ニッケルバック、2年ぶりの来日公演「No Fixed Address Tour」東京初日速報レポート!

ニッケルバック、2年ぶりの来日公演「No Fixed Address Tour」東京初日速報レポート! - pic by Michael Mullerpic by Michael Muller

昨年11月に通算8作目のスタジオ・アルバム『ノー・フィックスド・アドレス』をリリースし、現在新作を引っ提げての最新ツアー「No Fixed Address Tour」を敢行中のニッケルバック。

RO69では同ツアーより、およそ2年ぶりの来日公演となった5月30日(土)東京体育館公演のオリジナル・レポート記事を公開しました。

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【ニッケルバック @ 東京体育館】

昨年11月にリリースされたアルバム『ノー・フィックスド・アドレス』を引っさげてのニッケルバックの最新ツアー、その東京公演は彼らにとって初の会場となる東京体育館。洋楽のライヴとしてはレアな部類に入る会場だと思うが、ここはスタンド席がステージ両サイドのみという巨大なバスケットボール・コートのような文字通り体育館で、もちろんスタンドは後方までぎっちり埋まっている。あと、ニッケルバックのライヴで常に感じるのはバンドTシャツ、ツアーTシャツを着用したファンの多さ。彼らがここ日本で非常にロイヤルなファンを獲得してきたことを改めて確認できる場がライヴなのだ。

ほぼ定刻に暗転、『ノー・フィックスド・アドレス』のオープニング・ナンバー“Million Miles an Hour”でこの日のショウはスタートした。のっけから出し惜しみなく全開と言うべきか、華麗なギター・ソロに激重タイトなギター・リフにメロウなメロにとニッケルバックの基本フォーマットを示すパフォーマンスだ。ステージ後方には半円形の巨大スクリーンが設置され、そのスクリーンの外周を激しいフラッシュの点滅が包むド派手な照明効果も効いている。「トキオー!!アリガトゴザイマス!!日本に戻ってこられて本当に嬉しいよ」とチャド、そして「次はちょっとセクシュアルなナンバーだ」と紹介して“Something in Your Mouth”へ。チャドとライアン(G)がリレーするツイン・ヴォーカルが効いている。続く“Photograph”はライアンがアコギに持ち替え、カントリー・ギターとコーラスが高音で混じり合うハイファイな効果が気持ちいい。そして映画『スパイダーマン』の主題歌“Hero”では、この日最初のシンガロングが巻き起こった。

この冒頭4曲だけでも、ニッケルバックが様々な顔を持つバンドであることがわかる。「ハード」「ヘヴィ」という大前提はありつつも、ポスト・グランジのオルタナティヴ・ハード・ロックかと思えば、80年代から脈々と続くショウアップされたヘヴィ・メタルでもあり、よりポップなメロディアス・ロックでもある。“Gotta Be Somebody”なんて彼らがボン・ジョヴィの後継者でもあることを示すド直球のベタさで、ここらへんもニッケルバックが日本のハード・ロック・ファンに愛される所以かもしれない。

ハード・ロック・バンドのライヴの定番とでも言うべき「Tシャツ・バズーカー」コーナーを挟み、「みんなのデヴィルホーンを見せてくれ、コール&レスポンスもやってくれ!」とチャドが叫んで“Too Bad”へ。この日最も硬質ヘヴィなパフォーマンスだった“Edge of a Revolution”から鉄板アンセム“Too Bad”、そしてモトリー・クルーもかくやなドラマティック・メタル・チューン“Animals”への流れが中盤のクライマックスで、満場のオーディエンスとのコール&レスポンスもばっちり決まる。続く“Someday”も大合唱だ。バンドもめちゃくちゃご機嫌で、『スーパーマリオブラザーズ』のテーマ曲をアコギで即興弾きしてくれたりする。この日、「トキオ!」と「アリガトー!」と「Thank You!」を何度も何度も叫んでいたチャドだけれど、彼らのフレンドリーさはファンにもしっかり伝わっていて、MCではメッセージ・ボードを掲げたファンとメンバーの間でコントみたいなことになる一幕もあった。

チャドに「ロック界で最もイケメンなドラマー」と紹介されて照れまくっていた(←可愛い)ダニエルの圧巻のドラム・ソロから、ここまでの流れと一線を画するファンク・リズムが大フィーチャーされた“She Keeps Me Up”へ、オーディエンスのリアクションも縦ノリから横揺れのグルーヴ系に移り変わっていく。そしてここでスペシャル・カバー・コーナー、チャド曰く「ワールドワイド・アリーナ・カラオケ」が始まる。これは曲名を伏せたままイントロ・ドン方式でオーディエンスにその歌を歌ってもらうというもので、「最初はこれ、俺たちと同じカナダのアーティストの曲だよ」とブライアン・アダムスの“Summer of '69”、そして「キャンプファイヤーでアコギを持っていたら絶対弾きたくなる曲」とヒントを出してイーグルスの“Hotel California”へ。“Summer of '69”も“Hotel California”もAメロBメロはなんとなく鼻歌でごまかしつつも、サビは大合唱で応える我々だった。

“Figured You Out”から“How You Remind Me”への本編ラストの流れは文字通りこの日の最高のクライマックスだったのだが、“How You Remind Me”がまさに最高潮のポイントへ差し掛かったところであの地震が起こった。もともとオーディエンスの縦ノリで揺れていたアリーナは地震の横揺れも加わり、天井のライトがぐらぐら揺れているのが見えてちょっと恐怖を感じたほどだった。アンコールで再登場した彼らも「揺れたね」と話し始める。「地震を感じて『クソッ、なんだよ!』って思ったけど。なんだよって?これがロックンロールなのさ!」とチャドが叫ぶと、地響きのような歓声が巻き起こる。そんな彼らとファンの団結と昂揚をいっそう煽るように轟いたフー・ファイターズの“Everlong”のカヴァー、そしてオーディエンスの熱狂が十数分前の地震よりさらに大きな揺れを巻き起こした“Burn It to the Ground”で万感のフィナーレ!いくつかの意味で忘れ難い一夜になった。(粉川しの)


1. Million Miles an Hour
2. Something in Your Mouth
3. Photograph
4. Hero
5. Gotta Be Somebody
6. Far Away
7. Edge of a Revolution
8. Master of Puppets / Walk
9. Too Bad
10. Someday
11. Animals
12. Moby Dick
13. She Keeps Me Up
14. Rockstar
15. When We Stand Together
16. Figured You Out
17. How You Remind Me

En1. Everlong
En2. Burn It to the Ground

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なお、ニッケルバックはこのあと6月2日(火)に大阪・Zepp Nambaでの公演を予定している。
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