ペトロールズが多くのアーティストに愛され慕われる理由とは? カバーアルバムから解く

  • ペトロールズが多くのアーティストに愛され慕われる理由とは? カバーアルバムから解く - 『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?』Photography  Naoya Matsumoto

    『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?』Photography Naoya Matsumoto

  • ペトロールズが多くのアーティストに愛され慕われる理由とは? カバーアルバムから解く - 『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』

    『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』

  • ペトロールズが多くのアーティストに愛され慕われる理由とは? カバーアルバムから解く - 『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?』Photography  Naoya Matsumoto
  • ペトロールズが多くのアーティストに愛され慕われる理由とは? カバーアルバムから解く - 『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』
ペトロールズの楽曲を4組のアーティストがカバーした配信EP『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』の配信が8月9日に各サイトにてスタートした。さらに23日には、今年3月にCDのみでリリースされた同じくペトロールズのカバーアルバム『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?』の配信がスタート。『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』はこれの続編となる。

ペトロールズは2005年に結成された長岡亮介(Vo・G)、三浦淳悟(B)、河村俊秀(Dr)からなるスリーピースバンド。CDはライブ会場限定のものが多く、全国流通盤のフルアルバムはこれまで1枚、という独自の活動を続けている。だが、それゆえにペトロールズほどアーティストに支持されているアーティストも居ないだろう。実際、今回のカバーアルバムにもSuchmosnever young beachYogee New Wavesなどこの先のバンドシーンに欠かせぬメンバーから、そんな彼らの源流ともいえるシーンを盛り上げてきたORIGINAL LOVEなど、『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?』で11組、『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』で4組のアーティストが彼らなりの解釈でペトロールズという存在を考察しカバーしている。

長岡亮介は「浮雲」名義で東京事変のギタリストとして活動し、近年は椎名林檎星野源illion大橋トリオなどといった音楽性は違えど、そのときどきのシーンの最先端に居るアーティストの後ろで、求められギターを弾いている。そんな彼がボーカルを務めるバンドがペトロールズだ。自然体な佇まいから鳴らされるその音楽はブラックミュージックを軸にしながらロックで、そこに日本語の美しさを感じる歌詞が乗せられ、いつまでも聴き惚れていたくなるような魅力が宿っている。さらに、それをスリーピースにこだわり作り上げている点も感服させられる。長岡亮介の持つ色気ある歌声とギターに三浦のベースと河村のドラムが組み合わさると、計算され尽くしたコーラスも相まって3人で鳴らしているとは思えないグルーヴの音楽が聴こえてくる。

そんな楽曲がカバーアルバムではスリーピースという枠から離れてカバーされ、よりペトロールズが作り出す音楽の魅力が浮き彫りになる形になっている。『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?』でSuchmosがカバーした“雨”はキーボードが加わり、より雨の情景が頭の中に浮かぶようなアレンジに。YONCEの気怠いボーカルが長岡とはまた違った官能的な雰囲気を作り出している。『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』でのラッパーの呂布による“誰?”は《誰?とは言わせないぜ 今すぐ覚えな》と歌い、バンドから離れ完全にヒップホップに仕上がっていて格好いい。

また、呂布のようなラッパーやトラックメイカー・DJのSeiho、ジャズバンドのSOIL&"PIMP"SESSIONSなどペトロールズを慕うアーティストのジャンルが多岐に渡るのは、まさにバンドの独自の音楽性を如実に表しているといえるだろう。長岡のメロディへの言葉の乗せ方は曲によってはヒップホップにも通じる部分があるし、3人で生み出すアドリブ要素多めの重層感ある演奏はジャズとも相性が良い。

長岡はたびたび音楽について「策略的にやりたくない」という趣旨の発言をする。「売れるために作られる音楽が多過ぎる」、と。マイペースに音楽を作ってライブをするバンドがあってもいいのではないか。そして、そういったスタンスで12年間活動出来ているのは確実にペトロールズの音楽が多くの人々に求められているからだ。そんなある種、時代とは逆行していながらも、バンドとして「一番幸福な理想形」を体現している姿が、これほどまでに多くのアーティストに愛され慕われている所以だろう。
ペトロールズは9月から18都市をツアーでまわる。今後も自由に自分たちの音楽を鳴らしながら、結果的にそれが人々の暮らしに寄り添っていく。それを作戦立てずやり遂げてしまうのがペトロールズの凄いところだ。(菊智太亮)

最新ブログ

フォローする