レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、ギタリストとしてのプリンスを偲ぶ

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、ギタリストとしてのプリンスを偲ぶ

先月急死したプリンスについてレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロはギタリストとしてあまりにも過小評価されていたと振り返っている。

ローリング・ストーン誌の取材にトムはプリンスの傑出した才能は歌手、作曲家、プロデューサー、パフォーマー、バンドリーダー、ダンサー、マルチ・インストゥルメンタリスト、セックス・アイコンなどとあまりにも多岐にわたっていたため、とてつもないギタリストだったことがつい見過ごされてしまうと語っている。

「偉大なパフォーマーだったポップ・スターはこれまでにもたくさん輩出されているよ。でも、チャートを制したようなポップ・スターで、プリンスのようにギターを弾けた人は歴史上ほかにいないんだ。マイケル・ジャクソンが"今夜はビート・イット"で自分であのギターまで弾いてたとしたら、すごいよね(実際にはエディ・ヴァン・ヘイレン)? でも、そういうことがプリンスには朝飯前だったんだよ。プリンスのギターはいつもインスピレーションに溢れてソウルフルで果敢だった。ジミ・ヘンドリックスのショーマンシップに熟練したジャズ・ミュージシャンの卓越したメロディ・センスを合わせたようなことをやってたんだ。"キッス"のようなジェイムス・ブラウン的なファンク・ギターも弾けたし、"ビートに抱かれて"でのああいうアヴァンギャルドなソロも弾けたからね。これはもうとんでもないソロ演奏で、とりあえずポップ・シングルを聴いて期待するような演奏じゃないんだよね。それなのに、このシングルはこのソロで幕を開けるんだからね」

さらに1984年に公開された時に観たという映画『パープル・レイン』について史上最高のロックンロール映画だと断定し、この映画はプリンスが息をのまされるようなギタリストだったことを思い出させてくれると語っている。"パープル・レイン"のギター・ソロを聴いて泣かないことの方が無理だとする一方で、映画のラストではジャンルの壁を叩き壊すような圧倒的なギター演奏を聴かせるのが圧巻だったと振り返っている。そもそもアルバム『パープル・レイン』そのものがとてつもない偉大なギター・アルバムだったのだとトムは説明するが、なによりもプリンスのギター演奏がすごかったのだと次のように語っている。

「でも、プリンスの数々のギターそのものも忘れられないものだよね。あの♂マークと♀マークとが混ざったラヴ・シンボル・ギターとか、まるで波を象ってるかのような渦巻きギターとか、プリンスが手にしていたギターそのものも、それだけでひとつのメッセージになってたんだよね。しかし、あんなクレイジーな形のギターでなんであんないい音が出せるものなのだろうか? もちろん、それはギターのせいではなくて、プレイヤーがそうさせてるってことだよね。どのギターもプリンスが抱えるとてつもない炎を表出させるものになっていたわけで、それがアンプを通して叫びとして鳴っていたんだね」

なお、他界後さまざまなプリンスの映像を観返しているというトムは2004年にプリンスがロックンロール名誉の殿堂入りした際のパフォーマンスでのザ・ビートルズの"ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス"の演奏の後半でのプリンスのギター・ソロを唯一無二のギタリストとしての証だと挙げている。

プリンスの"ホワイル・マイ・ギター"はこちらから。
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