先日、NHKホールでのライブを観たあと、その余韻をじっくり消化しながら椎名林檎の20年について考えていた。
新旧様々な楽曲を散りばめつつも、ただのヒットパレードではない今回のセットから僕は、椎名林檎がこの20年の活動の中で表現してきた、「孤独」を恐れず獰猛なくらい力強く「自由」をたぐり寄せることの集大成を感じた。
ときにあまりに濃密に描かれる「孤独」に胸を締め付けられながら拳を握りしめ、ときに祝砲のように解き放たれる「自由」にはその握りしめた拳を振り上げてガッツポーズをせずにいられなかった。
椎名林檎のショーはその「孤独」と「自由」を生き様として見せるために、寡黙でありながら雄弁でなければならない。
特に東京事変解散後の、オリジナルアルバムのコンスタントなリリースにこだわらず、総合エンターテインメントとしての椎名林檎を確立しつつあるように見える活動を通して、その寡黙で雄弁なライブ表現が、ひとつの壮大な映画のように極まりつつあることが今回のツアーからはよくわかる。(古河晋)
椎名林檎の20年について
2018.05.19 11:15