【新春特別コラム】ライターが選ぶ2015年、この1曲!~小池宏和編~

【新春特別コラム】ライターが選ぶ2015年、この1曲!~小池宏和編~

RO69新春特別コラム企画としてお送りしている「ライターが選ぶ2015年、この1曲!」、その第2弾としてライター小池宏和の「この1曲」をお届けします。今回選ばれたのは、浜田省吾“誓い”。10年ぶりに発表されたフルアルバム『Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター』の収録曲です。

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【浜田省吾“誓い”】

2015年のベストソングを1曲挙げるコラムということで、浜田省吾の“誓い”を選びました。10年ぶりに発表されたフルアルバム『Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター』の最終ナンバーとして、収録されています。ダウンロード販売や定額配信サービスのおかげで、“誓い”という1曲だけに触れることも簡単でしょう。でも、出来れば、『Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター』を通して聴いて、最後に“誓い”という1曲に出会って貰えると嬉しいです。

1年前に、シリアで日本人が拉致・殺害されるというニュースに触れてから、日々音楽を聴きながらも、ずっと頭の中がモヤモヤとしていました。モヤモヤぐらいで済むならまだ幸せなのかも知れませんが、多くの情報に触れて生きる現代人は、それだけでモヤモヤを抱え込み、活力を奪われてしまいます。11月にパリで起こった悲劇、12月にまた報じられた拉致事件。2015年に戦後70年を迎えたと言われる国があれば、戦争が終わっていないことになっている人もたくさんいて、多くのすれ違いの中で血が流れたり、命が落とされたり。モヤモヤは濃さを増し、日々絶えずのしかかってきます。

浜田省吾の“誓い”は、そんなときの心情にぴったりと嵌る1曲でした。シリアの事件を題材にしている歌ではありませんし、モヤモヤが晴れるわけでもないのですが、今、自分が聴くべき歌はこれだ、という強烈な手応えがありました。浜田省吾は、2016年にソロデビュー40周年を迎えるベテランで、30年前にチャート1位に輝いた名盤『J.BOY』をはじめ、たくさんの優れた作品を残しています。そんな輝かしい功績さえ超えて、オリジナルアルバムとしては18年半ぶりにチャート1位へと送り込まれた『Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター』は、そして辿り着く“誓い”は、2015年を生きるひとりのロックファンの心情に、静かに、ただし強い決意をもって、寄り添ってくれました。

表現の斬新さや個性にも興味がありますが、今このとき、心を揺り動かしてくれた楽曲が、僕にとってのベストソングです。過去を変えることは出来ませんが、音楽は人の心を揺り動かした瞬間に、ちょっとだけ運命の向かう方向を変えます。遠い未来は大きく変わっているかも知れません。今こうしているうちにも、必要としてくれるあなたと出会い、あなたの心を揺り動かすために、どこかで新たな楽曲が生まれているでしょう。すべてのソングライターやミュージシャンに、敬意と感謝を。そしてすべての楽曲が、届くべきあなたのところに届くことを強く望みます。2016年も、よろしくお願いします。(小池宏和)
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なお、年末にはライター3人にコラムで2015年を振り返ってもらいました。
こちらもぜひご覧ください。

高橋智樹編
http://ro69.jp/news/detail/136448

小池宏和編
http://ro69.jp/news/detail/136649

杉浦美恵編
http://ro69.jp/news/detail/136534
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