ピエールナイト @ Zepp DiverCity

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - ピエール中野/all pics by 西槇太一 ピエール中野/all pics by 西槇太一
凛として時雨のドラマー・ピエール中野主催イベント『ピエールナイト』。2011年から毎年開催していて4回目となる本イベントだが、例年に負けず劣らず、ジャンルも年代も飛び越えた、文脈を必要としないラインナップがZepp DiverCityに集結した。開場と同時に始まった前田博章の邦楽を中心としたDJにより既にあたたまっているフロアへ、まずはピエール中野による開催宣言。例年は彼の誕生日を祝うために夏に行われている本イベント。今年は本人曰く「TOKIOのサマソニ出演をみんなで盛大に祝おうぜっていう会です!」とのこと。メインステージであるAステージ、フロア内右手後方に特設されたBステージ、フロア内左手前方に特設されたDJスペースの3地点から、約6時間途切れることなくパフォーマンスが行われる。

「最後まで行けますかー!?」というアジテーションのあとにステージの幕が上がり、Aステージに1組目のアーティスト・企画「古都の夕べ」(進行方向別通行区分田中・くそネジ(真部))の登場だ。謎の社会派バンド・進行方向別通行区分の田中とくそネジによるスペシャルユニット、この日はサポートメンバーを入れた4人編成で登場。曲中に「だるまさんが転んだ」をやって全員が一旦ステージから姿を消してしまったり、不思議な歌詞の曲が並んだり、オーディエンスの頭上にはクエスチョンマークが浮かぶ。そのシュールな世界にフロアからは時折笑いがこぼれる。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - いずこねこいずこねこ
Bステージのトップバッターは全国各地で精力的にライヴを行っているアイドル・いずこねこだ。1曲目の“nostalgie el”から「しゃむ!すこ!のら!みけ!やまと!いずこ!にゃんにゃん!」というライブの定番「いずこねこMIX」など、「にゃん!」という掛け声を巻き起こす。背中についたピンク色のリボンやピンク色のしっぽを上下させてぴょんぴょんと跳ねたり、最前列のファンたちにハイタッチしてまわったり、とにかく動き回る。最後まで元気と笑顔を振りまきながら、計4曲を披露した。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - 大森靖子&THEピンクトカレフ大森靖子&THEピンクトカレフ
Aステージの幕が轟音とともに上がり、大森靖子&THE ピンクトカレフのライブアクトのスタートだ。大森靖子自身の楽曲をバンド形式で演奏するというプロジェクトだが、彼女一人ではキラキラしていて隠し味に毒が入ったおとぎ話のような曲たちが、バンドの音で表現されたときに、肉体性を帯び、表情をガラリと変える。赤と黒の鮮やかなドレスを身に纏った彼女は湧き上がる感情に駆られるかのように体を動かし、絶唱やファルセット、囁き声などの様々な唄い方と広い音域を行き来しながら、バンドを従えて壮絶な世界を繰り広げた。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - DJみそしるとMCごはんDJみそしるとMCごはん
ボブカットの髪型にキャップ、スニーカーを履いた小柄な女性が登場。続いて、DJみそしるとMCごはんだ。料理のレシピをラップすることでおなじみの彼女ははじめに“ピーマンの肉詰め”を披露し、「こんな感じでやっていくのでよろしくお願いしまーす」とマイペースでスタート。饅頭のレシピを唄ったあとに実際にせいろの中から饅頭を登場させたり、ピザのレシピを唄って「P・I・Z・Z・A」のコール&レスポンスを繰り広げたり、ふわふわのテンションのまま会場をあたためていく。そのキュートな声はもちろんだが、CMと称して曲間に最近ハマっているというウクレレを演奏して照れ笑いする姿に対してもフロアからは「かわいい!」との声が飛び、和やかな空気に包まれた。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - DJピエール中野DJピエール中野
DJピエール中野のプレイでは、ゲストとしてTOSHI所沢が登場。X JAPANの“X”に乗せてオーディエンスとともにXジャンプを決めたり、「ウィーアー!」「トシ!」というコール&レスポンスを行って会場を揺らしていく。MAN WITH A MISSIONの“FLY AGAIN”やthe telephonesの“Monkey Discooooooo”などの選曲には、押し寄せたオーディエンスの波によってDJテーブルが倒れそうになるほどの盛り上がりを見せた。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - CASCADECASCADE
「俺、観てみたかったんだよねー」とピエール中野から紹介を預かり、荘厳なSEをバックにオンステージしたのはCASCADE。1曲目の“ロングラッチェ”からアクセル全開。「どうもCASCADEです!」と挨拶もそこそこに、テンポの速い曲を連続投下。真ん中にどこかミステリアスなミドルチューン“Sexy, Sexy”を挟み、後半戦から再びアッパーチューンが続き、メンバーも積極的にステージ前方に出てきたり、コール&レスポンスを促している。イントロが鳴らされると一際大きな歓声が起きた“YELLOW YELLOW FIRE”や最新アルバムに収録されている“バーバリアン”など、新旧網羅したセットリストで攻めのモードを見せた。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - 玉筋クールJ太郎玉筋クールJ太郎
「CASCADEの余韻に浸る暇がない」と漏らしながら、ピエール中野も所属するヒップホップ集団・玉筋クールJ太郎の登場だ。初っ端からおなじみの「バイブスコール」でオーディエンスとの距離をグッと縮め、以降、下ネタ満載の曲を続々と投下していく。爆笑と苦笑が混ざった何とも言い難い空気のなか、それでもカンペを思いっきり見ながらのMCでは下ネタ満載&マイペースなトークを展開し、しまいにはオーディエンスとともに卑猥な言葉を大合唱。ラストには全員でピースサインを決め、強烈な印象を残して去って行った。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - BiSBiS
そしてファンの熱気に迎えられる形で登場したBiS。“STUPiG”から「オイ!」コールを巻き起こし、色とりどりのサイリウムがフロアを鮮やかに飾る。キレ味バツグンのパフォーマンスとともにステージを端から端まで駆け回りながら、フロアの前方だけではなく、後方や2階席へもしっかりと視線を向ける。MCで一人ひとり自己紹介をするメンバーに対してファンからは熱烈なラブコールが。。“マグマト”“gugigi”“MMGK”とフロアの温度を上昇させ続け、大きなコールが巻き起こった“nerve”で大団円を迎えた。

