先日行われたインタビューの中でザ・ビートルズやマイケル・ジャクソン、エルヴィス・プレスリーやU2らについてあまりにも率直な発言をしていたことが話題となっていたクインシー・ジョーンズだが、「娘6人に取り囲まれ」行われたという家族会議の中でそうした発言について咎められたのだといい、Twitter上で謝罪コメントを発表した。
3月に85歳の誕生日を迎えるクインシーは50年代からジャズ・ミュージシャンとして活躍した後、マーキュリー・レコードの幹部として活躍。黒人の幹部は当時としては珍しく、音楽界における先駆者的な存在となった。
その後、映画やドラマのサウンド・トラックにも進出。さらに主要なジャズ・ボーカリストたちの数多くの楽曲を手掛けるアレンジャーとしても活躍し、その後はレスリー・ゴーアの1963年の大ヒット曲“It’s My Party”をプロデュース。以後はジャズ・R&B・ポップスと全方位を手掛けるプロデューサーとして活躍した。
特に有名なのはマイケル・ジャクソンの黄金時代を作り出した1979年の『オフ・ザ・ウォール』以降の一連の作品であり、米音楽界に深く精通した人物だ。
しかし「GQ」と「Vulture」のインタビューを受けた際、自身の長年のキャリアの中で培った知見をもとにさまざまなアーティストについてストレートな意見を展開。これが各メディアで報じられ、物議を醸すこととなってしまった。
たとえば、ザ・ビートルズについては「世界最低のミュージシャンだった。まるで演奏がなってないあほんだら連中で、ポール(・マッカートニー)は俺が聴いたことのある中で一番下手クソなベーシストだった。それからリンゴ(・スター)? お話にもならないよ」とコメント。
エルヴィス・プレスリーについては「あのあほんだらときたら、まるで歌えやしないし」と一刀両断。さらにはイヴァンカ・トランプと交際したこともあったと明かし、「俺が見た中ではこの世で一番美しい脚だったね。ただ、間違った親父のもとに生まれちゃったな」とまで言ってのけていた。
こうした発言の数々があまりにも大きな波紋を呼んだため、クインシーは自身の家族から大目玉を食らったのだとか。自身のツイートで明かしている。
数週間前に(我ながら自慢でもある)娘6人に取り囲まれて「家族会議」を迫られることになった。それも俺が最近やった2本の取材での度が過ぎた発言をめぐってのもので、とりあえず……よーく反省しました!
正直言って、親父に対して意見するのに尻込みしない娘たちに育ってくれてとても感謝してるよ。俺も落ち度のある人間だし、そのことを公に認めるのが怖くはないし、本当に申し訳なかったと思うし、そのことをきちんと表明するのが怖いということもありません。
俺くらいに長く、クレイジーな人生を過ごすことに恵まれてしまい、さらに3年ほど酒をやめてみると、いろんなことのディテールが記憶として一気に洪水のように蘇ってきてしまうんだ(そしてこうしたディテールはぼくの話の意図や経験を伝えるのに必要なところでもないんだよ)。
だけど、85歳になったとしても、やっぱりこういう「言葉のゲロ」や悪口というのは許されるものではないと思う。
また、自分のこうした発言が「人種差別、不平等、嫌同性愛、ホモ、貧困など、自分が本当に次世代へと繋いでいきたかった、とてもリアルな数々のメッセージと矛盾することになってしまったのが本当に辛い」とも説明している。
どんなことがあっても、有名人であるからには公人として発言の責任があり、そのため公に謝罪することを決めたのだと説明していて、「私の言葉のせいで傷ついたみなさんに対して、それと私を今でも支えてくれている友人のみなさん、そして私のことをもう見放してしまったかもしれない友人のみなさん全員に対して、申し訳ないと謝罪します」と詫びている。
また、自分の発言を諫めた人たち全員にも以下のように感謝を表明。
時には批判や叱責を受け入れるのが難しいこともあるけれども(特に公だと)、みんなに分かってほしいのは、みんなに言われたことはちゃんと私の中で響いているということです。
みんなの声は聞こえていますし、だから感謝しています。そんな私と一緒にみんなもこれから成長して、その先もどんどん成長していくことに付き合ってくれませんか。
そして最後に、「愛を込めて、今も自分の間違いから学び続けているガニ股の85歳の男より」とコメントを結んでいる。
なお、クインシーは以前、いつもしゃべり過ぎてしまい「問題を起こしてしまう」ため、娘から(LL・クール・Jをもじって)「LL(Loose Lips=口は災いの元)QJ(クインシー・ジョーンズ)」とのニックネームを付けられたことも明かしていた。