今年で10年目を迎えた音楽イベント「WORLD HAPPINESS 2017」が、8月6日に東京・葛西臨海公演 汐風の広場にて6時間以上にわたって開催された。
12:30。オープニングコールもないところに岡崎体育が登場。かと思うと、爆音のリズムに乗せて身体を揺らせながらの熱演に、会場は一気に岡崎ワールドに。関西弁混じりのMCで客席を笑いに誘いながら、聴衆も引き込まれていった。
オープニング映像が流れると、ステージにはキュレーターの高橋幸宏といとうせいこうのふたりが登場して開会宣言。この日は広島原爆の日。9000人の観客と共に1分間の黙祷。会場が静謐な空気に包まれた。
続いてコトリンゴのステージが静かに始まる。中盤、「この日は8月6日なので心を込めて歌いたいと思います」と言って始まったのは“悲しくてやりきれない”。ワンフレーズ歌ったところで「スペシャル・ゲスト、のんちゃんです」と紹介されたのんが、緊張した面持ちで登場。この曲はコトリンゴが音楽を担当し、のんが声優を務めた映画『この世界の片隅に』のオープニング曲。コトリンゴ、続いてのんが1コーラスずつを歌い、最後はふたりでデュエット。会場もふたりの共演に聴き入っていた。
続いて過去に高橋幸宏と共演したこともある宮内優里が登場、海辺に電子的が響き渡った。そしてNulbarichがブラック感溢れる心地よいグルーヴでグイグイと客席を惹きつけ、関取花は「ワーハピは日本一民度の高いフェスだと思います!」と語り、“私の葬式”と“もしも僕に”の2曲を演奏した。
DUBFORCEのメンバーとともに登場したのは、キュレーターのいとうせいこう。中盤からはスチャダラパーと高木完も合流し、「裏打ちリズムと一緒にやったことないんですけど」とコメントし、タイニー・パンクスの“MONEY”を披露。ラストは「みなさんもよく知ってるこの曲で!」と“今夜はブギーバック”が演奏された。
大きなメキシカンハットを被ってLEFT STAGEに現れたZOMBIE-CHANG。続き、CENTER STAGEではGLIM SPANKYが60s~70sのロック黄金期を彷彿させるサウンドで客席を圧倒した。
ギター1本を携えてLEFT STAGEに登場したのは、みうらじゅん。ギターをかき鳴らしながら歌い、最後は「暑いのでクリスマスの唄を歌います!」とクリスマス曲を披露した。
15:55、くるりが登場。“ワールズエンド・スーパーノヴァ”のイントロが演奏されるや「オオーッ!」と場内から歓声が上がる。“琥珀色の街、上海蟹の朝”ではラップも披露し“Liberty & Gravity”で30分のステージを終えた。
竹中直人は、自身のオリジナル(曲・玉置浩二)からスタート。加えて中学生の頃から慕うという忌野清志郎のカバー“いい事ばかりはありゃしない”、そして同名映画のテーマ曲でもある『サヨナラCOLOR』(SUPER BUTTER DOG)で締めくくった。
続いて「こんにちは、イエローマジックオーケストラです」という挨拶から電気グルーヴが登場。「そして全てのテクノの産みの親、電気グルーヴです」という自己紹介を終え、キュレーター高橋幸宏をネタに使った映像演出も行われた。
LEFT STAGEのラストはTOWA TEI。出演アーティストに絡んだ楽曲を盛り込んだプレイリストが披露された。
そして最後の出演アーティスト、高橋幸宏。「今日は80年代の曲とかをグチャグチャにやりますよ!」という宣言通り、“今日の空(1985)”、“音楽殺人(1980)”、“My Bright Tomorrow(1983)”といった80年代のナンバーが並ぶ。中盤には鈴木慶一が加わって、THE BEATNIKSコーナーに。デビューアルバム収録の“No Way Out(1981)”を聴かせて聴衆を盛り上げた後は、新曲を2曲披露した。
そして、のんが再びステージに。幸宏から「本来はロックの人なんだよね!」と紹介されたのんは、赤いテレキャスターを持って登場。見るからに緊張している彼女に「思いっきりいって!」と幸宏が送り出せば、鈴木慶一は「冥土の土産だな、こりゃ」とコメント。曲はサディスティック・ミカ・バンドの“タイムマシンにおねがい”。歌詞にちなんでティラノザウルスの尻尾を付けたのんが、イントロのギター・リフを弾き始めた。1曲だけの参加だったが、インパクトを残し、この日のハイライトの1つとなった。
そしてラストはキュレーターいとうせいこうが再び登場。サポートは、この1曲だけのために集まったMETAFIVEの面々。せいこうも「こんな豪華な方々をバックに僕がラップ演ります!」と、タイニー・パンクスの“東京ブロンクス”がスタート。曲が終わるとのんを始め幸宏バンドのメンバーもステージに集結。いとうせいこうが「また来年ね!」と呼びかけ、6時間15分に及んだワールドハピネス10周年記念の公演が終了した。
<World Happiness2017 SET LIST/2017年8月6日@葛西臨海公園>
【CENTER STAGE】
岡崎体育
01.Open
02.Call On
03.Voice of Heart 2
04.okazaki child management
コトリンゴ
01.ツバメが飛ぶうた
02.classroom
03.悲しくやりきれない with のん
04.漂う感情
05.たんぽぽ
Nulbarich
01.TOYKO
02.Lipstick
03.NEW ERA
04.Follow Me
いとうせいこう with DUB FORCE guest スチャダラパー/高木完
01.ダブシチュー
02.Dub Fire
03.浜辺
04.MONEY
05.今夜はブギーバック
GLIM SPANKY
01.アイスタンドアローン
02.闇に目を凝らせば
03.いざメキシコへ
04.怒りをくれよ
05.美しい棘
くるり
01.WORLD’S END SUPERNOVA
02.Morning Paper
03.everybody feels the same
04.琥珀色の街、上海蟹の朝
05.Liberty & Gravity
電気グルーヴ
01.人間大統領
02.Fallin’ Down
03.プエルトリコのひとりっ子
04.いちご娘はひとりっ子
05.Missing Beatz
06.SHAMEFUL
07.CATV2017
高橋幸宏 with 沖山優司/白根賢一/鈴木慶一/高野寛/堀江博久/小山田圭吾☆/砂原良徳/TOWA TEI /ゴンドウトモヒコ/LEO今井
01.今日の空
02.音楽殺人
03.No Way Out
04.鼻持ちならないブルーのスカーフ、グレーの腕章
05.シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya
06.My Bright Tomorrow
07.タイムマシンにおねがい with のん
08.Something in The Air
09.東京ブロンクス with いとうせいこう
【LEFT STAGE】
宮内優里
01.neuha
02.即興演奏
関取花
01.私の葬式
02.もしも僕に
ZOMBIE-CHANG
01.GOODBYE MY LOVE AND TURN AROUND
02.I CAN’T GET TO SLEEP
03.恋のバカンス
04.WE SHOULD KISS
竹中直人
01.ママとカントリービール
02.白い砂のサボテン
03.いい事ばかりはありゃしない
04.サヨナラCOLOR