クイーン+アダム・ランバート、フレディに捧げる圧巻の武道館公演を速報レポート

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フレディ・マーキュリーの生誕70年、没後25年となるクイーンが、31年ぶりに日本武道館公演を開催した。オリジナル・メンバーのブライアン・メイ、ロジャー・テイラーに加え、アダム・ランバートが加入した新生クイーンとしては、初の日本武道館公演となった。

RO69では、昨日9月21日(水)に開催された日本武道館公演、初日のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【クイーン+アダム・ランバート @ 日本武道館】

クイーンにとって実に31年ぶり、クイーン&アダム・ランバートとしては初の日本武道館公演、しかもそれがフレディ・マーキュリー没後25年の年に行われるという、何重の意味においてもメモリアルなコンサートとなるのが今回のクイーン&アダム・ランバートの武道館3デイズだ。当初予定されていた2日間は即完、初日となった昨日の追加公演も通常席は完売となり、場内はみっちみちの満員だ。武道館という格好の舞台に加え、クイーンと日本のファンの長年にわたる奇跡のような関係性も相まって、そこには他に類を見ないエンターテインメントが出現していたと言っていい。

パイロが吹き上がる華麗にしてド派手な演出と共に幕が切って落とされたこの日のオープニングは“輝ける7つの海(Seven Seas of Rhye)”。Bメロでアリーナ中腹に設けられたセンター・ステージに繋がる花道をブライアン・メイとアダム・ランバートがゆっくり並び歩いてくると大歓声が巻き起こる。ちなみに冒頭のアダムは顔を黒のバイザーで口元まですっぽり覆っており、その表情を窺い知ることはできない。それによってブライアンの横にいる彼にファンが思い思いのフレディ・マーキュリーを投影できるという憎い演出だ。

この日のステージはアダム、ブライアン、ロジャー・テイラーに加えてセカンド・ドラム、ベース、キーボードの6人編成。ちなみにセカンド・ドラムを叩くのはロジャーの息子のルーファス・テイラー(若かりし頃の父上そっくりの美青年!)だ。舞台の構造は前述のようにメイン・ステージとセンター・ステージが花道で繋がれ、メイン・ステージの上手と下手には階段が用意されていてスタンドのファンに近づけるようになっている。ステージ後方には「Q」の形を模した楕円形の巨大スクリーン、左右にも大小計4枚のスクリーンが設置されている。

オープニングからの数曲は場内を一気に加熱させるゴージャスなロック・チューンを畳み掛ける展開。これぞクイーン流ハード・ロック!な“Stone Cold Crazy”、アダムがバイザーとサングラスを脱ぎ捨て、フレディを彷彿させるレースのタンクトップ姿でショウマンシップ全開になった“Don’t Stop Me Now”は文字通りアンストッパブルな盛り上がり! 続く“Killer Queen”では女王の玉座がセンター・ステージに出現。羽がてんこもりに盛られたジャケット、ヒールが20センチはあろうかという厚底ロンドン・ブーツ姿のアダムが、黒い扇子でパタパタとレディーな仕草で扇ぎながらコミカル&シアトリカルに歌い上げる。それはほとんど『ロッキー・ホラー・ショウ』みたいなことになっていて、このやりすぎ感はフレディへのオマージュと言うよりアダム独自のキャラだろう。フレディの単なるモノマネには陥らないユーモアを交えた距離感と、フレディと同質のエンターテイナー魂を持つ絶妙なバランス感覚が彼にはあるのだ。ちなみに羽ジャケットとブーツは共にフレディの遺した衣装だという。

「ブライアンとロジャーに大きな感謝を捧げたい。彼らはロックンロールの伝説さ! 僕はクイーンのナンバーを歌えることが本当に誇りなんだ。僕はフレディを愛してる。君らもそうだろ? 今日はフレディと共にこの時を祝おう!」とアダム。アダム・ランバートという人はフレディ・マーキュリーに対するヘルシーな「ファン心理」を持つことで、不世出のアイコンの代役を務めるというとんでもない重圧をはねのけることに成功していると思うし、彼の若さ故の無邪気さも武器だ。

ここでこの日の前半セクションは終了、中盤セクションはアダムがいったん退場し、センター・ステージにひとり歩み出たブライアン・メイが深々と会場のファンに向けてお辞儀をするところから始まった。「ミナサンコンバンハ! ゲンキデスカ? トーキョーサイコーネ!」と挨拶するブライアンだが、「イッショニウタッテクダサイ……ア、チョットマッテクダサイ。セルフィークダサイ」と言うや、いきなり小型ビデオカメラを装着した自撮り棒を取り出し、「セルフィー・スティックはきみら日本人の偉大な発明だよ」と言いつつファンをバックに自撮りを始める。2016年の武道館のステージ上でブライアン・メイが自撮り棒を楽しげに使い、日本のファンを撮影する、これほどクイーンと日本の長きにわたるリレーションシップの今日的な姿を象徴する瞬間があっただろうか! 本当に楽しそうにクルクル回りながら(3周日に突入した時にはさすがに会場から笑いがおこっていた)会場の360度映像を撮り終えたブライアンだが、続く彼のヴォーカル&アコギ弾き語りによる“Love of My Life”は、ファンとブライアンが声を合わせて天国のフレディに届けようとしたパフォーマンスで、そこにフレディの声と映像が重なる演出は感動的で、ブライアンの目は少し潤んでいるように見えた。

