【コラム】嵐“復活LOVE”で山下達郎×竹内まりやが引き出した5人の「素顔」とは?

【コラム】嵐“復活LOVE”で山下達郎×竹内まりやが引き出した5人の「素顔」とは?

嵐の通算48作目となるシングル『復活LOVE』は、山下達郎が作曲・編曲を、竹内まりやが作詞を手掛けたことでも話題のナンバーだ。
山下達郎はこれまでにもジャニーズのアーティストに数多くの楽曲を提供している。“硝子の少年”や“ジェットコースター・ロマンス”を筆頭にKinki Kidsとのコラボは特に有名だし、少年隊の“湾岸スキーヤー”や近藤真彦の“ハイティーン・ブギ”もそうだから、彼とジャニーズの関係は30年以上の実績があるということになる。ちなみに嵐のメンバーと山下もかなり以前からの知り合いだったようだが、彼が嵐に楽曲を提供するのは今回が初めてだ。

そんな前提も踏まえて“復活LOVE”を聴くと、この曲はこれまでの山下と他のジャニーズとのコラボ曲と比較しても、山下達郎のアーティスト性に嵐を思いっきり「引き寄せた」ナンバーになっているのが印象的だ。嵐のための曲とは言っても、今回は嵐っぽい曲を書いて渡すということではなかったことが分かる。
本ナンバーの基調となっている夜の首都高を流れるテールランプのようなアーバンソウル、ストリングスのアレンジできりっと仕上げられたファンク、そのどちらも山下達郎のメロウチューンの代名詞と呼ぶべきもので、逆にこれまでの嵐が歌ってきたソウル、ファンクのフレンドリーなグルーヴとは一線を画している。「嵐がこういう曲を歌うのは意外」と言うよりも、むしろ「嵐にはこういう曲も似合うのか!」という新鮮な驚きがここにはあるのだ。

ちなみに山下は“復活LOVE”の編曲も手掛けている。つまりディレクター、プロデューサー的立場でも彼は嵐と向き合ったということで、山下がディレクションした本曲のレコーディングでの最大の変化は、5人の「声」の使い方、響き方においてだろう。
嵐の代名詞と言えば、5人のユニゾンだ。直近のシングル“愛を叫べ”などはもろにそうだったけれど、特にシングル曲はユニゾンの美しさ、キャッチーさを中心においてデザインされた曲が主流で、相対的に5人各自の声の個性、歌唱のクセみたいなものは、なるべく目立たないように均一化されてきたという歴史がある。
翻ってこの“復活LOVE”では、ポストプロダクションの段階での声の加工を最小限に留めることで、5人の素に近い声、歌唱のそれぞれの魅力に改めて気づかされる仕上がりになっているのだ。特にAメロとBメロ、ソロパートのリレーからメンバー複数人の入れ替わり立ち替わりのハモりへと続く流れには、思わず前のめりで聴き入ってしまう。
5人の中でも一番「素顔」と呼ぶに相応しい相葉 雅紀の声、基本リリカルだけど、語尾で思わずエモーショナルに転ぶ二宮 和也の歌唱、彼の嵐内での役割を象徴するかのように、5つの個性をまとめていく場として機能している櫻井 翔のフラットな声、クライマックスでもろ達郎風な裏返り&ファルセットのヴォーカリゼーションを披露している松本 潤の甘い声。そして何と言っても“復活LOVE”の艶やかなソウルに相応しい美声を響かせている大野 智。特に今回の彼のヴォーカルは、かつてないほどセクシーと言ってもいい域の艶っぽさでドキッとする。

竹内まりやが手掛けた歌詞も、嵐に新しいラブソングの局面を与えている。嵐のラブソングと言えば、これまでの主流は『花より男子』シリーズの主題歌だった“Love so sweet”であり、“One Love”だった。それらはまさに少女マンガ的な「恋に恋する」ような甘くキラキラした感情の結晶で、恋愛の生臭さはむしろ排除されていた。
それに対して夜のオフィスビルで撮影されたミュージックビデオ、《朝の光の中で 僕らはひとつになる》と歌われる結末まで含めて、“復活LOVE”は恋愛のリアリティや具体性にフォーカスしたラブソングになっている。

今の嵐の大人っぽさ、年相応の男のリアリティへと、アイドルの夢を壊すことなくスマートに移行させることに成功したのが、この“復活LOVE”だとも思う。
生田斗真がフィーチャーされたミュージックビデオ、山下達郎とのレコーディング秘話が語られる特典のスペシャルトークも必見。なのでもちろん、初回限定盤をおすすめしたいです。(粉川しの)

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