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枯れるという言葉には、どうしてもネガティブなイメージを抱いてしまう。だが再び花を咲かせるための英気を養う期間だと捉えれば好意的に受け止められるし、枯れた花の横には違う花が咲いているものだ。つまり花が枯れる頃、我々の目の前には新しい季節と世界が広がっている。ツツジが咲き誇る4月中旬から5月中旬は、多くの人々、特に若者にとって環境の変化などで心身ともに不自由が続く時期である。そんな閉塞感に鮮やかな衝撃を与える楽曲と言えるだろう。バンドの強みである清涼感と威勢の良さを併せ持つ高速ストロークと精巧なリズムによる緻密なアンサンブルと、ポップでありながらもほのかな憂いを感じさせるメロディとコードワークは、初夏の風のように瑞々しい。《君》に柔らかくも熱い眼差しを向け、呼び掛け続ける歌詞も、無邪気で切実な約束のように純粋だ。今すぐ大きく変わらなくても、少しずつ未来につなげればいい。固く結束した音と言葉の一つひとつが、淡くも確かな色を挿す。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年5月号より)
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