ニール・ヤング、新作『ア・レター・ホーム』で採用した40年代の即席録音をTVで実演

ニール・ヤング、新作『ア・レター・ホーム』で採用した40年代の即席録音をTVで実演

6月25日にカヴァー・アルバム『ア・レター・ホーム』をリリースするニール・ヤングだが、ニールはレコーディングに協力したジャック・ホワイトとともにテレビ番組に出演して、このアルバムのレコーディング方法を再現してみせている。

『ア・レター・ホーム』は電話ボックスのような空間で演奏してそのまま7インチ・シングルに音源を刻んでしまうという、1947年製の即席レコーディング施設である「ヴォイソグラフ」を使ってレコーディングされているが、ニールとジャックはこのブースをそのままテレビの人気トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジャック・ファロン』の収録現場に持ち込んで、レコーディング風景を再現してみせたという。

放送でニールは狭いボックスの中でウィリー・ネルソンの"クレイジー"を披露し、その後、シングルに刻まれた音源にこの晩の出演者全員で耳を傾けたという。収録の前日にニールはビルボード誌にこのブースでのレコーディングについて次のように語っている。

「一発で終わりだからさ。だから、やる時キメなきゃダメなんだよ。あとで修正なんか利かないんだからね。でもね、その方がデジタル博士のテープとかでぺたぺた切り張りなんかするよりはね、ずっと音楽にはいいことなんだよ。パフォーマンスというもののもともとの考え方は、なんか歌った時に感じるものがある、しかも、誰かが書いたすげえいい曲も知ってる、あるいはそれは自分が書いた曲かもしれないけど、とにかく自分にとってすごく意味があって、それがわかってて、その曲を歌って、歌いながらそれを聴いてそれを感じるわけだよね。で、演奏が終わったら、もう聴き直す必要もないんだよ、どういうもんかはすっかりわかってるから。それで完成して、みんなが聴くと、みんなも同じものを感じるはずなんだ」

なお、このブースについてジャックに教えてもらった時、ニールはすでに今回のカヴァー・アルバムの構想を温めていたというが、実際にこのブースを試してみた時の手応えを次のように振り返っている。

「なんかレコードを作ってみて、どの曲だったかは憶えてないんだけど、とにかく、出来上がったものの音が気に入ったんだよ。それで『これなら、アルバム1枚分作れるな』って話になってね。するとジャックが俺の顔をまんじりと見つめてるから、『だから、これでアルバム1枚作れると思うんだよ。なんかやり方考えようぜ。一緒にやろうよ。きみの助けがあれば、音源を作り直すことができるし、それで作品全体を作れるよね』ってね」

なお、アルバムではウィリー・ネルソン、ゴードン・ライトフット、フィル・オクス、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーンなどの楽曲を取り上げているが、その音についてニールは特に次のように語っている。

「本当にクオリティーが時を越えてるんだよね。どうやって作ったのか知らなかったら、きっといつの時代の音源なのかもわからないはずだよ。俺が作った昔のレコードなのか、あるいはほかの誰かのものなのか、区別がつかないと思うんだ。そこが特にすごいなと思って、斬新だったよね」

ただ、「カヴァーという言い方は俺は好きじゃないんだな」ともニールは語っている。

「その言い方はこのアルバムの本質を見誤らせるものなんだよ。これは実際のところ、むしろパフォーマンス・アートの作品なんだからね。具体的な曲なんだよ。ある曲のパフォーマンスとある曲の本質。この作品はそういうものなんだよ」

ニールのブースでのレコーディング風景はこちらから。
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