おいしくるメロンパンの長い物語は今、始まったばかり

おいしくるメロンパンの長い物語は今、始まったばかり
セカンドミニアルバム『indoor』レコ発ワンマンツアーの追加公演を渋谷WWW Xで観た。
溢れる息も、指と弦の擦れも、床の振動も演奏の一部にしていくような密接な距離のアンサンブルで紡がれるこの3人でしか鳴らせない音は、一切嘘がないのに尊い輝きを放つ「ささやかな奇跡」だ。
結成から2年、そんな「おいしくるメロンパンの音」を紡ぎ続けて『thirsty』『indoor』という2枚のミニアルバムを多くの人に届け、全国ワンマンツアーを追加公演も含めて大盛況の中、駆け抜けたわけだが、この3人は今、まだ長い長い物語のプロローグを終えたところなのだということが今日のライブからはっきりと伝わってきた。
2枚のミニアルバムからの楽曲たちは日陰で咲いていた渇いた心が瑞々しさを取り戻し、日の光を浴びて躍動し始めるまでのドキュメントのようだったし、新曲はこれまでのバンドのスケールを遥かに超えた風景の拡がりを描き始めていた。

この3人は、きっと大切なものは変えないまま、どこまでも大きな世界に向かって変わっていくことができる。
この距離で彼らを見る機会は減っていくかもしれないけれど、会場がどこまで大きくなっても、それを凌いでオーディエンスの心の近くに響く楽曲だけをおいしくるメロンパンは生み出していくはず。
ステージの上も下も関係なく、そんな確信に包まれた夜だった。(古河晋)
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