本作にはドキュメンタリーにも似た臨場感が漂うが、「芝居の余白を撮りたい」という岸善幸監督の要求にどのように応えようとしたのか。菅田は、そもそも演じる世界は虚構の空間だからこそ、自我とは関係なく、ある意味なんでもできる側面があると話す。
おもちゃを渡されて『好きに遊んでいいよ』って言われてるようなもので。そこでは、きっと自分のこれまでの人生が出るだけなので、臆することはないのかなっていう気はしますけどね。それでビビるってことは自分に罪悪感があったり、向き合えない何かがあるだけで。だから俳優はいかにカメラの前に潔く立てるかっていうところが大事なんです
また、菅田演じる新宿新次は、壮絶な家庭環境で育ち、大きな孤独を抱える男だが、彼がどんな人物であるかは実際に演じることでつかんでいったと言う。
やりながら得ることばっかりでしたね。言っても、僕はわりと幸せな家庭で育っている身で。新次の、母に捨てられた痛みとか、友達に裏切られた傷みたいなものは、僕も表現することで作っていきながら体験していくしかないから、想像力以上に体を使って、体感と体現が同時にあるような感じでした
本作でさらなる新境地を見せた菅田だが、それをなし得たポテンシャルの高さをうかがい知ることのできるテキストは必読。
さらに同誌では、菅田将暉が親友の太賀とともに体当たりで企画に挑む新連載『夢で逢えたら』もスタート!
菅田のインタビュー記事と合わせて、要注目だ。