ボブ・ディランの「ゴスペル三部作」、『スロー・トレイン・カミング』(1979)、『セイヴド』(1980)、そして『ショット・オブ・ラブ』(1981)のライブ音源などが収録された『トラブル・ノー・モア(ブートレッグ・シリーズ第13集)1979 - 1981』が11月にリリースされることが発表された折、最初期のインタビューが発見された。
「時代の先端と刃先をぶつけ合っていた」ほど鋭かったと言えるこの頃のディランにとっては、インタビューも闘いの場であったのだろうか。
デビュー前の新人とは思えない、嘘か真か分からない発言が冒頭から次々と飛び出すインタビューは9月30日(土)発売の『ロッキング・オン』11月号で読むことができる。
ディランはこのインタビューの中で、自身のバックグラウンドについて「初めて逃げ出したのはニューメキシコにいた時。ニューメキシコ州ギャラップに住んでた時だ。(中略)13歳くらいの頃は、サーカスのキャラヴァンに入ってて、一緒に移動してたーーいろんなショーをやってね」などと創作を交えながら話を進める。
自信があるという記憶力については以下のように語る。
自分が聴いたものの多くは記憶してるだろうなーーいろいろ思い出せるよ。だがまあ、俺はたくさん歌を書くほど、そういうのはすぐ忘れる。書いたとたん、あるいは声に出して歌ったとたんーー自分一人で歌うにしろ何にしろーーその瞬間に忘れてる。(中略)ちょうど新曲を書いたばかりで、ええと、ああ、先週くらいだな、ニューヨークについての歌。録音しておけばよかった。今それをブルー・エンジェルで歌ってる奴らがいる。イアン&シルヴィア。俺がイアンに教えたんだ。
また、「10歳ぐらい」の時に初めて手にしたギターは人からもらったものなのだと、以下のようにも話した。
(場所は)シカゴのサウスサイド。確かストリート・シンガーのだーー彼にもらったんじゃなくて、彼の友達にもらったんだーーアラヴェラ・グレイ。
そしてインタビューの最後には、ディランのキャリアで「50年以上経っても継続中」だと言える以下のような信条も明かしている。
とにかく、自分が今どういう場所にいるかってことを知っていたいんだよ。つまり自分が今どういう地点にいるかわかってれば、どんな相手にも勝てる。(中略)今の自分がどういう自分かわかってたら、一切傷つくことはない、だからがっかりもしない、そう思うんだ。そしたら何が起こっても、それはいいことなんだ。だからつまり、悲観的とかそんなんじゃ全然なくて、とにかく俺は自分がどういう位置にいるかをちゃんとわかっていたいんだ。
この後インタビュアーに「今のあなたはわかってますか?」と尋ねられたディランはこう答えた。
もちろん。ああもちろん、かなり自信ある。
当時20歳だったディランからは、この他にも故ボビー・ヴィーとのエピソードや「毎年、かなり長く一緒にいた」というサーカスでの「思い出」なども語られている。ファンにとっては必読の、貴重なインタビューだ。
『ロッキング・オン』11月号の詳細はこちらから。
http://www.rockinon.co.jp/product/magazine/143907