デビュー・アルバム『A.M.』のリリース20周年記念ツアーを今月中旬から北アメリカで敢行するウィルコだが、LGBTに抑圧的な州法を可決したインディアナ州ではボイコットのため公演を中止扱いにしている。
予定されていた公演は5月7日のものだったが、バンドはフェイスブックで「インディアナ州の『宗教の自由回復法』はぼくたちには合法的差別をかろうじてぼやかしているだけのようなものにしか思えないんだ」と表明し、この公演を中止にしたことを明らかにしている。
宗教的自由保護法はアメリカの連邦法としても成立している法律だが、ここのところ、州法として条項の変更を加えたものが可決されている傾向があり、特にインディアナ州のものについては「事業主」の宗教的自由を保障するものになっている。これは「宗教的自由」を盾に、たとえば同性愛者に対する雇用の差別を認めるものになっているとして批判を集めている。
インディアナでは3月26日にこの法律が成立し、アップル代表のティム・クックなど多数の企業や団体から大きな批判を呼ぶことになっているが、マイク・ペンス知事は法の改正や撤回を拒否している。こうした動きに対してマイリー・サイラスやシェールなどのアーティストがソーシャル・メディアでこの法律を批判し、インディアナをボイコットするように呼びかけてきたが、実際にボイコットしてみせたのは今回のウィルコが初の事例となっている。
当然ながらインディアナ州のファンからは落胆の声が上がったが、バンドは「いつかこのあくどいやり方が改められたら、その時にはフージャー(インディアナ州人の通称)州に戻ってきたいと思ってるよ」と表明している。
なお、ジェフ・トゥイーディは昨年息子スペンサーとのユニット、トゥイーディとして『スーキーレイ』をリリースしているが、スペンサーとのユニットにした経緯を次のように語っている。
「このアルバムの制作に取りかかった時点で、ソロになるものだとは思ってたんだけど、思い描いていたのは一人でアコースティック・ギターで弾きながら歌っているという図ではなかったんだよ。俺がソロといった場合、それは俺がなんでも全部一人でやるという意味で、自分で曲を書いて、楽器も全部弾いて、自分で歌うってものだったんだ。ただ、スペンサーはごく最初のうちのデモを作ってる時から居合わせてたし、ドラムを叩いてもらって曲が形になるのを手伝ってもらってたからね。そういう意味でこのアルバムはソロ・アルバムなんだけど、デュオのように作られてるって感じなんだ」
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