米津玄師と菅田将暉、『ANN』で語られた「運命的な繋がり」の全容を大解説

音楽対談のコーナーでは、「ふたりが天才だと思うアーティストは誰?」というテーマについて、米津は「音楽の原体験が、BUMP OF CHICKENだった」と話す。「だから、BUMP OF CHICKENの音楽には、多大な影響を受けたなあっていうのがすごくある。いまだにすごいなあと思う。このアルバム(『BOOTLEG』)にもBUMP OF CHICKENのオマージュみたいな曲が入っていたりして」と語る。また菅田は、音楽好きになったきっかけがフジファブリックだったとのこと。
さらに、「『曲が降りてくる』というのはどんな感覚か?」というテーマに米津は、「俺は、降りてくるっていう言葉があんまり好きじゃなくて」と話す。それは「俺は、曲を作る時は結構、色んな可能性をひたすら潰していく作業っていうか」、「俺の感覚としては、はいずり回って探してる感じっていうか」と曲作り際の苦労を明かす。また米津は菅田に、「俳優って、他の人間にならなきゃいけない作業じゃん」と、演技をすることがどのような感覚かを問うと、菅田は、「記憶がないような瞬間もあったり、同じように、一個一個試していってつくる時もある」という。ここで米津は“灰色と青”のMVで「ブランコ乗ってるだけであんなに表現の幅があるんだって、すげーびっくりした」と菅田の演技に感動したという話も。さらに、「エモいポイントが、菅田くんが上を見上げた瞬間に、白目になる瞬間があって……」と話すが、菅田は、それは癖だと答えつつ、でもそれが米津にはグッとくる瞬間だったとのこと。
また、「世界中どのバンドでもボーカルで参加していいと言われたら、どのバンドに入りたいか?」というテーマに、米津は最近すごい好きだというザ・キュアーを挙げる。曲はキラキラしてるのに、自分のことを卑下したり自暴自棄になっているようなことを歌っているのが、「多分俺と似たような人間なんだろうな」と感じるという。菅田はTHE BLUE HEARTS銀杏BOYZを挙げ、「この感じをステージでやれたらすっごい気持ちいいだろうなって」と憧れたことを話した。

その後も送られてきたメールに便乗したり、ネタ的なものにはつっこんだりと、『菅田のANN』のリスナーはこんな感じ、と菅田に言われていたこともあり、リスナーとも友達のような感覚で、まったりしたムードで番組は進行。

最後は、「菅田くんの声、めちゃくちゃいいよね。レコーディングの段階で一発目に出した瞬間から、声がガッてくる。声がリッチ。俺にないものすごい持ってる気がして。できた曲も《せわしなく》の「せ」の部分からエネルギーがくる」、「声っていろんなの出るじゃん。生き様とか骨格とか性格とか。そういうのが、ありありと出てる感じがすごいあって」と、再び“灰色と青”への菅田の必要性、必然性を熱く語った。
「このアルバムは、今までの中で一番幅が広いというか、頭の中で昔の自分と対話をしながら作ることが多くて、小学生とか中学生の自分と今の26歳の自分で対話しながらあれこれ作って、小学生の頃の自分に従ってつくった曲もあれば、今の自分しかわからないような音楽も入ってて、ものすごい幅があって。だから、すごいいびつなアルバムになったなって自分では思ってて。でも通して聴くとものすごく美しいアルバムになったなと思ってるんで」と、ニューアルバム『BOOTLEG』に込めた思いを語り、番組を後にした。

終始、本当に気心が知れた仲のようなやりとりでトークが進むので、会うのがまだ3回目というのが信じがたいくらいだった。米津は「勝手に思い込んでいた」と話していたが、このふたりのトークを聞いていると、お互いがお互いをフォローし、尊敬し合う部分があるというのが感じられた。米津は菅田に「自分にないものを持ってる」と話したが、それは逆も然りだと思う。この曲のMVで、ブランコに乗ってただ揺れるだけの米津玄師、ブランコに乗るだけでも演技の幅を見せつける菅田将暉。しかし乗っているブランコは同じで、見上げる空も同じで、抱える気持ちは同じなのである。
このオンエアを聞いて、ふたりの共通点や、相違点が見えてくるようだったし、この曲で合致したということがひしひしと伝わり、そして米津玄師はどうしても今この時に菅田将暉を必要としたということが改めて理解できる、そんな放送であったと思った。(中川志織)
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