ピエールナイト @ Zepp DiverCity - 前田博章前田博章
ピエールナイト @ Zepp DiverCity - カオティック・スピードキングカオティック・スピードキング
KANA-BOONの“ないものねだり”やKEYTALKの“fiction escape”などの高速ロックを中心とした前田博章のDJを挟み、トリを飾ったのは、事前にアナウンスされていたゲストアーティストがそうそうたる顔ぶれということもあって注目度が高かったカオティック・スピードキング。ピエール中野(Dr)、takuto(Gt from about tess)、井澤惇(Ba from LITE)による3人組即興ユニットである。3人でのセッションから始まり、サイプレス上野(MC)を迎えたフリースタイル。再び3人に戻ったあとに、大喜多崇規(Dr from Nothing’s Carved In Stone)、ミト(Ba from clammbon)、中尾憲太郎(Ba from Crypt City/ex.NUMBER GIRL)、岩崎太整(Key)、後藤まりこ(Gt ex.ミドリ)が順に加わり、最後にはHISASHI(Gt from GLAY)も加わって9人が同時に音を鳴らす! 向かい合うようにセッティングされたドラマー2人のビートと岩﨑が弾くうねるような和音に乗って、思い思いに体を動かしながら楽器を掻き鳴らすギタリスト陣と、お互いの表情をしっかりと見ながらリズムを刻むベーシスト陣。35分にもわたるセッション。脳を揺さぶってくるかのような、まさにカオスなサウンドの渦のなかにZepp DiverCityがまるごと巻き込まれる。本イベントにふさわしいともいえる無秩序な音がフィナーレを飾った。(蜂須賀ちなみ)
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