2015年8月18日～19日の2日間、UK.PROJECT主催イベント「UKFC on the Road 2015」が、新木場スタジオコーストにて行われた。RO69では、この初日・2015年8月18日の模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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下北沢に拠点を構えるレーベル／プロダクションであるUK.PROJECT主催イベント「UKFC on the Road 2015」が8月18日（火）、19日（水）の2日間、新木場 STUDIO COASTで開催された。今年で５年目となる同イベントのテーマは≪交流と発展≫ということで、リリース歴や所属にこだわらない幅広いアーティストが一同に集結した夏のお祭りとなった。以下では、1日目の模様をライヴレポートでお届けする。

会場に入ってすぐ右手にあるDJブース・RIGHTTZA TENTには、片平実(Getting Better)による屈指のDJプレイで開演前から身体を温めているファンの姿があった。そんな準備万端の観客で埋め尽くされたフロアのメインステージであるFRONTIER STAGEに最初に現れたのは、TOTALFAT！ 「俺らが出てきたってことは、どうなるか分かってるよな？」というShun(Vo・B)の挑発に大歓声で応えると、キラーチューン“Place to Try”でド派手に幕を開けた！ 初っ端から最大級の一体感を生み出したばかりでなく、Limp Bizkitのカヴァー“Rollin’”ではこの日のトリを務める[Alexandros]の川上洋平(Vo・G)、さらに“PARTY PARTY”ではthe telephonesの長島涼平(B)がゲストで登場するという超豪華なステージングとなった。これにはフロアも大興奮で、まるでグランドフィナーレかのような迫力のアクトに、今日一日への期待が一気に高まったようだった。

そしてフロアの下手に設けられたサブステージFUTURE STAGEのトップバッターを務めるのは、asobius。“fireflower”で劇的な幕開けを演出し、甲斐一斗(Vo)が振り上げた指揮棒が魔法を掛けるように“window”の音が優雅に踊る。一曲一曲がひとつのミュージカルのような壮大なストーリー性を持っており、ラストの“大停電の夜に”が終わるまで、まるで劇場にいるかのような心地良さで会場を包んだ。

RIGHTTZA TENTで自称下北沢の守り神・しもっきーの登場に沸いている頃、特大の「祭」うちわを掲げた武井靖典(B)を筆頭にFRONTIER STAGEに現れたのはMO’SOME TONEBENDERの3人だ。「ぐちょぐちょのびちょびちょになって帰ってください」との武井の言葉の後に豪雨の如く降り注ぐ轟音の嵐！ “トーキョーロスト”では雷鳴のように突き抜ける百々和宏(Vo・G)のハイトーンボイスが炸裂、ギター、ドラム、鍵盤を操る藤田勇(G・Dr)の超絶プレイには終始目が離せない。そして静寂と激情が交互に殴り掛かってくる“GREEN&GOLD”で迎えた圧巻のラストは、音の濁流に飲み込まれて思わず眩暈がするほどの迫力だった。

夕暮れの海辺、と思いきや、夜のビル街にトリップ。曲の持つ風景が様々に変容しては空間に溶けこんでいく――SUMMER SONIC2014出演や海外アーティストの来日公演のサポートアクトを務めた経歴を持つ実力派・DATSは、「We are DATS. Here we go」と会場を空間旅行へと誘った。先鋭的なダンスミュージックなのにどこか懐かしさや温もりを感じる、浮遊感に包まれたアクトだった。

西村道男、木下理樹(ART-SCHOOL/Killing Boy)がRIGHTTZA TENTを盛り上げているなか、TOTALFATのShunからの紹介を受けて登場したのは、SUMMER SONIC2015で初来日しているUKバンド・Marmozets！UKFC on the Roadのフラッグに描かれた日本地図を世界地図にしたいという躍進の意気を込めて、前回から海外アーティストを招致している本イベントだが、今回は紅一点のUKハードコアバンドが登場！真っ赤なロングヘアーがなびく美人ヴォーカル……と思いきや、壮絶なシャウトを連発するBecca Macintyre(Vo)に圧倒される！ “Hit The Wave”ではBeccaがフロアにダイブ、さらにはステージを降りてフロアのど真ん中で観客と一緒にヘドバンを始めるアクティブさ！ 会場の盛り上がりっぷりに「This is Amazing！」と感嘆していた5人だが、それを何倍も上回る実にアメイジングなステージだった。

ヒサシ the KID(THE JERRY LEE PHANTOM/THE BEACHES)がRIGHTTZA TENTでプレイしている真っ最中、穏やかなSEに導かれてFUTURE STAGEに静かに登場したPELICAN FANCLUB。しかし “Chilico”を演奏しだした途端に生まれた爆発力は、そのままポップ街道を邁進する起爆剤となった。夢見心地にさせる柔らかなメロディラインに乗ったチクリと刺さる歌詞やシャウトが現実を見させる、まるで白昼夢を見ているかのような感覚に浸ったステージだった。

「ただいま」――それは、自主レーベル・MERZの立ち上げをきっかけにUK.PROJECTから巣立ったTHE NOVEMBERSが、今日のために大事に取っておいたであろう言葉だった。――小林祐介(Vo・G)はUK.PROJECTを家族に例え、家族との久々の再会を心底喜んでいることは物静かに話される言葉の端々から滲み出ていた。そんな特別な夜に似合う “Romance” “Misstopia”、さらには新曲も披露され、会場は絵にも描けぬ美しさで満たされていた。しかしそんな優美な空間は“鉄の夢”で一変する。美と狂気は隣り合わせに存在し、青い炎は赤い炎よりも熱くて危険だということを彼らの音楽を聴くたびに思い出す。「おとなしそうにみえて問題児」と小林が自身のバンドを例えていたが、まさにその通りだ。家族のもとを離れて自立した家出息子の成長を、ひしと感じられるアクトだった。

