さらに、今作にはもうひとつ重要なポイントがある。彼らにとっての進化作であり最高傑作であるアルバム『Ambitions』の制作過程のドキュメンタリー「Recording Documentary of Ambitions」を「DISC2」として収録していることだ。渚園のステージで“Taking Off”を演奏する前、Takaは「俺らが(日本で)ワンマンライブやってなかった間に、アメリカで作った新曲です!」と曲紹介している。
「SPECIAL LIVE IN NAGISAEN」が前年(2015年)9月以来約1年ぶりの国内ワンマンライブとなったONE OK ROCK。その間、北米(2015年9〜11月)〜ヨーロッパ(同12月)〜アジア(2016年1月)〜ヨーロッパ(同5〜6月)と海外ツアー歴戦生活を送る中、2016年の2〜5月に彼らはアメリカでアルバムのレコーディングに臨んでいた。その様子が、Takaの自撮り動画やプロデューサー陣とのディスカッション映像まで、「DISC2」には事細かに収められている。「ONE OK ROCKが今、さらに次のステップに行こうとしている段階なのではないか」(Taka)というイメージを現実にしていくために、数多くの切磋琢磨と取捨選択を繰り返し、日々楽曲をアップデートしてアレンジを磨き上げ、本格的なアメリカでの活動に向けてフュエルド・バイ・ラーメン(海外での所属レーベル)との協議を繰り返し……といったハードスケジュールにさすがに疲弊していくTakaの表情や、新たなステージへ向けて試行錯誤するメンバーの佇まいを観ていると、あたかもバンドの劇的な進化をすぐそばで体験しているかのような錯覚すら覚える。
彼らが『Ambitions』で獲得した新次元のロックは「結果的にそうなった」ものでは決してなく、4人の不屈の意志が引き寄せた必然そのものである――ということを、このドキュメンタリー映像は如実に物語っている。ONE OK ROCKが日本で行った金字塔的ライブ「SPECIAL LIVE IN NAGISAEN」と、その直前にアメリカで経験した「前進のための苦闘の日々」。そのふたつが重なることで、ONE OK ROCKというバンドの現在までに至る道筋と「未来」への想いがよりくっきりと浮かび上がってくる。そんな作品だ。(高橋智樹)