TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - MAN WITH A MISSIONMAN WITH A MISSION
タワーレコードの主催により初めて開催されたイヴェントで、公式サイトによればBowlineとは「結び目の王」とも呼ばれるロープの結び方の意なのだそう。音楽を通して人々を強く結びつけんとする思いが込められたこのイヴェントは、一組のアーティストに出演者のキュレーションを依頼するという方針を掲げ、今回その白羽の矢が立ったのはMAN WITH A MISSIONであった。かくしてMWAMは、「肉食」のテーマのもとに若手からベテランまでアーティストたちを招集。海外勢から唯一の参加予定だったDJ STARSCREAMことスリップノットのシドは残念ながら出演キャンセルとなったが、それでも錚々たる顔ぶれのラウド・ミュージック祭りとなったのだから恐れ入る。横浜アリーナで繰り広げられ、12000人の動員を記録した1日を、駆け足でレポートしたい。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - AIR SWELLAIR SWELL
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - AIR SWELLAIR SWELL
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - CrossfaithCrossfaith
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - CrossfaithCrossfaith
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - CrossfaithCrossfaith
正午前にオープニング・アクトのAIR SWELLが、MY FIRST STORYやSWANKY DANK、BLUE ENCOUNTらとのスプリット・アルバム『BONES』(11/20リリース予定)に収めた新曲“No going back”を皮切りに鮮烈なパフォーマンスで5曲を披露すると、12時30分にいよいよイヴェント本編が開演だ。トップ・バッターのCrossfaithは、扇動的にして華々しいエレクトロ・サウンドを交えた現代的なメタルコアで、猛烈なスタート・ダッシュを仕掛ける。重厚なギター・バンドのサウンドとレイヴ感たっぷりのシンセ・サウンドが一緒くたにうねり、Kenta Koie(Vo.)は「ここ、何フロアかあるけどさ、全部半分に分かれろ。何するか分かってるよな!?」とオーディエンスを分断してから揉みくちゃの狂騒空間を生み出してくれる。エレクトロニックな音を用いながらも、ラストの“LEVIATHAN”まで生々しいグルーヴをキープしていて見事だった。彼らは11月からのワールド・ツアー(欧州諸国を巡る)に出発し、12月には大阪、名古屋、東京でのファイナル・シリーズ4公演を繰り広げる予定だ。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - SiMSiM
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - SiMSiM
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - SiMSiM
続いては、10月23日にニュー・アルバム『PANDORA』をリリースしたSiMが登場。歪んだギター・サウンドも含めて、パワフルな、しかしこだわり抜かれたSiMの音響美がくっきりと浮かび上がるショウになった。2曲目の“JACK. B”では早々にMAH(Vo.)が客席エリアへと飛び込みんでいたが、空間系エフェクトとオートチューンを駆使した美曲“Rum”の立体的なサウンドの素晴らしさには目を見張るものがあった。更にMAHは、「タワーレコードのイヴェントでこんなこと言うのは勇気がいるんだけどさ」と前置きして、時代の移り変わりと共にCDというフォーマットが廃れてゆく現実があること、しかしエリック・クラプトンとHi-STANDARDのCDに人生をひっくり返された自分がこうしてステージに立っていることを伝えながら「CDってものがこの世からなくなるその日まで、俺はCDの良さを伝えていくって誓うし、そのためには良い作品を作らなきゃいけないと思う」と語っていた。そして、新作ツアーを前にアルバム『PANDORA』からは“WHO’S NEXT”を……やりそうでやらなかった。イントロのみである。11月からのツアーを、ぜひ楽しみにしていて欲しい。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - 10-FEET10-FEET
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - 10-FEET10-FEET
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - 10-FEET10-FEET
お馴染みのオープニングSEをバックに登場した10-FEETは、黒煙を巻き上げるような3ピースの爆走を始める。TAKUMA(Vo./G.)が会場全体のウェーヴを煽ると、ここが泣き笑いのど真ん中、とばかりに2曲目で“RIVER”を投下だ。KOUICHI(Dr.)が「アリーナいいね。囲まれてる感あるね。みんな上見て。天井あるやろ」と前フリし、TAKUMAが「今日は10-FEETのときだけ特別に、天井が開きます!……ここにそんなギミックないわー!!」と、横浜アリーナ恒例のスケールのでかいボケもかましていた。“goes on”でオーディエンスをばっちり弾けさせた後には「ありがとうございました、10-FEETでした! またどっかで……アンコール行きます!」と勝手にアンコールを始め、ひっきりなしに笑いと爆音を提供していたかと思えば「毎日毎日! 同じことの繰り返し!」「どうやったら心が動くねん! 嬉しいことでも悲しいことでも、心が動くものがあるなら教えてくれよ! ラッキーでもいいから!!」とエモーションがだだ漏れになるようなMCを繰り出して“その向こうへ”へと繋いでゆく。アリーナを丸ごと感情の激流の中へと叩き込む、彼らの器の大きさを改めて味わうパフォーマンスであった。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - マキシマム ザ ホルモン/Photo by 浜野カズシマキシマム ザ ホルモン/Photo by 浜野カズシ
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - マキシマム ザ ホルモン/Photo by 浜野カズシマキシマム ザ ホルモン/Photo by 浜野カズシ
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - マキシマム ザ ホルモン/Photo by 浜野カズシマキシマム ザ ホルモン/Photo by 浜野カズシ
いきなりBPMの速い“恋のメガラバ”でオーディエンスをダンス地獄に突き落としたマキシマム ザ ホルモン。「横浜アリーナだって。ウケるんですけどー。あたし、とんねるずとユニコーンのライヴでしか来たことない!」「素晴らしい若手たちと、素晴らしい大先輩たちに囲まれた、10-FEETとあたしたちの中間管理職、いかがでしょうか」とナヲ(ドラムと女声と姉)が笑いを振り撒く。“便所サンダルダンス”、“ビューティー殺シアム”、“ロックお礼参り~3コードでおまえフルボッコ~”といった『予襲復讐』の楽曲群を性急かつ前のめりな演奏で繰り出す合間には、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)が「肉食を通り越して痛風ですから。(BRAHMANの)RONZIさんに、通風にまけるなー、って言われた。メタリカのラーズみたいになってた。スリップノットじゃなくてメタリカ来たんかなと思って」と語ったり、はたまたナヲは「通路で脇に寄って、おはようございまーすって挨拶したら、(BRAHMANの)TOSHI-LOW神に壁ドンされて(笑)あたし今日女の子になってるから」と共演者ネタにも余念がない。恒例、恋のおまじないは、「反る」ヴァージョンの希望者が多かったにもかかわらず、なぜか「跳ぶ」ヴァージョンを敢行。最後は“恋のスペルマ”、さすがである。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - BRAHMANBRAHMAN
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - BRAHMANBRAHMAN
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - BRAHMANBRAHMAN
音の密度が異様に高い渾身の“初期衝動”を放ち、「究極の人間のおっさん、BRAHMANはじめます!」とTOSHI-LOW(Vo.)が名乗りを上げる。アンサンブルはもちろん凄まじいのだが、実際のライヴの映像と強烈なヴィジュアル・エフェクトが入れ替わり立ち代わりで描き出す視覚的な演出も素晴らしいものになっていた。間断なく続くパフォーマンスの中、オーディエンスは“BEYOND THE MOUNTAIN”にハンド・クラップで食らいつき、或いは“警醒”の耳をつんざくようなコーラスに加わる。そしてTOSHI-LOWの息を切らしながらも饒舌なMCは、子供を連れてパシフィコ横浜のマンモス展『YUKA』に赴いた際、マンモスの等身大ポスターの脇になぜかMAN WITH A MISSIONの姿があって「あれは人間なの? オオカミなの?」と質問されたというエピソードから始まり、「オオカミは、ギター=向井秀徳。ヴォーカル=日高央(ヒダカトオル)。ベースは、昨日はKenKenだったんだけど、ひなっちもウエノコウジも掴まらなくて、今日は特別にチャットモンチーのあっこ(笑)。よく見ると胸が膨らんでるから」と、えらく豪華なネタで笑いを誘う。そして、「マンモスが絶滅した理由は知る由もないけど、俺たちはニホンオオカミが絶滅した理由を知っていて……」と、ヨーロッパや日本においてときにオオカミは信仰の対象だったという話も絡めながら、人間の業を説いてゆく。「おれの知ってるオオカミたちは……」と福島で知り合った人々のことを語り、“鼎の問”では未来のために過酷な戦いの中に身を置く人々それぞれのリアルな言葉と写真が、スクリーンいっぱいに映し出されていった。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - Ken YokoyamaKen Yokoyama
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - Ken YokoyamaKen Yokoyama
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - Ken YokoyamaKen Yokoyama
Ken Yokoyamaのバンド・メンバー4人が姿を見せるなり、爆笑がアリーナを満たす。彼らはそれぞれにアルパカの被り物をし、スクリーンには「ALPACA ON THE MISSION」の文字と、オオカミに噛み付くアルパカのイラストが浮かび上がっていた。クソ可愛いのである。“Pressure”でバシッとメロディック・パンク魂を刻み付けると、「君らのニーズが分からんわー。もっとドカーンと来るかと思ったのに(笑)。先輩枠は2つってことで、若い子はジュース飲みに行ってると思うけど、でもベテラン、決めっから!」と被り物を脱ぎ捨てて再び走り出す。日の丸をマントのように纏っての“You And I, Against The World”といい、マイクを客席エリアに投げ入れて「日本で生きる人のための応援歌を作ったわ!」と繰り出される“This Is Your Land”といい、眩いパンク・サウンドが「咲いている」この感じ、これがKen Yokoyamaのステージだ。「伝説の名曲やるわ!」とHUSKING BEEの“Walk”をカヴァーし、「次も、伝説の曲。語り継がれるから伝説なのに、自分で言っちゃうっていうね」と“Punk Rock Dream”も繰り出してみせる。東北ライブハウス大作戦への継続的な応援・支援を呼びかけつつ、クライマックスは“Let The Beat Carry On”からオーディエンスにがっちりと歌い出しを委ねる“Believer”。貫禄を見せつけるKen Yokoyamaの姿がそこにはあった。

TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - MAN WITH A MISSIONMAN WITH A MISSION
TOWER RECORDS presents Bowline 2013 @ 横浜アリーナ - MAN WITH A MISSIONMAN WITH A MISSION
さあ、トリを飾るのはこの日のキュレーターを務めるMAN WITH A MISSIONだ。目下全国ツアー中、前日にはこの横浜アリーナでのワンマンを経てきたという事実もあっただろうか、ジャン・ケン・ジョニー(G./Vo./Raps)の「ウィー・アー MAN WITH A MISSION〜ヌ!!」の挨拶からして自信と気合が迸るライヴであった。さっそくオーディエンスをまとめて“FLY AGAIN”でダンスへと巻き込むのだが、CGアニメーションや幾筋ものレーザーによってド派手にショウアップされたパフォーマンスも、さすがにサマになっている。 “Wake Myself Again”辺りではトーキョー・タナカ(Vo.)とジャン・ケン・ジョニーで絶妙なコントラストが効いたツイン・ヴォーカルを披露していたのだが、“databese”では(期待通りと言うべきか)10-FEETのTAKUMAが参加してオーディエンスを驚喜させてくれる。けたたましくダンサブル、なのにがっちりと引き締まったバンド・サウンドも、オーディエンスを支える土台として機能しているさまがくっきりと見えるようだった。「キュレーターニナッタコトヲ光栄ニ思イマス!」と、改めて出演バンドをコールしてゆくジョニー。「始マッタバカリノイヴェントデスシ、始マッタバカリノバンドデスケド、皆サンハイツマデモ、音楽ヲ愛シ続ケルバカヤローデイテクダサイ」と語り、本編最後は盛大に火柱が吹き上がるステージでの“Emotions”だ。アンコールに応えての“1997”まで、限られた持ち時間でありながらも頼もしいパフォーマンスを見せつけ、そして見事なキュレーターぶりを果たしてくれたMAN WITH A MISSIONであった。

