自身のソロ作品のコンピレーション盤『The Best』を10月27日にリリースし、ソロ作品の13枚組ボックス・セット『The Lot』を11月11日にリリースするクイーンのロジャー・テイラーが自身の活動とクイーンについて振り返っている。
ロジャーはクイーン+アダム・ランバートとして今年のサマーソニックへの出演も果たしているが、この時のツアーについてクラシック・ロック誌に次のように語っている。
「この間のツアーではアジアとオーストラリアも回ったから、計4か月くらいかけたんだよ。ただもう素晴らしかったとしか言いようがなかったね。まずアダムと本当にうまが合ったからなんだけど。ぼくたちと本当によく馴染んでくれたし、ライヴもものすごく盛り上げてくれたからね。フロントマンとして最高だし、みてくれもいいし、歌はうまいし、それとアダムのスタイルはぼくたちの音楽にすごく合ってるものだからね。アダムはもう最高だよ。おかげでぼくたちも本当に楽しめたし、それがライヴにもよく伝わってきてたと思うよ。お客さんの入りもよかったし、どの町に行っても評判は最高だったし。おかげですごくいい経験になったし、これからが楽しみでしようがないよ。1月と2月にはヨーロッパ・ツアーをやる予定なんだ。すべて順調だよ」
その一方で今後アダムとの作品制作の可能性はあるかという問いに対してロジャーは「なんかやれたら最高だと思うよ。でも、アルバムはないかな。アダムには自分でやっていることもあるし、アダムにとってはそれがまず最大のプライオリティになってるから」と説明している。
また、11月12日にリリースするクイーンのコンピ盤『クイーン・フォーエヴァー~ベスト・オブ・ラヴソングス』に収録される未発表曲についてロジャーは次のように語っている。
「ものすごくざっくり説明するとね、今回のリリースに合せてブライアン(・メイ)と一緒に3曲用意したんだよ。マイケル・ジャクソンが参加している曲("生命の証")はフレディ(・マーキュリー)がマイケルと一緒にレコーディングしたトラックで、これについてはブライアンとぼくが整理したヴァージョンがあって、それはほとんどなにも付け足してない、フレディとマイケルが交互にヴォーカルを取る音源なんだ。それを使って、ぼくたちの友達のウィリアム・オービットに、言ってみればもっとラジオ向きなミックスを作ってもらったんだよ。ウィリアムには違うヴァース部分の音源も使ってもらってるから、実はヴァージョンとしてもぼくたちのとすごく違ってるんだ。だから、違ったヴァージョンが二つあって、今度のアルバムに収録されるのはウィリアムの方のヴァージョンなんだ。それともう一つは"ラヴ・キルズ(バラッド)"で、これはもともとは昔のダンス・トラックで、ジョルジオ・モロダーが手がけてフレディがソロとして制作したものだったんだ。実はぼくたちも当時は内緒でこのトラックの演奏に参加してたんだよ。今回この曲についてはブライアンが楽器演奏の部分だけ(バラード風に)作り直して置き換えるっていうアイディアを思いついて、それでがらっと作りを変えてみて、ぼくとしては格段によくなったと思うんだよ。これはフレディのヴォーカル・パフォーマンスがとても美しいんだ。
それと"ユア・ハート・アゲイン"は昔のクイーンの曲でこれはロサンゼルスで『ワークス』をレコーディングしてた時に結局、仕上がらなかった曲なんだよ。これにブライアンとぼくとでもうちょっと手を加えてみて、バック・コーラスとかをつけてみたらすごくうまくいって、あの頃のクイーンのリズム・セクション全開だし、ぼくにとってはすごくいい感じのサウンドなんだよ」
なお、自身のソロとクイーンとしての活動の違いについてロジャーは次のように語っている。
「ぼくとしてはリード・ヴォーカルって一番自信を持ちにくいものだと思うんだ。というのも、あまりにも主観的な表現だし、その本質があまりにも自分と関わってくるものになるからなんだよね。おまけにうちのリード・ヴォーカルがまたとんでもないやつだったからね、自分がヴォーカルをやるとなるとなかなか微妙なものになってくるんだよ。でも、ぼくたちのバンドではメンバーのソロ活動についてみんなそれぞれに後押ししてたんだよ。ジョン(・ディーコン)が一人でやりたくなったり、ブライアンやフレディーでもね、そんなことになったら、『じゃあ頑張ってね』っていう感じだったんだ。おまけにみんなでそれぞれに相手のソロ・アルバムに客演してたし。フレディなんかぼくのソロ・アルバムでも歌ってるんだよ。だから、本当に楽しかったんだよ、和気あいあいとやっててね」