50年後の金鉱

ニール・ヤング『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(50thアニヴァーサリー・エディション)』
発売中
ALBUM
ニール・ヤング アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(50thアニヴァーサリー・エディション)

ニール・ヤングの代表作と言えば昔は大ヒット曲“孤独の旅路”を含む『ハーヴェスト』が定番だったが、今ではその前に発表したこの3rdアルバム『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』(70年)を挙げる人が多い。粒ぞろいの楽曲、アルバムとしてのまとまりという点から激しく同意だ。そんなアルバムが発売50周年を記念しリマスターされアニバーサリー・エディションとして出た。

69年冬から70年6月にかけてカリフォルニア州トパンガにあるニールのレッドウッド・スタジオやハリウッドのサンセット・スタジオで録られたものが主となっており、当時クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのライブ、オープニングでもお馴染みとなったハーモニーが美しい“Tell Me Why”、ピアノ弾き語りで迫るタイトル・トラック“After the Gold Rush”、ニールならではの切々と訴えるサビを持つ名曲“Only Love Can Break Your Heart”、初期ニールを代表するギター・バトルが繰り広げられる“Southern Man”、その沸点を超えた熱演を癒やすように流れ出すすっとぼけた味わいの“Till the Morning Comes”、ここまでがアナログA面で完璧。

B面にひっくり返すとひたすら切ない“Oh, Lonesome Me”に始まり“Don't Let It Bring You Down”、“When You Dance I Can Really Love”など、こちらも負けず劣らずの充実ぶり。今回のリマスターは、アナログ感に拘り続けるニールの意向が充分に伝わっているのだろう、びっくりするような変化はないものの中音域の豊かさは明らかに増していて、ギターのニュアンスの深み、ボーカルのまろやかさ、ハーモニーの細部といった面では奥行き深く、長年聴き続けてきたファンから新しい聴き手まで、たっぷりと楽しめるものになっている。

話題となっていたエクストラ・トラックは、ロカビリアン・ジャケで知られる『エヴリバディズ・ロッキン』(83年)で発表されたノスタルジックな雰囲気の“Wonderin'”の2つのバージョン。ひとつは70年3月レッドウッド・スタジオのもの、もう一つは、69年8月にハリウッドのサンセット・サウンドで録られた未発表バージョン。この曲はこの時期かなりお気に入りで、以前アーカイブ・シリーズで出た『Live At The Fillmore East』ではクレイジー・ホースをバックにした演奏が聴けたし、ソロ・セットでもかなりやっており、ここでの2バージョンを聴いても、これほどの出来なのにどうして収録しなかったのか不思議。それも含めこの時期のニール・ワールドの濃密さに改めて酔う1枚だ。(大鷹俊一)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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ニール・ヤング アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(50thアニヴァーサリー・エディション) - 『rockin'on』2021年1月号『rockin'on』2021年1月号
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