【完全レポ】桑田佳祐、横アリを圧倒! 4年ぶりのソロ年越しライブ初日を観た!

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桑田佳祐が、2016年12月27日(火)~12月31日(土)に横浜アリーナで年越しライブ「桑田佳祐 年越しライブ2016『ヨシ子さんへの手紙 ~悪戯な年の瀬~』 Supported by UCC」を開催した。RO69では27日の模様をロングレポートでお届けする。

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●セットリスト
0. 悪戯されて
1. ダーリン
2. 本当は怖い愛とロマンス
3. 悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)
4. 鏡
5. 飛べないモスキート(MOSQUITO)
6. エロスで殺して(ROCK ON)
7. 東京ジプシー・ローズ
8. SO WHAT?
9. それ行けベイビー!!
10. 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)
11. 愛のプレリュード
12. 大河の一滴
13. あなたの夢を見ています
14. 傷だらけの天使
15. Yin Yang(イヤン)
16. メンチカツ・ブルース
17. 風の詩を聴かせて
18. JOURNEY
19. 君への手紙
20. 真夜中のダンディー
21. ROCK AND ROLL HERO
22. 波乗りジョニー
23. EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~
24. ヨシ子さん

ENCORE1. 幸せのラストダンス
ENCORE2. 白い恋人達
ENCORE3. 祭りのあと

ソロの年越しライブとしては4年ぶりとなる、「ヨシ子さんへの手紙 〜悪戯な年の瀬〜」。横浜アリーナで4夜連続行われるステージの初日である。還暦を迎えた2016年には過去のソロ名義作品やKUWATA BAND作品、SUPER CHIMPANZEE作品が配信リリースされ、ニューシングル『ヨシ子さん』と『君への手紙』も発表するソロ活動イヤーとなった。テレビ出演などはあったが、ライブ活動も2015年夏・サザンオールスターズの武道館以来だ。

開演と同時にスクリーンに映し出されるのは、広末涼子が出演した“悪戯されて”の歌謡サスペンスビデオ。豪奢な階段状セットに姿を見せたタキシードの桑田佳祐が、このムード歌謡を切々と歌い出す。段上には河村”カースケ”智康(Dr.)、竹下欣伸(Ba.)、山本拓夫(Sax,Flute)、西村浩二(Tp.)、片山敦夫(Key.)、深町栄(Key.)、佐藤嘉風(Cho.)、TIGER(Cho.)、斎藤誠(G.)というバンドメンバーが横並びとなり、フルートを奏でる山本以外はポーズを決めてコーラス参加していた。

アリーナ内をどよめかせたオープニングから一転、軽装に着替えた桑田佳祐は、強がりと哀愁の横浜ソング“ダーリン”を手始めにバンド演奏をスタートさせる。桑田ライブ初参加の竹下は、ウッドベース中心のプレイでふくよかなグルーヴを支えていった。“悲しい気持ち”でテープキャノンが放たれ、オーディエンスの高らかな歌声を誘うと、桑田は「充実した1年になりましたが、どうでした? ここで発表があります! 子どもが出来ました!……ステージで言ってみたいね。家族になろうよってね」とジョークを投げかける。

さて、初日の緊張を正直申告しながらの“鏡”では歌詞を飛ばし苦笑いしていたが、詩人・桑田佳祐が炸裂する“飛べないモスキート(MOSQUITO)”、先鋭的なジャズ/ロックのアンサンブルをもって力強く描き出す“東京ジプシー・ローズ”(ギターとフルートの絡みが凄い)や“SO WHAT?”では、往年の楽曲群が2016年現在のアートとして刺激をもたらす。ピアノを核に重厚なサウンドで届けられる“月光の聖者達”も、音楽と共に年齢を重ね、時代の移り変わりを見つめる心情をじっくりと浮かび上がらせていった。

桑田の紹介に合わせてメンバーひとりひとりがユーモラスに楽器を奏で、歌う一幕はとても陽気だったけれど、楽曲の演奏そのものはときにゾクリとさせられるほどストイックだ。そこに、今年リリースされたシングルのカップリング曲群が続く。音源では、ノスタルジックな情景を鮮やかに描くことで、ベテランらしいポップソングの求心力を宿らせているのかと考えた。しかし、ただノスタルジーに身を浸すというよりも、もっと切実なムードなのだ。

駄洒落混じりの“メンチカツ・ブルース”を熱唱した後には、初代・林家三平よろしく「どーもすいません」の台詞を残し、最近は周囲のスタッフにも、若くて、頭の回転が早く知識も豊富なスタッフがたくさんいる、と女性スタッフ1名をステージに招いて紹介する。そして柔らかなアコースティックサウンドの“風の詩を聴かせて”や“JOURNEY”を披露すると、いよいよ“君への手紙”だ。入場時に配布されていたリストバンド型の「年の瀬ライト」が一斉に煌めき、《ひとり 夢追って 調子こいて/こんな男のために/小粋なバカが集まったな》の歌に揺れるのだった。

そして本編クライマックスは、“真夜中のダンディー”、“ROCK AND ROLL HERO”と、毒っ気を帯びた極上のロックソングが連発される。“波乗りジョニー”では水着のセクシーダンサーや巨大バルーンも投入されて最高潮だ。そこから、ギラついたエレクトロサウンドが絡む“EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~”を経由し、記憶とエロス、反骨心を煮詰めた恐るべきナンバー“ヨシ子さん”へと持ち込む。音楽カルチャーのトレンドについていけないフリをしながら、これこそ世界にも類を見ない最先端のトリップ/ダンスチューンだろう。力士や、幽霊(?)のヨシ子さんもステージに登場する、混沌としたサイケデリアの凄まじいパフォーマンスだ。

ただ昔を懐かしむのでも、激流のような時代の変化を嘆くのでもない。還暦の桑田佳祐は躍起になり汗まみれになり、記憶の引き出しを全開放してでも、バイタリティに満ち溢れたポップミュージックを届けてくる。それは、唖然としてしまうほど感動的な光景だった。アンコールでは、出演者が賑々しく全員集合の“祭りのあと”で「みんな、よいお年をねー!」と満面の笑顔で言葉を投げかけるまでの名曲名演が3連発。2017年分の生活カロリー総量を軽く凌ぐ、膨大なエネルギーを注ぎ込まれるようなステージであった。(小池宏和)
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