斎藤雄(Getting Better)がRIGHTTZA TENTで観客を踊らせているなか、FUTURE STAGEではCettiaが憩いの空間を作り上げていた。透き通るような少女らしい歌声のなかに宿した強い意志は、はっきりとした発音に乗って聴く者の心めがけて真っ直ぐに響いた。“SOAR”ではLOST IN TIMEの大岡源一郎(Dr)をゲストに迎え、特別な夜を演出した。

UK.PROJECTの友人枠で今回招待されたのは、ストレイテナー！ 抜群の安定感を誇る“From Noon Till Dawn”で幕開け、ファンキッシュな“The World Record”で会場を揺らす。「実はインディーズの時に、UK.PROJECTにデモテープを送ったことがあります」という裏話から「15年経てば、UKじゃなくてもステージに立てます！」と積年の思いを遂げたことを打ち明けると、会場は特大の拍手を贈った。そして“Man-like Creatures”からの“KILLER TUNE”という絶妙な流れを経て、≪反戦≫を壮大なスケールで描いた最新曲“NO～命の跡に咲いた花～”から“彩雲”へと美しく繋げた。ラストは“Melodic Storm”で特大のシンガロングを巻き起こし、最高の状態でアンカーへとバトンを託した。

FUTURE STAGEのトリを飾るのは、LOST IN TIME。人生の教訓のような言葉の数々を、決して上からではなく、隣で語ってくれる優しさが全ての曲に込められている。その居心地の良さに、聴きながら肩の力がふっと抜けるのを感じた。「あなたの街の歌だと思います」と最後に歌われた“燈る街”に至るまで、全ての音が温かく響いたステージだった。

そして、この日の大トリを務めるのは[Alexandros]！ SEの“Burger Queen”に乗ってメンバーが堂々とステージに現れ、さらに途中から生演奏に切り替わると満員の会場のテンションは最高潮に！ すると川上が突然“Adventure”のワンフレーズのシンガロングを促した。そうして次曲を予期させたのかと思いきや、まさかの“Don’t Fuck With Yoohei Kawakami”を投下するという意表を突いたスタートに会場は驚きと興奮でヒートアップ。さらに連投された“Cat 2”で荒れ狂った空気だったが、“Famous Day”ではまた違った興奮を見せた。「最後の最後まで戦っていたい」という[Alexandros]の信念は、壮大なスケールで描かれる “Starrrrrrr”や“Run Away”にもしっかりと受け継がれている。このバンドにここまでのカリスマ性を感じるのは、決して曲がることのない一貫した姿勢に聴き手がどうしようもなく憧れるからだろう。そして鳴り止まないアンコールで呼ばれた4人は、今日を共に作り上げたスタッフとUK.PROJECT、会場のファンに感謝を告げ、“ワタリドリ”“Kick&Spin”に全ての力を注いだ。

8時間以上に及ぶ長丁場のなか、全てのアーティストがこの「UKFC on the Road」というイベントにこの上ない敬意を込めていたことが何よりも印象的だった。これからも長く続けていくべき、愛に満ちたイベントだと強く感じた一日だった。(峯岸利恵)


●セットリスト

【FRONTIER STAGE】

TOTALFAT
01. Place to Try
02. 夏のトカゲ
03. Rollin'　（Limp Bizkitカヴァー）
04. PARTY PARTY
05. Walls
06. This Life

MO'SOME TONEBENDER
01. FEEVEER
02. トーキョーロスト
03. メタルボーイ
04. ロッキンルーラ
05. nuts
06. 未来は今
07. GREEN＆GOLD

Marmozets
01. Move, Shake, Hide
02. Is It Horrible?
03. Weird And Wonderful
04. Captivate You
05. Particle
06. Hit The Wave
07. Why Do You Hate Me?

THE NOVEMBERS
01. Romance
02. Misstopia
03. 新曲
04. 鉄の夢
05. Blood Music.1985
06. Xeno

ストレイテナー
01. From Noon Till Dawn
02. The World Record
03. Man-like Creatures
04. KILLER TUNE
05. NO ～命の跡に咲いた花～
06. 彩雲
07. Melodic Storm

[Alexandros]
00. Burger Queen
01. Don't Fuck With Yoohei Kawakami
02. Cat 2
03. Famous Day
04. Starrrrrrr
05. Run Away
06. Adventure
（encore）
07. ワタリドリ
08. Kick&Spin


【FUTURE STAGE】

asobius
01. fireflower
02. window
03. love of blue
04. starlight
05. 大停電の夜に

DATS
01. Goodbye
02. Painting
03. Heartbeat
04. Six feet under
05. Some boy
06. Candy girl

PELICAN FANCLUB
01. Chilico
02. プラモデル
03. Dali
04. Capsule Hotel
05. Telepath Telepath
06. 1992

Cettia
01. スワロウ
02. スピレイ
03. ララバイグッバイ
04. SOAR
05. escha

LOST IN TIME
01. 366
02. 30
03. Synthese
04. No caster
05. 希望
06. 燈る街

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