ニール・ヤングは自身で開発した高音質デジタル音源再生システムのポノについて、特に経営面でビジネス・リーダーを必要としていると明らかにしている。
ニールは昨年ポノを事業化し、専用サイトでポノ規格の携帯プレーヤー販売と音源配信を行っているが、将来的にはアメリカから全世界での事業展開を考えていて、そのためにはビジネス・リーダーが必要となってくると、フェイスブックに掲載した報告で明らかにしている。
この報告でニールはポノという事業は「愛に駆られた労働」であって、「21世紀版の偽物の薄っぺらいゼロックスのファックスみたいな代物」のような音源を扱うのとは違うと断っていて、次のようにポノのやろうとしていることをあらためて主張している。
「音楽は重要なものだし、サウンドも重要なものなんだ。別にどんな音楽でもいいということがありえないの同じように、どんなサウンドでもいいということもありえないんだ。サウンドにはその音が持つすべての響き、すべての反響、すべての魂が含まれていなければならないし、それは今日はびこっている劣化した超圧縮音源からじゃどうしたって得られないものなんだよ」
「これまでの道程は楽なものではなかったけれども、俺たちはやりたくて仕方のないことをやっているんだよ。それは音楽のサウンドをすごいものにしてやるっていうことなんだ」
その一方で、ニールはポノを事業化するにあたってその発足資金を資金募集サイトのキックスターターで一般から募り、結果的に6億円を超す資金を準備するのに成功し、ミュージシャンや事業家から多くの声援を受けているものの、まだポノに投資しているヴェンチャー・ファンドは1社のみだと明かしている。そして、将来的にビジネス・リーダーを必要とするはずで、ポノの価値観を共有するそうした人材を探しているところだと説明している。しかし、現状でもなかなかの達成だとニールは次のように綴っている。
「これまでもさまざまな企画がキックスターターで大きな資金を呼び込んできたものの、実際に運営会社を立ち上げ、商品とサービスを提供するところまで辿り着けないままに終わった案はたくさんあるんだよ。現実社会はなかなか厳しいものだけど、ポノはそれを乗り越えてるんだからね」
また、現時点ではまだ資金不足のためあまり事業を拡大できないでいるが、将来的に資金繰りがつけば、カナダやイギリスやドイツなどへと拠点を拡大していきたいとニールは説明していて、「ポノを世界中に拡めて、みんなの心と精神を音楽で満たしていきたいんだ」と訴えている。
なお、高音質の音源ファイルを配信していくにあたって、ポノではワーナー・ミュージック、ソニー・ミュージック、ユニバーサル・ミュージックのメジャー各社やインディ各社のほか、さまざまな音響や技術系のメーカーとの提携も行っている。