【MGMT編】フジロックまであとわずか! 出演アーティストたちの見どころをもう一度おさらい

【MGMT編】フジロックまであとわずか! 出演アーティストたちの見どころをもう一度おさらい

かれらを一躍ポップ・アイコンへと押し上げたデビュー作『オラキュラー・スペクタキュラー』と、その思いもよらぬ成功のストレスから躁鬱的なマインド・トリップへと向かった2nd『コングラチュレイションズ』。そんなドラマチックな2枚と比べると、地味な印象もあった3rd『MGMT』は、しかし、セルフ・タイトルにふさわしく、かれらの等身大の姿が映し出された作品だったように思う。プロデューサーのデイヴ・フリッドマンはあくまで作業の交通整理役に徹し、かれら2人のプライベートなセッションを発展させることで完成した同アルバムは、前後半でポップとカオスに引き裂かれたようなところがありながらも、その創意に満ちた音楽的関心が気負うことなく伸び伸びと発揮された代物だった。そして、そうしてあの時点で持てるすべてを吐き出せたからこそ、今回の5年ぶりとなるニュー・アルバム『リトル・ダーク・エイジ』で、再びかれらは新たな境地に立つことができたのだろう。

その『リトル・ダーク・エイジ』は、一言で言えば「ポップ回帰作」。適度な余白を活かしつつ、表情豊かな音色でカラフルなテクスチャーを形作るシンセのアレンジが素晴らしい。タイトルが伝える、いまの世界を覆う暗い影が投影された作品の背景とは裏腹に、サウンド的にはポジティブな開放感に満たされた経緯には、ソランジュブラッド・オレンジも手がける元チェアリフトのパトリック・ウィンバリーやアリエル・ピンク、コナン・モカシンといったプロデューサー&ゲストの存在も大きかったことは勿論、加えて想像するに、長い間ある種のトラウマになっていた『オラキュラー・スペクタキュラー』の頃の自分たちのスタイルとようやく向き合うことができた――というのも、もしかしたらあるのではないだろうか。「ポップ」であることが最もクリエイティブで野心的で、最高にクールとされる2018年に、改めて“MGMTのポップ”を真正面から問い直すこと。『リトル・ダーク・エイジ』の本懐とは、おそらくそこにある。

はたしてそんないまのかれらが、『リトル・ダーク・エイジ』のナンバーは勿論、たとえば“キッズ”や“タイム・トゥ・プリテンド”といった過去のアンセムをどんなテンションで、そしてどんなスタイルで鳴らすのか。興味は尽きない。(天井潤之介)


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