MAN WITH A MISSION×『いぬやしき』が描く“My Hero”はあなたの中に眠る「正義」だ!

MAN WITH A MISSION×『いぬやしき』が描く“My Hero”はあなたの中に眠る「正義」だ!


11月1日(水)に発売されるMAN WITH A MISSIONの新譜『My Hero/Find You』。重厚感のあるドラムと激しいギターロックサウンド、そして静謐なストリングスが凄みを見せる表題曲のひとつ“My Hero”は、現在放映中のアニメ『いぬやしき』のオープニングテーマとしてすでに話題を呼んでいる。

また、もうひとつの表題曲“Find You”は、こちらも11月25日(土)に公開される人気コミックの実写映画『覆面系ノイズ』のエンディングテーマに起用された、壮大でありながらリリカルなバラードナンバー。その他の収録曲もキレの良いスクラッチと禍々しいギターサウンドがダークな印象の“Mr. Bad Mouth”、そしてファンの間ではお馴染みの名曲“Memories”のリミックスバージョンと、聴きどころ満点のシングルとなっている。

『いぬやしき』は、映画化もされた人気漫画『GANTZ』の作者である奥浩哉の手によるSFアクション漫画を原作としたアニメ。還暦を間近にした、見た目70歳ぐらいの「冴えないおじさん」を主人公とした斬新さと、奇想天外でありながら重厚な物語で根強い人気を誇る作品だ。主人公の犬屋敷壱郎はうだつの上がらないサラリーマン。職場では雑に扱われ、愛する妻や娘と息子にも冷ややかな態度をとられ、報われない日々を過ごしている。熱い正義感の持ち主でもあるがぱっとしないおじさんにそれを貫けるはずもなく、唯一の心の支えは可愛い飼い犬だけ。

そんな彼はある日、飼い犬の散歩中に宇宙人の起こした事故に巻き込まれ、身体を機械仕掛けのサイボーグにされてしまう。紛れもない自分自身の心を持ちながらも、肉体は得体の知れない人工物に変えられてしまった彼は思い悩みながらも、その人工物の肉体に秘められた強靭さや治癒能力などを駆使して人々を救うことにより、自分の存在意義を見出してゆく。

主題歌“My Hero”は、マンウィズメンバーの手によって原作の世界観に忠実に作られている。この曲の主人公は機械のように、心無い人間達で溢れた世界にうんざりしながら、それに折り合いをつけて感情を殺し、自分自身も機械のようになって暮らしている。無力さを感じながらも現状を打破したい気持ちを捨てられず、「My Hero」――「僕の救世主」にどうすれば良いのか問いかけ続けているのだ。

この曲では「My Hero」に自分自身に必要なものを教えてほしい、地に叩き伏せて自分自身を目覚めさせてほしいと呼び掛け続ける一見他力本願なメッセージが何度も繰り返される。しかし『いぬやしき』というアニメ作品を意識して聴くと、この「My Hero」とはどこかの誰かではなく、自分自身の心の中に存在する「正義」や「感情」のことなのではないかと思えてくる。アニメの物語になぞらえるなら、主人公である犬屋敷の、胸に秘めた「熱い正義」や家族を持つ初老の男性らしい「優しい感情」こそがこの楽曲に描かれる「Hero」である。激しく熱いサウンドが印象的でありながら、地に足のついたミディアムテンポなメロディと大サビ前のクラシックやバラードのような大胆な転調が、犬屋敷の「大人の男性らしい熱い正義」を象徴しているように感じられた。

マンウィズの楽曲の特徴として挙げられるのが洋楽ライクなラウドロックサウンドだが、それと一見相反する優しさや清々しさも彼らの楽曲の味わいのひとつである。歌メロのリリカルな美しさやサビに向かって広がりを見せてゆく壮大なサウンドが爽快感を生んでいるように思えるが、何よりも流暢な英語詞に込められた「力強さ」と「純粋さ」がマンウィズ楽曲に感じられる不思議な優しさの秘密なのかもしれない。例えば“My Hero”と同じシングルに収録されている“Memories”は別れの切なさを描いた楽曲だが、ただただ悲しみや切なさを描くのではなく、その先にある希望を求める力強い想いをしっかりと描いているのが印象的だ。

ただカッコいいだけではない、まっすぐな感情をストレートに歌詞に表すそのひたむきさは、まるで少年漫画のヒーローのようで、犬屋敷壱郎の正義感や心根の優しさに通ずるものがある。そもそも彼らは「頭はオオカミ、身体は人間」である超生命体。「使命を持った男達」という意味合いを持つバンド名と相まって、なかなかヒーローアニメっぽい戯画的さすら感じるじゃないか。

『いぬやしき』の物語の中で、犬屋敷は日陰の身として機械のように生きてきた自分の存在意義を、皮肉にも機械の身体になることによって実感することになる。犬屋敷同様にひたむきな力強さを胸に秘めながらも「人間ならざるモノ」の姿を持ったマンウィズだからこそ、この曲により強い説得力を与えられるのではないだろうか。

現代社会では、どうしても自分自身の「感情」や「正義」を押し殺さなければならないことがある。人間らしい感情を隠すことこそが、社会で生きる「人間らしさ」になってしまっているようなところもあるだろう。でも、誰しもの心の中に「人間ならざるヒーロー」は眠っているはずだ。この曲を聴けば、もしかしたら自分の心の中の「My Hero」に出会えるかもしれない。(イガラシ文章)

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