AC/DCのブライアン・ジョンソン、小規模だが先進的な認知症支援団体に協力を申し出る

AC/DCのブライアン・ジョンソン、小規模だが先進的な認知症支援団体に協力を申し出る

6年ぶりとなる新作『ロック・オア・バスト』を12月3日にリリースするAC/DCだが、ブライアン・ジョンソンはオリジナル・メンバーのマルコム・ヤングが認知症のためバンドを脱退したのを受けて、認知症患者を支援するチャリティ団体への援助を申し出たことが明らかになっている。

ブライアンは、ヨークシャー州トップクリフの村落で小規模な運営を続けているスポーティング・メモリーズ・ネットワークという団体に連絡を入れ、自身の協力を申し出たという。

この団体では鬱や認知症の患者でも特に高齢の男性患者に対して、スポーツに関するエピソードやお話をグループ・セッションで提供し、身体や精神の状態をよくしていくための動機付けにするなどといった活動に従事しているというが、ブライアンはなんの前触れもなく突然この団体に連絡を入れてきて、自身がゲイツヘッドのダストンで育った時の思い出を語ってくれたと団体では明らかにしている。こうした話の中で、ブライアンは当時地元一帯のプロ・サッカー・チームでは最大の強豪だったニューカッスルFCの試合が観たかったのにまかなえなかったため、地元のゲイツヘッドFCの試合を父親の炭坑用の作業椅子を担いで観に行っていたことなどを明らかにしたという。

「うちの親父は俺たち家族をヒューイ・ギャラッチャーが飛び込み自殺をした現場(20年代から30年代にかけて活躍したサッカー選手。小柄ながらも天才的な技術で活躍した。引退後は不遇が続き、ゲイツヘッドで列車への投身自殺をはかって他界した)にまで連れて行ってくれたのを今でもよく憶えているよ。そこで『ヒューイはこれまで存在したどのサッカー選手よりも最高だった』って言われたもんだった。ヒューイは1927年にニューカッスルで戦って1部リーグ優勝を導いた選手で、親父には神のような存在だったんだよ。でも、家族で試合を観に行くとなると安いからゲイツヘッドの試合に行くことになってたんだ。半ペニー程度で行けるような試合だったし」

団体代表のトニー・ジェイムソン=アレンはブライアンからの突然の電話についてノーザン・エコー紙に「こんなスタッフ2名だけで運営しているようなチャリティ団体に世界的に2億枚のレコード・セールスを誇るバンドのヴォーカルの人から突然、電話が入るなんてことは驚異的な活性剤になるものなんですよ!」と語っている。

スポーティング・メモリーズ・ネットワークでは認知症の研究などよりは実際の治療やケアにあたる活動に力を入れていて、今年の5月にはアルツハイマー病協会から治療の最前線にあたっている団体として最優秀賞を表彰されている。しかし、元スポーツ選手など有名人が関わっている団体と較べると圧倒的に注目度が低く、団体の活動の一部には資金不足からやむなく中断しているものもあるという。

「認知症に関連して発生している費用は年間で260億ポンド(約4兆5350億円)ともいわれていて、2030年にはその数字も倍になると言われています。ですから、スポーツの思い出に訴えかけるという、コスト・パフォーマンスの高いスポーティング・メモリー法がしっかり軌道に乗るようにもっと予算を割いてほしいと保健当局の担当者らに訴えかけているところなんです」とジェイムソン=アレンは語っている。

(c) NME.COM / IPC Media 2014

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