『ANOTHER STARTING LINE』は、「ハイスタ節」の健在や進化に興奮したのちに、「彼らが新曲をリリースした意味」、「彼らが復活し、活動を継続している意味」などを歌詞や音から見つけようとした――言わば、手紙が届いたような感覚で受け取った。そして、先日公開された映像の中で初めて聴いた、アルバム『The Gift』の表題曲は――タイトルのままに贈り物というわけではないけれど、直接手渡されたような感覚があったというか、聴いたひとりひとりのための歌のように思えたのだ。手の中にハイスタがポッと置かれたかのような、熱い温度感や身近な距離感。時代を越えても「僕らのハイスタ」と思えるだけの牽引力と愛らしさがめいっぱい詰まっていて、聴いていると涙が出るほど力が湧いてくる。きっとそれは、私が元々ハイスタを大好きだったから、というだけではない。曲そのものが圧倒的に強いのだ。
また、シンプルな中に、絶妙なユニゾンやコーラスが飛び込んでくる展開には、この3人ならではの阿吽の呼吸――つまり「バンド」としてのマジックが効いている。個々の活動もしてきたのに、やっぱりハイスタでしか鳴らせない音があるのだなあという、不思議な「バンド」の面白味を味わうことができる。
また、これぞメロディックパンク!と言わんばかりの疾走感やフレーズが貫かれていながらも、要所要所からはいろんな時代のいろんな音楽のフレーバーが匂ってくるところも興味深い。「俺たちがこの道を切り開いた」という誇りと、そもそもルーツが幅広い彼ららしさが、この一曲だけでも感じられるのだ。ということは、来るべきアルバム『The Gift』も、そういった一枚になっている予感!?……リリースはもうすぐ。それまで、想像をいっぱいいっぱい膨らませながら待ち望んでいたい。(高橋美穂)