欅坂46/日本武道館

欅坂46/日本武道館 - All photo by 上山陽介All photo by 上山陽介

●セットリスト
01.危なっかしい計画
02.避雷針
03.大人は信じてくれない
04.月曜日の朝、スカートを切られた
05.エキセントリック
06.I'm out
07.Nobody
08.二人セゾン
09.キミガイナイ
10.もう森へ帰ろうか?
11.君をもう探さない
12.東京タワーはどこから見える?
13.Student Dance
14.語るなら未来を…
15.風に吹かれても
16.アンビバレント
<アンコール>
EN01.黒い羊


欅坂46が5月9日~11日の3日間にわたり、日本武道館にて「欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」を開催した。

デビューから3年が経ち、個性豊かなメンバー揃いの2期生も参加して行われた今回の公演は、今までで最も「欅坂46独自のアイデンティティ」が強調された内容だったと感じる。欅坂46はアイドルであると同時に、パフォーマンス集団としての面も持っていて、特にこの1年でアーティスティックな色がますます濃く、深く根付いてきた。今のグループが持つ全ての魅力が詰め込まれた今年のアニバーサリーライブから、千秋楽となった11日の武道館公演の模様をレポートしたい。

欅坂46/日本武道館
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この日の開演前アナウンスは、井上梨名と松田里奈コンビ。「一緒に盛り上がっていくぞー!」という元気いっぱいの声に続き、1曲目“危なっかしい計画”でライブがスタートした。笑顔でタオルを振り回しながら会場を盛り上げるメンバーと、大きなかけ声で応える客席。この勢いのまま2曲目へ突入……と思いきや、曲が終わると早速エンディングの雰囲気に。ここでキャプテン・菅井友香から、4月に大阪フェスティバルホールで開催されたアニラで最後に披露されたのがこの曲(大阪3daysの最終日のみWアンコールで“W-KEYAKIZAKAの詩”が披露されたが)で、本公演は大阪公演の続きというコンセプトだと説明される。つまり、今回のアニラは大阪と東京をまたいで1つのライブとなり、2ヶ所で開催されたのには大きな意味があったのだ。

欅坂46/日本武道館
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「以上! 私たち、欅坂46でした」と締めの挨拶をし、颯爽とステージを去って行くメンバー。まさかの展開に客席は一瞬ざわついたが、すぐに再登場を求める「欅坂46コール」が起こる。するとライブの始まりを告げる“Overture”が流れ、真っ赤に染まったステージに「欅坂46の3年の月日」を示す巨大な砂時計のセットが現れた。大きな雷の音が響き渡る中、衣装チェンジをしたメンバーが再び登場し、“避雷針”でアニラ続編の幕が上がった。深くフードを被り、うつむきがちにステージを歩く平手友梨奈の存在感と、メンバーの一糸乱れぬ圧倒的なダンスパフォーマンスで、欅坂46の本領とも言えるシリアスな世界観を一気に創り上げていく。いつもとは一味違った演出に、曲が終わると客席からは感嘆の声が上がった。

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そこからは“大人は信じてくれない”、“月曜日の朝、スカートを切られた”、“エキセントリック”といった、少女時代のヒリヒリした感情が滲むナンバーを畳みかける。なりふり構わず全身をフルに使った激しいダンス、そして怖いくらいの迫力に満ちた力強い眼差しは、余韻に浸る隙も与えないほど。その後は、どこか艶っぽさを漂わせながら“Nobody”を披露し、続く“二人セゾン”では柔らかな微笑みを浮かべて軽やかに舞うなど、曲ごとに全く違う表情を見せつつ、ノンストップでライブが進行していく。MCでは菅井が、今日の公演やこの3年間の感想をメンバーに聞き、小池美波は「みなさんの支えがあってこそ、この舞台に立てていると思うので、このステージで何か恩返しがでたきらと思っています」と可愛らしく答える。一方で土生瑞穂は「今まで生きてきた中でこの3年間が一番濃かったなって。あと(今日)タピオカ食べたから……この3年間で一番飲んだ飲み物だなって」と土生ワールド全開の回答をし、会場には温かい笑いが広がった。パフォーマンスとMC時のギャップの大きさもまた、欅坂46ならではの魅力だ。話は2期生にも振られ、山﨑天は「ずっと見てきた欅坂46に入れて、大切なライブに一緒に参加させていただくことが本当に嬉しい」、森田ひかるは「“二人セゾン”のしなやかなダンスがすごく苦手で……でも鈴本さんに教えていただいたのが嬉しかった」とそれぞれの思いを語った。

欅坂46/日本武道館
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ここからは大きなスクリーンを使って、ストーリー仕立ての影絵パフォーマンスが繰り広げられた。物語に登場する人物だけでなく、シーンが変わるごとに映し出される木々や建物、動物といった全てを、メンバーそれぞれが影絵で表現。その完成度の高さに、会場は大きな感動の拍手に包まれた。その後は、教会のステンドガラスのような幻想的な映像と共に“キミガイナイ”、そして“もう森へ帰ろうか?”、“君をもう探さない”と切なさが滲むナンバーを立て続けに披露し、“Student Dance”ではイスとスマートフォンを使った演劇チックなステージングで客席を魅了した。

欅坂46/日本武道館
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ダンスパートを経て、いよいよライブも終盤へ。《That’s the way》の大きなかけ声が起こった“風に吹かれても”から会場のボルテージはどんどん急上昇していき、その盛り上がりのままラストナンバー“アンビバレント”へなだれ込む。最後の力を振り絞るような全身全霊のパフォーマンスに客席は大いに沸き、会場にはキラキラと輝く銀テープが舞った。最後は「新しい道を切り開いていきたい」という菅井の力強い宣言で、本編は一度幕を閉じた。

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会場が暗転すると、一際熱を帯びた「欅坂46コール」が響く。すると、真っ赤な薔薇が敷き詰められた上に倒れ込んでいる平手の姿がモニターに映し出され、衣装チェンジをしたメンバーが再びステージに現れた。割れんばかりの大歓声の中、アンコールとして披露されたのは最新シングル曲“黒い羊”。赤い彼岸花を手に持った平手は、今にも泣き出しそうな表情で、鬼気迫るパフォーマンスを見せる。この日の《全部 僕のせいだ》の台詞は、胸を締め付けるほどの切実さがあった。ラストシーンでは平手が彼岸花を小林由依に手渡し、小林からのハグを突き返してステージから去って行く。ひとり取り残された小林がステージ上に彼岸花をそっと置いたところでエンドロールが流れ、最後は平手の瞳から涙が流れる映像でフィニッシュ。“黒い羊”が本公演のアンコールとして披露されたのは、欅坂46のストーリーがまたここから続いていくという予告の意味もあるのだろう。彼女たちの新しい季節への期待を鮮やかに残しつつ、今年のアニラは幕を閉じた。(渡邉満理奈)

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