2015年、The Birthdayの活動がいつにも増して活発だ。2ヵ月連続リリースのシングルに始まり、先日の武道館ライヴ、ベストアルバム発売、そして秋には8枚目となるオリジナルアルバムのリリース、さらにはそれに続く全国ツアーが控える。バンド結成10周年という節目もあるのだろうが、メモリアルイヤーだから、という理由とは関係なく、いまバンドが「すごく良い状態」にあるのがわかる。それは、先日の武道館ライヴではっきりと感じられた。
ベストアルバム『GOLD TRASH』の発売に合わせた武道館でのライヴは、まさにThe Birthdayのオールタイムベストとも言えるセットリストで、1曲目からダブルアンコールのラストまで、オーディエンスの耳にしっかりとバンドの音を刻み付けた濃密な2時間半だった。“涙がこぼれそう”“KIKI The Pixy”“カレンダーガール”“爪痕”“シルエット”“くそったれの世界”“ローリン”……挙げていけばきりがないほどに、何度もクライマックスがあった。というより、全編がクライマックスかと思うほど、1秒たりともこちらの集中が途切れる瞬間がなかったのだ。終演後には、会場外で発売日より1日早く売られていた『GOLD TRASH』を手にしようと多くのファンが列をなしていたのも頷ける。
10周年なので過去を振り返ってみる、とか、総括してみる、とか、そういうモードではなく、ベスト盤にしても、どこか現在進行形のThe Birthdayが見えてくるから不思議だ。今年に入って発売されたシングル曲も収録されているからかもしれないが(初回限定盤のDVD、Blu-rayにスタジオライヴが収録されている)、ここらで一区切り、みたいな後ろ向きな雰囲気が漂わないのは、バンド自体がぐいぐいと前に進んでいる証拠でもある。武道館のライヴで一番感じたのは、そんな圧倒的なドライヴ感だった。
そのライヴの中盤で、「新曲やるわ」と言って披露したのが“FULLBODYのBLOOD”という曲。これは、2015年10月21日に発売されるニューアルバム『BLOOD AND LOVE CIRCUS』の1曲目を飾る曲なのだが、私はこの日のライヴで初めて聴き、その演奏に完全にノックアウトされてしまった。クハラカズユキが叩き出す肉感的なビート、ヒライハルキのうねるように反復するベースライン。そんな太いリズムにも埋もれないシャープなフジイケンジのギター。背景に映し出されていくシンプルなゼブラパターンがプリミティヴな躍動を煽り、チバのストレートなヴォーカルは意外なほどに官能的に響く。なんてロックなアフロビート! それこそ呼吸すら忘れて、息を詰めてバンドの音に聴き入ってしまった。こうした新機軸というか、新しいアプローチを、ベスト的なセットリストの中盤にためらいなく入れて来るということからしても、バンドが「とても良い状態」にあって、チバ自身もその状態を楽しんでいることがよくわかる。“FULLBODYのBLOOD”。まさに全身の血が湧くような興奮を味わった。これが1曲目を飾るなんて、次のアルバムがとてつもなく楽しみになってくる。
そのアルバムを引っ提げての全国ツアーの詳細も発表された。2015年11月1日(日)横浜BAY HALLを皮切りに、2016年3月9日(水)・10日(木)Zepp DiverCityの2Daysまで、実に全37ヵ所を巡るロングツアー。場所によっては、それほど大きくないライヴハウスでの公演もあって、なるべく数多く、全国のファンに届くように組まれているのが嬉しい。とにかく、大げさでもなんでもなく、いまのThe Birthdayのライヴは見逃してはならない。(杉浦美恵)