リンゴ・スター、初期のEMIスタジオで録音ボタンを押せる人間はジョージ・マーティンだけだったと明かす

リンゴ・スター、初期のEMIスタジオで録音ボタンを押せる人間はジョージ・マーティンだけだったと明かす

6月に入ってから自ら率いるオール・スター・バンドでの北アメリカ・ツアーに乗り出しているリンゴ・スターだが、ツアーや3月に他界したジョージ・マーティンなどについて語っている。

今回のツアー・メンバーはここ数年と同じでトトのスティーヴ・ルカサー、サンタナやジャーニーで活躍するグレッグ・ローリー、トッド・ラングレンらが参加しているが、今回は劇場クラスの会場を回っていて、「古めかしい劇場が好きでしようがないよ」とリンゴはローリング・ストーン誌に語っていて「お客さんの顔が全員見えるからね!」とその心境を明らかにしている。

また、近年に入ってツアーを精力的に続けている理由については「ライブをやるのはそれがぼくの仕事だからだよ。ぼくは演奏するのが好きでしようがないし、今でも現役だからね。しかも、偉大なミュージシャンやヴォーカリスト、あるいはソングライターとも今も演奏してるんだから。こうやっていまだに演奏してられるのはやっぱりすごく恵まれてると思うよ」と語っている。

なお、リンゴは新作制作にも取りかかっていることを明らかにしていて、ツアーを断続的に続けながら、その合間に制作を進めたいとしていて、最終的には来年の1月か3月には仕上げたいと語っている。作曲のパートナーにはバンドに同行しているスティーヴ・ルカサーのほか、ヴァン・ダイク・パークス、リチャード・マークス、グレン・バラード、デイヴ・スチュワートなどこれまでもコラボレーションを重ねてきた名うてのライターと作業を進めるつもりだと明かしている。

また、ジョージ・マーティンについては次のように回想している。

「ジョージ・マーティンは偉大で、優しくて、愛に溢れてたね。それとリヴァプールから出てきたパンクス4人組に対してすごく理解があったよ。でも、最初はジョージがボスだったんだ。あの頃の時代はほんとクレイジーだったんだ。録音ボタンを押す権限があるのはジョージだけだったんだから」

それは文字通り、録音ボタンを押せるのはジョージ・マーティンだけだったということなのかという問いにリンゴはさらにこう説明している。

「録音ボタンを押せる唯一の人間がジョージだったんだよ! ぼくたちはまず曲をおさらいして、その間はジョージのエンジニアがぼくたちについてるんだ。それからジョージが入ってきてボタンを押すと(笑)。でも、その後、お互いにいろいろ吸収して変えていったから。昔はジョージの方から、ぼくたちにレコーディングする曲も提案されてたんだよ。ひよっこの新人のくせに『いや、自分たちはレノン=マッカートニー曲をやりますから。ぼくたちには自作曲があるんで』って突っぱねるのって相当なたまだったんだよ。ジョージがほかのソングライターの曲をぼくたちに提案してくれたのは、それが当時のやり方だったからなんだ。昔は曲を書く人と、歌う人と別れてたんだよね。だから、ぼくたちが登場したことで、そこにソングライターも同時にいるっていうことになったんだよ。こういう外部のソングライターの楽曲を4、5曲やってみたあとで、ジョージはぼくたちが自作曲(もしくはカバー)で貫徹したがってるってわかってもらえたんだ。だけど、ジョージが提案してくれた曲はどれもほかのアーティストのヒット曲になったんだよ! でも、これでよかったんだよね。なんせ、うちの連中(ジョンとポール)はものすごくいい曲書くからさ」

また、ジョージ・マーティンのアレンジなどによって飛躍した曲を具体的に教えてもらえないかという問いには次のように答えている。

「ジョージはでも、いつももっと高いレヴェルから見てたよね。だから、『あの曲はジョージのおかげでよくなった』って特にぼくは思わないんだよ。レコードとか作品全体をいつも問題にしてたんだ。だから、ジョージのおかげで曲がよくなることもあれば、ぼくたちの演奏がよくなることもあったし、ほかにもいろんな要素がよくなったと考えられるんだよ。とにかく、ぼくたちとの相性がすごくよかったんだよね。ジョージにやってもらえて本当に恵まれたよ、最初はなんか、パーロフォンなんてロックンロールじゃねーなって思ったけど。でも、レコード契約にありつけただけで嬉しくてしようがなかったからね」 
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