欅坂46、約半年ぶりの新曲“黒い羊”は私たちに何を問いかけるのか?

欅坂46が、2月27日(水)に約半年ぶりのニューシングル『黒い羊』をリリースする。先週、表題曲のフル音源がラジオで初オンエアされたが、一聴してからずっとこの曲が頭にこびりついて離れない。じっくり考えずにはいられない曲だ。

「黒い羊」は、「のけ者」や「変わり者」のことを差す言葉でもあるという。この名の通り、今回の新曲は同じ意見を持つ「白い羊」たちの群れの中に、そうではない自分ひとりだけが混ざってしまっていることの違和感や居心地の悪さといった孤独な感情が描かれている。ひんやりとした哀愁漂うピアノの音色にゴリゴリのスラップが効いたベースライン、平手友梨奈のあの低い声で畳み掛けられる語りなど、サウンド面でも今までのシングル表題曲にはなかった要素が詰め込まれているが、それよりももっと根本的な部分で違っている印象を受けた。

欅坂のシングル表題曲は全てがストーリーのように繋がっていて、そこにはひとりの「主人公」の姿がある。この主人公は一貫して「自分の考えを曲げて周りに同調すること」へのアンチテーゼを世の中に向けて提示してきた。力強い主張やメッセージ性を伴う言葉は人の心に勢いよく飛び込んでくるものだが、その分それに対して抗う人もいれば、共感の拳を突き上げる人もいるなど反射的な衝動を起こさせる。今回の“黒い羊”もまた主人公の反骨精神が滲む楽曲ではあるのだが、アンチテーゼというよりは独白に近い性質を持つ楽曲だと感じる。あえて群れの中に自分を置いたことによって浮き彫りになる「孤立」と対峙する主人公の姿。そしてその姿は衝動を起こさせるというよりは、聴く人の胸に「君は本当はどっちなんだ?」と問いかけるものになっている。

「黒い羊」としてまたは「白い羊」として、それぞれ共感できる人もいると思うが、どちらの気持ちもわかる「グレー」の人が大多数なのではないかと思う。なぜならその場をやり過ごすために本当の気持ちを抑えたり、孤独を感じているのにそれを出さないように誤魔化したりするのは何も珍しい事態ではなく、程度は違えども誰だって一度は経験があるはずだからだ。きっと誰もが自分の真実だけを見つめて生きていきたい気持ちは持っている。しかし特に今の時代は、そうあることには大きな勇気と強さが必要である。そんな「グレー」の人たちを前に、自分は「黒い羊」で居続けるときっぱり言い切った主人公を、そしてその主人公を体現している欅坂というグループを、私は支持しないわけにはいかないのだ。(渡邉満理奈)
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