演勝負だ。初出演のlynch.は、LUNA SEAの“SLAVE”カバーをプレイして愛情を表し、“TRIGGER”ではJとの共演も実現。一方連続出演のMUCCは、未発売の新曲を織り込んで攻めの姿勢を見せつつ、“KILLEЯ”のギターソロに“ROSIER”のフレーズを混ぜるにくいアレンジが絶妙。血を受け継ぎ、現在のシーンを支える確かな存在感を見せつけた。そうして多様なロックバンドが鎬を削る中、颯爽と現れたのは大黒摩季! 長くサポートを務めてきた真矢のドラムを従え、国民的ヒットソング連発でオーディエンスの心をがっちり掴み、ラストは“ら・ら・ら”の大合唱が幕張を包み込んだ。
そしてふたたびバンド同士のバトルが再開するのだが、ここからラストにかけて、邦楽ロック界の歴史に名を刻む猛者たちの競演は、さながら異種格闘技戦の様相を呈する。まずは上田剛士率いるAA=が、攻撃的なデジタルハードコアサウンドにポジティブなメッセージを乗せてドラマティックなステージを展開すると、続いて遠慮なしの武闘派スタイルで攻めたBRAHMANは、震災後石巻で親交を深めたという熱いエピソードとともにSUGIZOと共演。“満月の夕”の力強くも優しい調べが、一際胸に響いた。そこへ、圧倒的な音圧で以て空気を根こそぎ塗り替えるLOUDNESSが降臨!
ラスボスばかりの頂上決戦ここに極まれりと、熱が高まりきった会場に現れたのはYOSHIKIだ。その儚くも凛としたピアノの音色で、また一瞬にして会場の空気を変えてみせる。hideの貴重なボーカル音源とともに奏でられた“HURRY GO ROUND”を始め、RYUICHIやGLAYのTERUらと魅せたスペシャルなコラボは、その貴重さもさることながら、溢れる愛情があまりにも美しい名場面だった。
熱狂を締め括るのはもちろんLUNA SEA。“LOVELESS”から、2曲目で“ROSIER”を投下する攻めっぷりに、“I for You”ではYOSHIKIのピアノと初共演。そんな定番曲のパワーに加え、最新アルバム『LUV』からの“誓い文”、“BLACK AND BLUE”で描いた多幸感溢れる世界観が、最新のLUNA SEAを強く印象付ける。個々のサウンドはますます研ぎ澄まされ、それが重なった時の唯一無二のグル―ヴは今、深く温かい包容力を持ち合わせている。それが今の彼らが持つ力であり、だからこそ、こんな型破りなフェスを実現させてしまうのだと心から実感するアクトだった。
さらにアンコールは、出演者が入り乱れての“STORM”セッションへ突入! LUNA SEAに憧れて楽器を手にしたアーティスト、LUNA SEAが縁を繋いだアーティストがひとつの楽曲で交わっていく、一瞬一瞬が宝物のような時間は、圧巻のフィナーレにして、そのままこのフェスの真髄でもあった。この光景に、オーディエンスもまた自らのカテゴリーを壊し、新しい出会いを経験しただろう。初回とは明らかに違う余韻を生み、「LUNATIC FEST.2018」は幕を閉じた。LUNA SEAが進み続ける限り、「LUNATIC FEST.」も進化するに違いない。またいつかこの幕が上がることを願いながら、しばらくは数えきれない思い出に浸ろうと思う。(後藤寛子)