そして日本ならではの選曲でこちらも大合唱となった“手をとりあって(Teo Torriate)”を終えたブライアンがメイン・ステージに戻るところで、彼の替えのギターを持って来たロジャーと交代、2人が花道で深々とお辞儀し合う様子も微笑ましい。そして「ミナサン、ロジャー・テイラーサン!」とブライアンが叫んで始まったのが、ロジャーがボーカルを務める“輝ける日々(These Are the Days of Our Lives)”だ。スクリーンには昔の彼らの映像が流れ、無邪気に笑い合う若き4人の姿にしばしの感傷的な時間が場内にも漂う。ここからはしばらくロジャーが主役のセクションで、息子のルーファスとのドラム・バトル、そしてアダムがステージに戻っての“Under Pressure”ではロジャーがデヴィッド・ボウイのヴォーカル・パートを務める。スクリーンにはボウイのモノクロ写真が写し出され、ボウイへの追悼の意味も込めたパフォーマンスになっていた。

ショウの中盤がブライアンからロジャーへと受け継がれるリレーだったとしたら、とりわけハードでシリアスなナンバーが並んだ後半は、再びアダムとブライアンにショウのイニシアティブがバトン・リレーされていく流れだった。スモークが分厚く炊かれた幻想的なムードの中でキレキレのギター・ソロを聴かせた“I Want It All”、アダムがカウンター・テノール、はたまたディーヴァのように劇的に歌い上げる“Who Wants to Live Forever”、そしてセンター・ステージに高くそびえるフロートの上で始まった長大プログレなブライアンのギター・ソロが、この日の音楽的、器楽的パフォーマンスの極点を記録した。ギター・ソロ直前のナンバーが“The Show Must Go On”だったこともあり、この後半のシリアスな流れは中盤のレトロスペクティヴから一転、「フレディがいない」という現実に真正面から向き合うクイーン&アダム・ランバートというバンドの姿だったと思う。

そしてショウの最終盤、“自由への旅立ち(I Want to Break Free)”から始まった特大アンセム連打のクライマックスは他でもない、「フレディ・マーキュリー」と「武道館を埋めたファン」を主役としたセクションだった。場内大合唱となった“自由への旅立ち”、そしてバンドの生演奏とアダムのヴォーカルでいったんは始まるも、一番美味しいところでフレディ在り日の既存音源と映像をそのまま流すという荒技をぶっ込んできた“Bohemian Rhapsody”に至っては、この日のショウの真の命題が何だったのかが自ずと明らかになっていたと思う。本編ラストは“Radio Gaga”、オーディエンス総出のハンド・クラップでのフィニッシュだ。

“We Will Rock You”と“伝説のチャンピオン(We Are the Champions)”で大団円を迎えたアンコールではアダムが煌びやかな王冠を被って登場、土産物屋で買ったと思しき微妙なサイズ感の「東京」Tシャツを来たブライアンとのギャップが凄いことになっていたが、これもまたクイーンらしい光景だった。衣装と言えばこの日、アダムとブライアンは何度か衣装替えしたけれど、メンバー全員が常に黒を着ていたのも印象的だった。これだけド派手なエンターテイメントを繰り広げていながらも、自分たちは純白を纏うべき「真の主役」ではないという彼らのスタンスのように。そう、この日のステージは武道館の天井、ちょうど日の丸が掲げてあるあたりに、真っ白なコスチュームに身を包んだフレディ・マーキュリーの面影を幻視するかのような、ステージ上の彼らと私たちオーディエンスの祈りと共鳴の時間でもあったんじゃないだろうか。(粉川しの)

〈SETLIST〉
01. Seven Seas of Rhye
02. Hammer to Fall
03. Stone Cold Crazy
04. Fat Bottomed Girls
05. Don't Stop Me Now
06. Killer Queen
07. Somebody to Love
08. Love of My Life
09. Teo Torriate
10. These Are the Days of Our Lives
11. Under Pressure
12. Crazy Little Thing Called Love
13. Another One Bites the Dust
14. I Want It All
15. Who Wants to Live Forever
16. The Show Must Go On
17. Tie Your Mother Down
18. I Want to Break Free
19. I Was Born To Love You
20. Bohemian Rhapsody
21. Radio Ga Ga

En1. We Will Rock You
En2. We Are the Champions

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なお、クイーン+アダム・ランバートはこの後も日本武道館で単独公演を行う

公演の詳細は以下の通り。

●ライブ情報
【出演】クイーン+アダム・ランバート
【公演タイトル】クイーン+アダム・ランバート LIVE IN TOKYO 2016

【公演日程】
2016年9月22日(木)、9月23日(金)
開場 18:00 / 開演 19:00

【会場】
日本武道館

【日本公演公式サイト】
http://queen-lambert-japantour.com
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