昨今の不安定な状況下に愛される音楽に、ある共通点が! AC/DCやメタリカなど、注目すべきはアルバム・ジャケットの「色」

昨今の不安定な状況下に愛される音楽に、ある共通点が! AC/DCやメタリカなど、注目すべきはアルバム・ジャケットの「色」

世の中が不安定な状態にあると、新しい何かに手を出すよりも、長きにわたり慣れ親しんできたものに安心感を求める傾向が人間にはあるようだ。

確かに家から出ずに過ごすことが求められるこの状況下、新譜のリリースにも延期が相次いでいるし、この機会に未知の音楽を探してみようという人たちよりは、愛着深い作品を聴いて過ごそうという人たちのほうが多いのかもしれない。

たとえば全米チャートにもそうした傾向は表れている。

ビルボードによる5月2日付のアルバム・チャートを覗いてみると、1位にはダベイビーの『Blame It On Baby』が初登場し、発売以来首位を独走していたザ・ウィークエンドの『After Hours』を2位に蹴落としていたりしていて、上位のほうには新譜がひしめいているが、下位のほうに向かうにしたがってベスト・アルバムの類や、クラシック・ロックの名盤たちが目立つようになっている。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の余波が今も残るなか、クイーンの『グレイテスト・ヒッツ』が32位に粘り続けていて、通算383週目のランク・インとなっているのは特例と見るべきかもしれないが、同様に映画や自伝の話題があったエルトン・ジョンの最新ベストにあたる『ダイアモンズ〜グレイテスト・ヒッツ』も44位(128週目)。


他にも100位圏内にはボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(55位/623週)、CCR(63位/468週)、ビートルズ(64位/417週)、ジャーニー(70位/613週)、ビリー・ジョエル(84位/185週)、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(94位/354週)といったところが顔を並べている。

また、いわゆる歴史的名盤の類については、リイシュー盤などが出るたびにチャートを再浮上することがよくあるが、フリートウッド・マックが1977年に発表した怪物アルバム『噂』が現在も75位につけているのは興味深い。


ただ、今回着目したいのは100位~200位のランキングだ。この界隈には普段からベスト盤やロングセラー作品がたくさん名を連ねているが、そんななかで、いっこうにチャートから姿を消す気配がないのが、AC/DCの『バック・イン・ブラック』とメタリカの『メタリカ』なのだ。

昨今の不安定な状況下に愛される音楽に、ある共通点が! AC/DCやメタリカなど、注目すべきはアルバム・ジャケットの「色」

1980年7月に発売され最高4位を記録している前者は今週付で115位、1991年8月にリリースされ1位を獲得している後者は176位に君臨しており、それぞれ408週、569週目のランク・インとなっている。『バック・イン・ブラック』が発売当時に首位を獲得していない事実に驚かされもするが、当時、それを阻んでいたのはREOスピードワゴンの『禁じられた夜』やジョン・レノン&ヨーコ・オノの『ダブル・ファンタジー』などだった。

この『バック・イン・ブラック』と『メタリカ』について考えてみたとき、ひとつの単純な共通項に気付かされる。後者についてブラック・アルバムという通称が定着していることからも明らかな通り、どちらの作品もジャケット写真が“ほぼ真っ黒”であるという事実だ。

『バック・イン・ブラック』については、ボン・スコット(Vo)の他界(1980年2月19日)からわずか5ヵ月後に世に出ていることからも、この真っ黒いアートワークは弔意を示したものではないかと言われたものだ。

もちろんそうした見た目の共通点よりも重要なのは、双方の作品が両バンドの歴史における大きな転機となったこと、そしていずれの作品も結果的に1980年代、1990年代なりのハード・ロック/ヘヴィ・メタルの基本形というか、ひとつの基準となったという事実だろう。


この両作品は、おそらく今後もアルバム・チャートの200位圏内に居座り続けることになるのだろうし、それこそ噂通りにAC/DCの新作が登場することになれば、『バック・イン・ブラック』がふたたび大きく浮上することになるのも予想できる。

また、いずれにせよどちらの作品もすでに記録的な超ロングセラーとなっているわけだが、かつてロック作品のロングセラーの代名詞とされていたピンク・フロイドの『狂気』(1973年)も、ちょっと強引な見方をすれば“黒いジャケット”のアルバムだと言えなくもない。

彼らにとって初の全米No.1獲得作となった同作は、発売から15年間にわたり200位圏内に居座り続け、その記録はギネスブックにも認定されているとのこと。

昨今の不安定な状況下に愛される音楽に、ある共通点が! AC/DCやメタリカなど、注目すべきはアルバム・ジャケットの「色」

また、もうひとつ強引に加えるならば、ガンズ・アンド・ローゼズの『アペタイト・フォー・ディストラクション』(1987年)も黒地のアートワークを伴っているが、こちらも今週付のアルバム・チャートでいまだに119位に留まっていたりする。

昨今の不安定な状況下に愛される音楽に、ある共通点が! AC/DCやメタリカなど、注目すべきはアルバム・ジャケットの「色」

これらの“黒いアルバム”たちの息の長さ、生命力の強さには驚かされるばかりだが、おのずと家で過ごす時間が長くなっている今日この頃、注目新譜をチェックするばかりではなく、誰にでもいくつかあるはずの“長年手を出し損ねていた、基本中の基本と呼ばれる作品”に耳を傾けてみるのも悪くないように思う。

もちろんAC/DCにしろメタリカにしろ、何よりも気になるのは“次”の作品なのだが。(増田勇一)
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