キュレーターの企画次第で、性格がガラリと変わってくるはずの『Bowline』というイヴェント。その初開催にして広い世代を繋ぎ、これだけの規模で大成功を収めたことは本当に嬉しくなった。今後の展開にも、大いに期待していたい。(小池宏和)

■Opening Act - AIR SWELL
01 No going back
02 Kick it Knock it!!
03 I will pay back
04 アンビヴァレンス
05 バッドボーイズ セレナーデ

■Crossfaith
01 We Are The Future
02 Monolith
03 Jägerbomb
04 Countdown To Hell
05 Eclipse
06 OMEN
07 LEVIATHAN

■SiM
01 KiLLiNG ME
02 JACK. B
03 Fall in Love With You
04 Amy
05 Rum
06 WHO'S NEXT (イントロ)
07 Blah Blah Blah

■10-FEET
01 JUNGLES
02 RIVER
03 under the umber shine
04 goes on
05 シガードッグ
06 その向こうへ
07 1sec.

■マキシマム ザ ホルモン
01 恋のメガラバ
02 便所サンダルダンス
03 ビューティー殺シアム
04 ロックお礼参り~3コードでおまえフルボッコ~
05 ビキニ・スポーツ・ポンチン
06 恋のスペルマ

■BRAHMAN
01 初期衝動
02 THE ONLY WAY
03 賽の河原
04 遠国
05 汀に咲く
06 CHERRIES WERE MADE FOR EATING
07 BEYOND THE MOUNTAIN
08 SEE OFF
09 警醒
10 鼎の問
11 ANSWER FOR

■Ken Yokoyama
01 Pressure
02 How Many More Times
03 You And I, Against The World
04 Your Safe Rock
05 This Is Your Land
06 Ten Years From Now
07 Save Us
08 Walk
09 Punk Rock Dream
10 Let The Beat Carry On
11 Believer

■MAN WITH A MISSION
01 FLY AGAIN
02 TAKE WHAT U WANT
03 Get Off of My Way
04 Wake Myself Again
05 databese feat. TAKUMA
06 distance
07 your way
08 Emotions
en. 1997
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