1月7日、豊洲PITにて行われた「HINA-MATSURI」には、ベーシストのひなっちこと日向秀和が携わっているバンドや仲間達が集った。
出演者全員がひなっちを祝福し、敬愛し、尊敬の念が溢れ出ていて、1人の人間がここまでの域に到達するのは、なかなかないことだと思う。
イベント冒頭、先日リリースしたソロ曲の演奏から始まったが、ベース1本の演奏なのに、見てるこちらはとても体が熱くなって、会場の熱気も一気にブワッと上がったのがわかった。それくらいのエネルギーが1人の人間から一気に放たれたわけだが、ひなっちはこれを毎回バンドのライブの1曲でやっているのかと思うと、それはもう敬服せざるを得ない。それを、Yasei Collective、LITE以外の5ステージでやったのだ。なんてパワーとエネルギーなのだろう。これが25年間の重みか——。
特にセッションでは、KenKenというこれまた凄腕のベーシストも交え、SOIL&"PIMP"SESSIONSの社長(Agitator)・タブゾンビ(Tp)、Yasei Collectiveの松下マサナオ(Dr)・別所和洋(Key)、Nothing's Carved In Stoneのオニィ(大喜多崇規/Dr)、田中邦和(Sax)という気心の知れた仲間とリハ無しのフリーセッションを行ったのだが、豪華メンバーということもあるが、まるでここが海外の大きなショーステージじゃないかと思うくらいの重厚&濃厚なセッションが奏でられ、今この場が日本で一番自由な場所なんじゃないかと思えたほどだった。
ひなっちが所属する3バンド(Nothing's Carved In Stone、FULLARMOR、ストレイテナー)はそれぞれにとても強い色があるのに、ひなっちはそのどれもに染まり、かつ自分の色を放っている。ひなっちがレコーディングに参加したアーティストからのビデオメッセージでは、GLIM SPANKYは「攻めてるベース」、TK(凛として時雨)は「ベースだけでここまで楽曲を自由自在にできる人はいない」とコメント。ゴッチ(ASIAN KUNG-FU GENERATION)も「音楽的な理解が早い」、「ひなっちならカッコいい曲になると思った」と、ひなっち自身の強い色が他のアーティストの楽曲をさらに彩っていることがわかったし、ベースは楽曲を支えるという役割以上に、ベースだからこそできる表現、さらにベースでの新しい表現を追求し実行していることが、ひなっちへのベーシストとしての信頼だということが改めてわかった。
最後のテナーのステージでは、ホリエアツシ(Vo・G)が「ひなっちが好きそうな曲を並べた」というセットリストで、長年のつきあいだからこその信頼と愛情を感じ、ひなっちもそれに応えるようにパフォーマンスしていて、とても輝いていた。
この企画は、3年前くらいから考えていたそうだが、なかなか実行できなかったという。今回、ずっとやりたかったというイベントが開催できたことは、四半世紀という時間、一つのことを続けてきた1人の人間の集大成が形になったということだ。それがこんなにも濃密で、楽しい空間になった。
改めて、ひなっち。25年おめでとう。これからもいろんな楽曲でひなっちのベースを聴くことが楽しみで仕方ない。(中川志織)
ひなっちベース道四半世紀を祝う! 「HINA-MATSURI」は最高に楽しい祭りだった
2018.01.08 11:20