マニックスの新作ジャケに「侍」が使われた理由とは? 「彼は誇らしげだけれど、すべてが終わったことを知っている」

マニックスの新作ジャケに「侍」が使われた理由とは? 「彼は誇らしげだけれど、すべてが終わったことを知っている」 - 『rockin'on』2018年6月号より『rockin'on』2018年6月号より

4月18日に13作目のスタジオ・アルバム『レジスタンス・イズ・フュータイル』をリリースしたマニック・ストリート・プリーチャーズ

『ロッキング・オン』6月号では、前作から4年を経てリリースされた新作について、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドに訊いたインタビュー記事を掲載している。

『レジスタンス・イズ・フュータイル』(抵抗無用)と名付けられ、ジャケットに「侍」の絵が使われている今作だが、これらの意味についてジェームスは以下のように説明している。

(中略)ある程度の年齢になると、自分が何を感じるのか……自分の周りのあらゆることが変わっていくなかで、何もかもが変形して分裂していくなかで、自分がどう感じるのかっていうことになってくるんだよね。自分はそれに抗うのか、それとも理解しようと努力するのか、あるいは流れに身を任せるのか。それを決めるのって本当に難しいと思う。特に政治的なことに関してはね。

経済的なこともそうだし、現在進行形のデジタル文化にしてもね。今回の曲の多くはそういったことに対する感情の動きを描いたものが多い。自分はどこに立っているのか、何が真実なのかっていう。おそらくニックはそういうテーマが歌詞の根底に流れているのに気付いて、それで所蔵するアートブックを片っ端から開いて例の写真にたどり着いたんだよ。あのサムライの顔つきが、すべてを物語っているように感じられたんだ。

(中略)勇敢だったり、強かったり、試練に立ち向かったり、困難があったりする……そういうことが全部あの顔つきから見て取れる。彼は誇らしげだけれど、すべてが終わったことを知っている。勇敢に戦ったけれど、戦いには負けてしまった。認めたくない気持ちもあって戸惑ってるけど、でももう全部分かっている。そういったすべてが要約されているんだ。

ただしこのタイトルには二重の意味があるんだよ。今言ったようなことを一通り考えたあとに、例えそうであっても、願わくは自分達が一部の個性のない今の音楽に対して、断固として立ち向かうようなアルバムを作ったと思いたいんだっていう。自分達がメロディに取り憑かれたバンドとして唯一無二であり、俺達の音楽に対しては「抵抗無用」であるということが、あらゆる変化が起こるなかでの変わらぬ真実であってほしいという思いがあったんだ。


そんな「侍」のジャケット以外にも、昨年末発表の先行シングル“インターナショナル・ブルー”のビデオではイントロに「日本語のナレーション」が入っていた。このナレーションは一体どういう理由で使うことになったのだろうか。

ニックと監督のキーラン・エヴァンスはもう長い付き合いで、これまでも多くのビデオで一緒にコンセプトを考えてきたし、創作パートナーとしての関係を築いてきた。

(中略)彼とニックが一緒にコンセプトを考えて、それをいかに視覚的な表現に落とし込んでいくかを詰めていったんだよ。“インターナショナル・ブルー”がイヴ・クラインの人生を下敷きにしていることは明白だと思うけど、彼と日本とは凄く深い繋がりがあるんだ。彼は日本文化に興味を持っていたし、それを西洋文化と融合させることにも興味を持っていた。だからその部分をビデオに取り入れたということだよね。


そして同インタビューの最後には、ベース/ボーカルのニッキー・ワイアーが、今作がバンドの「新章の幕開けを告げるアルバム」か「マニックスの終わりを告げるアルバム」かのどちらかになると思うと話していたことについて質問。ジェームス自身は、今作がどちらの意味を持つ作品だと思っているのだろうか。以下のように答えている。

俺にはさっぱり分からない(笑)。まず未来を知ろうとするのは馬鹿げてるよ。それに13枚目を作り終えて3人共ほぼ50歳になった今となっては、始まりよりも終わりに近いことは明白であってさ。それは単純な事実でしかない。

でも本当に、まったく分からないな。これまでも我々は時代に反応してきたと思うし、今の時代は混迷を極めていて凄く二極化しているよね。だから絶対的真理を知っていると主張する人がいるとしたら、俺は凄く警戒する。だって絶対的真理なんてないんだから。特に今のヨーロッパではね。どちらの陣営も、何が真理かなんてさっぱり分かってないんだよ。


このほかインタビューでは、デビューから短いスパンで新作を出してきたバンドが今作には4年の制作期間を費やした理由について、バンドが遭遇していたという「障壁」についても語られている。

全英チャートでも高セールスを記録したマニックスの『レジスタンス・イズ・フュータイル』について、同インタビューのジェームスの言葉を読むことで、より深く作品の世界に入り込めるはずだ。



『ロッキング・オン』6月号の詳細はこちらから。
http://www.rockinon.co.jp/product/magazine/144391

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