ニール・ヤングが、著作権侵害でトランプ大統領を訴える

ニール・ヤングが、著作権侵害でトランプ大統領を訴える

ニール・ヤングが、著作権侵害でトランプ陣営を正式に訴えた。NYの民事裁判所に書類を提出している。公式サイトにその内容が掲載されている。

https://neilyoungarchives.com/news/5/article?id=Law-Complaint-pages1-6&fbclid=IwAR1K9P32FyufXJuiNzfKNHRlXBiTnkhesmcs65f9G1so9wfObsEdfUGrW38

この中で、彼の曲“Rockin' in the Free World”と“Devil's Sidewalk”をトランプ陣営はラリーで使う権利がないとして、著作権侵害を訴えている。

「この訴状は、大統領候補を支持する自由の権利があるアメリカ国民の意見や権利を軽視するものではない」としながらも、「トランプ陣営は、現在も、またタルサで選挙集会を行なった際も、この2曲を公の政治集会で使う権利は保持していないし、また原告(ニール・ヤング)から使用許可を得ていない」と訴えている。また、「著作権侵害に対する最大限の法廷損害賠償を請求する」としている。

ニール・ヤングの曲は、トランプが大統領選に出馬した当初から使われてきた。彼は、トランプ陣営を訴えると言い続けてきたが、少し前に実は陣営がASCAP(米国作曲家作詞家出版社協会)とBMI(実演権団体)から使用許可を獲得していたと知って、訴えるのは止めたとも言っていたのだ。

しかし、グリーン・デイや、パール・ジャムミック・ジャガーなど、最近は多くのミュージシャンが政治集会で自分達の曲が使われることに反発するようになったため、ASCAPが政治的な目的での使用からは除外することを許可するようになった。

ただし、この裁判には時間がかかるため、結局大統領選キャンペーンの間に裁判が終わる可能性はない。さらに、これまでもミュージシャンが異議を唱えてはきたが、その怒りは結局行き場がない結果に終わることが多かった。また、実際裁判をした場合、これが著作権侵害に当たるのかまだ曖昧なのだということ。Hollywood Reporterも、ニール・ヤングの今回の訴えが勝訴する可能性があるとは言えないと書いている。

しかし、ニール・ヤングはそれを承知で今回敢えて訴えたのだ。そこがニール・ヤングらしい。
https://www.hollywoodreporter.com/thr-esq/dont-bet-neil-young-beating-803166

ニール・ヤングは、少し前に、“Lookin' For a Leader”を“2020”年版に改訂して発表した。

https://youtu.be/HFACj_BfFTg

公式サイトでは歌詞も掲載している。
https://neilyoungarchives.com/news/1/article?id=Lookin-For-A-Leader-2020-single-hearse-theater

この曲は元々2006年『Living with War』に収録されたもの。ここにも書いたが、コロナ禍に自宅から行なったライブでは歌詞を最新のものにして演奏した。その歌詞で歌い直して、今回自宅でレコーディングされた。

また、コロナ禍にクレイジー・ホースと“Shut It Down 2020”の最新版も公開している。


裁判といえば、彼はネイティブ・アメリカンの守る土地への石油のパイプライン(ダコタ・アクセス・パイプライン)建設を反対してきたが、最近裁判によって正式に阻止された。元々オバマは建設を禁止していたのに、トランプが建設を再開すると言ったのだ。なので、ニール・ヤングやマーク・ラファロなど著名人も含め数年闘ってきた。

パイプラインから石油が漏れると、彼らが長年守ってきた水源が永遠に汚染されてしまうのだ。環境保護のためにも、ネイティブ・アメリカンのためにも、これが阻止されて本当に良かった。ニール・ヤングはボブ・ディランのカバーとともに、当時プロテストに参加した映像を「おめでとう」と言って投稿している。

https://www.instagram.com/p/CCbd9dCpkWh/?igshid=7ek5tauociwx

ニール・ヤングは闘い続けている。
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