【コラム】ONE OK ROCKはどうしてがむしゃらに走り続けるのか?――最新ライヴ映像から読み解く
2016.04.13 12:00
4月6日にリリースされた映像作品『ONE OK ROCK 2015 “35xxxv”JAPAN TOUR LIVE&DOCUMENTARY』は、アルバム『35xxxv』でオリコンチャートの頂点に立ったONE OK ROCKが、驚くほど不安や焦りに苛まれていたことが伝わってくる作品だ。「下手したら道も分からない場所で、たとえ仲が良いと言えども、ひとつの方向を向いて生きていくのはそんなに簡単じゃない」と、さいたまスーパーアリーナのステージ上でTaka(VOCALS)は語っている。
2015年のONE OK ROCKは、ほとんど一年中、世界を股にかけたライヴに明け暮れていた。現在も、米バンドのイシューズ(元ウォウ,イズ・ミーのテイラーらが結成したバンド)のツアーに帯同している真っ最中であり、5月の「METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016」で日本のステージに立った後には、またもやヨーロッパツアーへと乗り出すことになる。まるで、走り続けていないと立っていられない、とでも言うような姿勢である。日本の頂点に立ったアーティストというのは、もう少し余裕に満ちているものではないのか。これではまるで、挑戦者のようながむしゃらな姿勢じゃないか、と思ってしまうところだ。
でも、頂点に立ってしまった者にはもう道標となるものがなくて、彼らにはそのことが分かっていたから、手探りで、がむしゃらにひた走るしかなかったのだ。ロックバンドではなくとも、自分自身の評価と、周囲の評価が折り合わない、ということは日常生活の中で頻繁に起こりうる。自分はこんなに頑張っているのに、と感じてとても苦しい。ただ、どれだけ高い評価を得ている人でも、同じように苦しみを感じているとしたらどうだろう。ONE OK ROCKが目指しているものはチャートの頂点でもどこかのステージでもない、手探りで掴むしかない特別な感覚や光景だとしたらどうだろう。彼らが乗り越えようとしている不安や焦りは、我々が普段感じている不安や焦りと、実はとても近いものなのかもしれない。
ライヴ本編の後半、アコースティックな“Good Goodbye”を起点に、『35xxxv』の楽曲が次々と繰り出される展開が素晴らしい。ONE OK ROCKのロックには、人々を圧倒するようなサウンドを叩きつけるばかりではなく、自分たちの息遣いの中に人々を招き入れて、同じ視界を共有させようとするような力がある。4人でライヴの構成を打ち合わせしながら、真剣に楽しみながら、手探りで特別な光景に一歩一歩近づこうとする。そんなリハーサル風景が収められ、またゲストアクトとの交流も描かれた、ディスク2のツアードキュメンタリーも必見だ。(小池宏和)