山戸結希監督が描く「少女の自意識」はきっと表現の世界を変えてしまうだろう

あなたは今大注目の「天才」とも評される映画監督・山戸結希を知っているだろうか?

まだ20代である彼女の映画監督キャリアは、大学在学時に映画研究会に所属したことから始まった。そこで撮影した、思春期の女の子たちの複雑な心情を描いた作品『あの子が海辺で踊ってる』を発表すると、学生映画祭で賞を受賞し、いきなり処女作から注目を集める。2013年4月には、バンドのおとぎ話が出演・音楽も担当した『おとぎ話みたい』を「MOOSIC LAB 2013」で初公開し、グランプリを獲得。その流れを汲んだ作風と言える、東京女子流の映画初主演作『5つ数えれば君の夢』を経て、2016年には小松菜奈・菅田将暉がW主演を務め、今までのキャリア史上、商業的に一番大きい規模の作品『溺れるナイフ』が公開された。


また、映画以外にもいくつかアーティストのMVを撮っており、ここ1年程度の間に乃木坂46“ハルジオンが咲く頃”、Little Glee Monster“はじまりのうた”、RADWIMPS“光”なども手掛けた。そしてつい先日公開されたNGT48の新曲“世界はどこまで青空なのか?”のMVも、山戸監督が手掛けた作品となっている。


このMVはショートストーリー含めた12分に及ぶ作品で、シングル初センターを務める荻野由佳が、アイドルを目指す女の子を演じている。崖の上から荻野が「私、ずっとずっとアイドルになりたかった」と振り絞るように叫ぶ冒頭に始まり、たったひとりで「アイドル部」を立ち上げて、仲間を募りながらアイドル活動に打ち込んでいく。最初はその活動を遠目に見ていた女の子たち(他メンバー)も、次第に彼女の熱意に突き動かされていく――という青春ストーリーになっているが、最後に泣きながら「この空の下で歌って踊れていれば部活も、彼氏なんていらない」、「私の人生アイドルしかなくたっていい」と苦しそうに独白するシーンは衝撃的だ。夢だったアイドルへの道を選ぶ一方で、今後そのために選べない夢も出てくる可能性を示唆しているかのようなこの演出は、「ひとりの生身の少女」としての荻野の人生を映し出している。

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